続・インターネット・ミームを勉強・研究したい人向けのお話

 前回記事を書いてから1年以上経ちましたが、最近じわじわ通知がきていたので、鉛より重い腰を上げた次第です。「続」としましたが、前回の記事との連続性はそこまで無いですし、今回も徒然なるままにインターネット・ミームについて書いていこうと思います。一応前回書いた記事も貼っておきます。


インターネット・ミーム研究のヒント

 最初に申し上げると、私の研究分野はあくまで社会学のメディア分野であり、プログラム関連の知識はほとんどありません。なので、情報処理系の方や数理系の方にはほとんど参考にならないと思います。あくまで、文系でインターネット・ミームについて研究してみたいという方の需要を少し満たすものになります。 

 

①「インターネット・ミームとは何か」を定義する

 インターネット・ミームを研究する中で、定義付けはしっかり行った方が良いです。私は過去の研究からインターネット・ミームを「インターネット・ユーザーによって急速に発信、拡散される情報群」と定義しました。そして、情報とは「インターネット上で発信された様々な形式のコンテンツや概念などを指す」としました。
 この定義の肝は「情報群」として扱うことです。インターネット・ミームの最大の特徴は一つの名称の中に多数の情報が集まっていることです。分かりやすく他のフレーズで例えると、白が200種類あるのと同じです。「白」という括りで見れば1つのものであっても、よく見ればそれぞれ微妙に違いがあります。インターネット・ミームも同様に一見1つの括りになってるものであっても、内実を見れば少しずつ異なるはずなのです。ですので、「ここまでは白」「ここからは白じゃない」というある程度はっきりした基準を設けながら定義付けを行うことが大切だと考えています。

➁目線を決める

 これは研究の基本ですが、ただ漠然と「インターネット・ミームについて研究する」というだけでは駄目です。それなりの建前が必要になります(そうじゃないと大学院レベルだと突き返されちゃうしね)。
 私はインターネット・ミームの意義を現代のインターネット社会構造を理解する上で必要であり、純粋なコミュニケーションツールの一つのみならず、政治的な用途としても使用されていることを取り上げて、現代のインターネット・コミュニケーションを理解するために必要な要素であることを強調しました。その中で記号的な側面からインターネット・ミームを切り崩して論文を執筆しています。
 これを見てインターネット・ミームについて研究したいと考えている学生がいるなら、自身の主となる研究分野とインターネット・ミームを絡めながらその意義を見出すことをまずは行いましょう。

③根気よく

 何でもそうだと思いますが、インターネット・ミーム研究は特に根気が必要です。先行研究も少ないので、絡めていく研究ジャンルを徹底的に調べていきつつ、それがインターネット・ミームとどのように関連するのかを考えなければなりません。私もかなりの時間そこを悩みました。最終的にはある程度の結論を出せましたが、それも結局は先行研究を見返し続けて思い付いたものになります。

④参考資料

 論文で使ったものはあるんですが、結局のところインターネット・ミームを研究する上での必修書物って現状無いんですよね。古来のミーム論をベースにしているとしたら『ソーシャルメディアの生態系(オリバー・ラケットら著)』とかは読んでもいいかなと思います。

 もう一つはギュンター・R・クレスの『マルチモダリティ』です。複数のモードで構成される記号について書いてあります。流石に読んだのが前過ぎるのと原本は持っていないので、内容はほとんど覚えていませんが、インターネット・ミームという存在を考える上で参考になるかなと思います。

 その他なんかいい感じの書籍があれば紹介したいと思います。教養系の書籍は値段が結構するので、買うのに勇気がいるんですよね。なので、Amazonでポチるよりも書店でパラパラ読んでから購入することが多いです。図書館とか行ける時間あれば借りて読むのが一番かなと思います。それで欲しかったら買う決断をするのが、お金を無駄にしない方法だと思います。実際学生時代はそうやって本を買ってました。

⑤終わりに

 おかげさまで1年経過した今でも読んで頂けてることに嬉しさが爆発しています。インターネット・メディアの良いところは記録性にあると思っているのですが、その記録性の良さをまざまざと感じています。これからも不定期に思いついたことを垂れ流すと思いますが、気が向いたらまた読んでいただけると幸いです。


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