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1週間日記 私の好きな夕方

2024/06/08 (土) 「洗濯物と世界の終わり」
よく晴れているので洗濯物を干した。開けた窓際に寝転んで洗濯物を見るのがすきだ、という話はいつかの日記で書いたかもしれない。洗濯物の奥に広がる青空を見ながら、こんな休日があと何回続くのだろうか、という気持ちになった。それはこの取り立てて記憶に残らない日々をただ命が終わるまで無為に消費していくことに対しての恐ろしさも、心をすり減らすことなく穏やかに過ごせる日々が続いていけばいいなぁという祈りも含んでいた。と、途端にわたしは今生きているのだなぁ、と実感する。どうにもいつも車窓から流れる景色を眺めている感覚で生きている気がする。そうこうしているうちにいつか世界が終わるのだろう。世界は終わらなくてもわたしの命が尽きればわたしにとっての世界は終わるわけで、それはわたしにとっては世界の終わりと等しいのだ。

2024/06/09 (日) 「泣き声はもう出ない」
ジャンプラで日曜日に連載されている『ふつうの軽音部』という漫画がすきだ。特に今日更新の最新話はまさかのバンドの曲が使われていて、それが展開に合っていて、思わず泣いてしまった。今日日付が変わってから10回くらい読んで8回くらい泣いている。そしてレーエンデ国物語を読み終えた。元々ファンタジーがだいすきだったのに歳を重ねるにつれなかなか読めなくなってしまった。単純に世界観に没頭できなくなってきているのだ。想像力が低下しいらないところばかりが気になったり、人名を覚えられなかったり。特にシリーズ物の冒頭は世界観の説明が多くなりがちだから、なかなか進まずで投げ出しそうになっていたが、夏至祭あたりから止まらなかったし三者三様に辛くて泣きながら読んだ。こんなに泣いたのも久しぶりだなと思いつつ、でもいつから声を上げずに泣くようになったんだろうとも思った。泣く時に声を上げる必要はないはずなのに、あんなに大声で泣いていた子供時代が不思議でならない。声を出して泣いてみようと思っても声なんか出なかった。順応してきた証拠、と思いたい。

2024/06/10 (月) 「大人はズル休みもできる」
起きた瞬間に休もうと思った。全てが面倒になってしまったからだ。後普通にお腹痛い。休み連絡をする前に行けなくはないから行くか…という気持ちになるしいつもは大抵行くけど今日はなんかもうダメだった。休みの連絡を入れてもう一度眠った。浅い眠りを繰り返しながら昼前にベッドから這い出して録画を見たり皿を洗ったりした。6月は祝日がないから1日くらい休んでもいいだろう。別に何があったわけでもないけれど、どうしたって投げ出したくなる日がある。かつてのわたしはそれでも自分を叱咤激励して向かっていたけどそうするまでの意味が見出せない。休んだって死なないのだ。良くも悪くもわたしがいなくたって世界は回る。

2024/06/11 (火) 「適切に適当」
昨日休んで満足したのか今日はすんなり朝支度に取りかかれた。出勤するといろんな人から大丈夫?と声をかけられたがもともと大丈夫なのだ。まぁ心理面で大丈夫じゃなかったのは大丈夫じゃないに入るけれど、あれはわたしの中にずっと居座る駄々っ子が暴れただけだ。大抵の大人はうまく飼い慣らしているのだと思うけれども、わたしは時々駄々っ子の言うことを聞いてあげてもいいと思う。社会人としては良くないのかもしれないけどそれで心身に不調を来すくらいならたまのガス抜きは良いだろう。そもそも年に1回あるかないかの頻度なのだし。もっと良い意味で適当に生きて良いのだ。思い詰めて自死を選ぶほど雁字搦めになる必要はないのだ。

2024/06/12 (水) 「心頭滅却できないからくだらないことばかり考えている」
梔子の蕾が膨らみ始めている。空の青さは鮮やかさを増し、大きな白い雲が輝きを増している。今はまだ風が体温を奪ってくれるけど35℃を超えると明確に様子が変わってくるのを去年の夏痛いほど実感した。サウナの中でドライヤーを当てられてる気持ちになる。昨今の盛り上がりに迎合することなくアンチサウナを貫いている身からすればただの地獄。そりゃあ蚊も活動を停止する。人間もそうするべきである。蚊の方が賢い。この調子でいくとわたしが生きている間に夏場は40℃を超えることも珍しく無くなってしまうのではないかと思う。そうなったらいよいよ外は出歩けなくなって地下通路が発展したりするのかもしれない。もしくは日光を遮る屋根がそこかしこに設置されるようになるのかもしれない。日焼け止めやらUVカット商品はさらに進化し、サングラスは必須アイテムになるのかもしれない。そうなってくると今度は新たなマナーができるのかもしれない。「サングラスのカラーはこれくらいにしましょう」「形は○○が望ましいです、△△は控えた方がいいでしょう」とか。現行のサングラスマナーがあるのかもよく知らないけど。ひとつ言えるのは6月半ばの現時点で暑くてどうでもいいことを考えてやり過ごしているということである。

2024/06/13 (木) 「私の好きな夕方」
退勤後、空はまだ明るく、透き通った青色をしていた。昨日の気温も湿度もどこへ行ったのか、半袖だと肌寒さを感じるほどだった。帰り道、すごい青だなぁと見たまんまの感想を抱きながら、こんな時にはいつも思い出す本がある。確か中学生ぐらいの頃、ブックオフで表紙買いしたおーなり由子の『きれいな色と言葉』に出てくる『青焼け』だ。本当にある言葉かわからないが夕焼け前のまっさらな青空のこと、ということだ。これが青焼けなのかは定かではないが青に包まれているみたいな感覚は心地よい。帰り道の途中にある店からコーヒーの香りがする。どこかの家からお風呂の匂いがする。私の好きな夕方だ。

2024/06/14 (金) 「ない時計の確認」
右の手の甲、小指の付け根と手首とのちょうど真ん中あたりが猛烈に痒くなって、縦1cm、横3mm程度の傷ができる程度に掻きむしった。浸出液が滲む程度。そこが地味に痛くて気になってわりかし高頻度で確認してしまう。その仕草がちょうど腕時計を確認する仕草と同じなのでつけてもいない腕時計を確認する人のように見えるのかもしれない。

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