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和の心コズミックスピリット64/自然界のリズムと調和した食を愛でる日本人の食の精神
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日本食の精神
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■自然界のリズムと調和した食を愛でる日本人の食の精神
自然の一瞬一瞬を愛でる心は、その一瞬一瞬にしか食せないものを愛でる文化をつくりあげました。和食が世界無形文化遺産に登録されたのも、その理由の一つに和食の美しさや四季の移ろいを表現するという点が挙げられています。
近年、世界が長寿を実現させる日本食に注目するようになりました。それぞれの季節にしか食することのできない食物は自然界のリズムに調和して健康にもよく、日本が世界一の長寿国であるのも日本人の四季を愛する心と無縁ではありません。
素材をそのまま味わうことの多い日本食は非常に繊細な味覚を養わせますが、この味覚と日本人の感性も深く結び付いているとおもうのです。
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■日本の食の美に魅了されたドイツ人建築家のブルーノ・タウト
日本の美を再発見したドイツ人建築家のブルーノ・タウトは日本人の食文化についてこう書いています。
日本の料亭とヨーロッパの料理屋とは、実に甚だしい相違を示している。日本料理に関する叙述は、それだけで優に一章を成すに足りるであろう。いずれにせよ日本料理はヨーロッパ人にとってこのうえもなく清新であり、まことに味覚の喜びである。
日本の割烹は、自然のままの材料を食膳に供える、すべての料理が、栄養豊富でしかも美味な刺身ほど生でないにせよ、いずれも明快、単純、純粋であることを特色とする。海産物や野菜類の多種多様なことは驚くばかりである、また鋤焼(すきやき)や水たきなどになると、食味は一層豊富になる。
しかしそれにまして食事の仕方は、ヨーロッパの料理屋に比べてはるかに優っている。食事をする人の食卓は、大小の差こそあれたいてい一間を独占するから、いくつもの食卓を並べた広間で、一つのテーブルの物音が他のテーブルにそのまま伝わったり、或いは部屋全体が、食欲を減退させ社交の楽しみを妨げるような騒音で充たされることがない。
そればかりでなく西洋の料理店では、ボーイが皿をがちゃがちゃ鳴らしながらあちこち歩きまわったり、給仕や勘定を請求する叫声が聞こえたりして騒々しさはますます甚だしくなるのである。
ところが日本の料亭では、女中さんの物静かな実に礼儀正しい給仕のお陰でこのような喧騒はまったく生じない。
女中さんは元来《給仕》女などと呼ばれるべきではない。食事のあいだ、お客と同じように打ちとけて座敷に座り、寧ろ主人役として何くれと振る舞うのである。
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■日本人は世界最古の煮物文化をもつ民族
私たちにとっては何でもない日本人の食文化にタウトは新鮮な目を注ぎ、「このうえもなく清新」「まことに味覚の喜び」と評価しています。
私たちが食事で鍋を囲む姿はよく考えてみると、土器を囲んで煮ながら皆で食事をしたであろう縄文の人々の食事のあり方に似ているのではないでしょうか。
日本列島からは世界最古といわれる土器が出土しています。これは日本人は世界最古の煮物文化の歴史をもつ民族ということでもあるでしょう。実際に、日本の土器からは世界最古の調理の跡が見つかっています。日本人の洗練された味覚も、この最古を誇る調理文化の歴史によるものかもしれません
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