ヘルスリテラシーの現状と改善点

ヘルスリテラシーは、健康情報を入手し、理解したうえで疾病予防や健康増進に活用する能力のことだ。ヘルスリテラシーを身につければ、疾病に罹患しにくくなり、事態が悪化してから医療従事者の世話になる頻度も減るだろう。
しかしながら、まだヘルスリテラシーの概念は一般社会に浸透したとは言えない。急病の応急措置やクリニックの選択について、どうしたら良いかわからない人が多いのだ。セカンドオピニオンを求めるべきかどうかについても、自分だけでは判断できない人が多い。

全体として、疾病予防や健康管理に対する意識はまだ低いと言わざるを得ないのが現状だろう。そこで、看護師の業務も病気やケガをした患者のケアだけでなく、健康な人の生活にヘルスリテラシーの概念を導入するような啓蒙活動を行う必要がある。
一般人がヘルスリテラシーを理解し、健康管理に対する意識が高くなれば、疾病が減って看護師の負担も軽減されるかもしれない。だからといって、毎日診療で忙しい現場では、ヘルスリテラシーを患者に講釈する余裕はないだろう。

家庭訪問相談員のように、訪問看護師が健康体の人の家庭をまわって、ヘルスリテラシーについて粘り強く啓蒙することが有効だ。現に、ヘルスリテラシーが非常に高いオランダでは、起業が認められた訪問看護師によりヘルスリテラシーの啓蒙が行われ、奏功している。
日本では、かかりつけ医や訪問看護師によってヘルスリテラシーの概念が普及すれば、医療の効率化が大幅に進むだろう。そこでまずは、医療従事者がこのようなサイト【より良い医療と健康のための「ヘルスリテラシー」】などを活用し、ヘルスリテラシーについての意識を高めることが大切だと言える。