Pink

前々から観たかったBarbieを観に行ったので(といっても2週ほど前なんだけど。)思ったことを残しておこうと思う。

公開される前から何かと騒がれていた本作。
あえてそこには触れないでおきます。
あんまりいい気分にはならないからね。


わたしが観た日は休日で、周りを観るとほぼ女性、年齢層はバラバラ。
でもきっとBarbieで遊んでたんだろうな。

画面いっぱいに広がるピンクを基調にしたバービーワールド。
朝起きても寝癖なんてないし、口臭も気にならない。
向かい側の部屋に住むBarbieに挨拶をして、身支度をする。
そこからマーゴットロビーの演じるBarbieは違和感に気づいてしまう。といった感じのイントロ。

幼い頃のあこがれをギュッと詰め込んだ世界で起きる違和感の描き方が面白かった。
今まで気にしなかったものが、突然気になる。
でも周りはなんともない様子で過ごしている。

全ての物事を解決するために人間界へ。
ここで自分が周囲(他人)にどのように見られているのかということを嫌なくらい痛感させられる。
バービーワールドで当たり前だったことが人間界では正反対。
一緒に来ていたKenもすっかり人が変わってしまう。
変わる、というよりも気づいてしまうという方がしっくりくるな。
一部の人間からは憎むべき対象として見られてしまう。
ここが結構しんどかった。
誰でもそうだと思うけれど、自分の信じていたものがガラガラと壊れていく瞬間は辛い。
しかもそれの連続となると、もうどうしていいかわからない。
それを完璧で非の打ち所がないBarbieに降りかかる。
もうやめてあげてくれと思った。

違和感に気づき、人間界へ行ったことでバービーワールドも変わってしまう。
BarbieとKenの立場は逆転し、男性優位の世界へ。
普段人間界で生きてるわたしからすればこれが当たり前なんだけど、大袈裟に描かれているとはいえ、やっぱりこういう世界なんだなあ…と痛感する。
同じ女性でもいろんな意見があると思うけど、わたしが2年ほど前までいた会社のとある部署は所謂男社会だった。
全国的に見ても9.5割が男性、同じくらい頑張れないと振り落とされそうだった。
定期的な面談では「結婚するなら〜子供を産むなら〜」と言われ、内心うるせえなクソがよと考えながらニコニコしていた。
舐められてられない、結果で黙らせようとしていたけど、同期の男性たちはどんどん給料も立場も上がっていった。
取り残された気分だった。
でも気づいてしまう前のバービーワールドにいるKenたちはみんなわたしと同じような気持ちだったのかもしれない。
なにをしようとしてもBarbie(女性)が優先、まるで自分は日陰のような存在でBarbieの引き立て役でしかない。
正直なところKenの変貌ぶりにはウッとなったけど。

この映画がもっと好きになったのはサントラの良さもあった。
ストーリーにもっと引き込まれるような曲ばかりだった。
ビリーアイリッシュの「What was i made for?」が流れてきたとき涙が止まらなかった。


世の中のいろんなことに問題を提起するような内容だったけど、やっぱりBarbieだもの。
シーンごとにインテリアはかわいいし、それぞれのBarbieやKenたちのスタイリングも魅力的。
え〜このお洋服着たい!と何度思ったことか。


わたしの周りの小さい世界は理不尽だし、どうしようもなさに打ちのめされることもたくさんある。
でもたまーーーにとてもしあわせだなと思うこともある。
完璧にはなれないし、戦いたくもないけど、自分の好きなものに囲まれてなんとか立っていようと思う。
毎日ヒールは無理だけど。

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