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騙し合い

「この世界は騙し合いだから」
そう言われた後、色んなところで嘘がどんどんめくれていった。
つくづく感じたのだ、のほほんとしていても渦中にいるのだと。
騙されてると分かっていながら、笑顔でいる。
わたしも騙しているのかもしれない。
息を吐くように嘘をついているのかもしれない。
自分を守るためには必須事項なのは肌で感じていた。
わたしはわたしじゃない。
だからきっと言葉もわたしじゃなくて、
態度も笑顔もわたしじゃないのかもしれない。

もしかしたら、とおもう自分がいちばん怖い。
自分も騙している気がしてならない。
明日も綺麗な嘘を吐きながら、澱んだ町の空気を吸う。
肺はあの町の吐息に満たされている。
綺麗な海を見た時に、少し頭痛がした。
穏やかな夕日も目にしみた。
ただただ、空気が合わないと思った。
「汚くていちばん嫌いなところだけど、結局好きなんだよな」
あの言葉が頭から離れない。

最近は安定剤が増えて、走って、疲れて一日中眠って、また走り出して、わたしは一体どこへ行こうとしているのだろう?
米びつは空っぽで、コンビニ弁当の空き容器が増えた。
もらったお菓子が山積みになって封すら開けてない。
わたしはいつ人間をやめたんだろう。
穏やかな暮らしは程遠い。

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