Perfect Summer

夏、嫌いでした。
暑いの苦手だし、虫も怖い。それに日焼けするのも嫌。イベントで浮かれるカップルを見るとげんなりする。
冷房の効いた部屋で好きな音楽を聴きながら、好きなことをして過ごすのが最適解だと思っていました。

今年の春、ELLEGARDENのサマーパーティーが発表されました。
真夏の野外ライブなんて、高校生のときに行った地元の音楽番組主催のフェスが最後で。
なんなら屋内でのライブでさえちょっと躊躇するんだけど、ELLEGARDENが、あのELLEGARDENがライブをするとなるといてもたってもいられない。
脊髄反射のようにチケットの抽選に応募しました。
大きな会場を何ヶ所か演るといっても、活休前から全然チケットの取れなかったバンド。
正直に言うと、今回も無理だろうなあと思っていました。

お願いだからELLEGARDENの4人に会いたいです。どうか縁がありますように。と思いながら当時の職場近くにあった有名な縁結びの神社に毎日お参りに行きました。

1次先行の発表当日の深夜、クレジットカードの利用明細でチケット代と同じ金額が表示されていて、頭が真っ白になって友人に「どうしよう、当たったかもしれない。」と連絡をしたけど、いやでもまだ分からないここで本当はだめでした!となっても余計に落ち込むだけだ。
その日はあんまり眠れずに仕事に向かい、発表の時間に「ちょっとお手洗いに…。」と言って仕事を抜けて携帯を見たら『当選のご案内』のメールが。
本当に?嘘じゃないよね?見間違いだったらどうしよう。携帯を持っていた両手が震えて、その画面をスクショして、深夜に連絡した友人に送信して確認してもらいました。
「当たってるじゃん!」夢じゃなかった。
ELLEGARDENに会える。
やっとやっとやっと会える。
仕事の帰りに神社に寄って、ご縁をありがとうございましたのお礼参りをしました。
初めて神様っているんだなあって思いました。

そこからの日々は怒涛で、仕事は変わるし、色々あって精神的に追い込まれることもあったけど、ELLEGARDENに会えるなら乗り越えてやるよかかってきな精神で乗り切りました。


2023年8月17日。
真夏日、心配していた台風は何処へやら。
朝起きてカーテンを開けると青空で、もう陽射しが痛いくらい。
ドキドキが止まらなくて、少しでも気を抜くと涙が出そうになる。
ELLEGARDENと書かれたTシャツを着て、大好きな4人に会うんだから最高の状態で行かなきゃと思って始めたメイクも決まった。
外に出ると夏らしい高い高い雲が出ていて、陽射しはやっぱり強くて。
年齢のせいか、「こんな天気なのに日傘を差さないで外を歩くなんて恐ろしい…!」と思いつつ会場に向かう。
会場が近づくにつれ、ELLEGARDENと書かれたTシャツの人たちが増えてきて、すごく嬉しくなって。
エントランスをくぐるとリハーサルの音が漏れ聞こえていて、この壁の向こうにELLEGARDENがいる。存在している。と思うと涙が溢れてしまいました。
メイクが崩れちゃうから絶対に最後まで泣きたくなかったのに。
グッズ売り場で並んでいたら、隣のレーンにいたお兄さんが「先どうぞ!」と譲ってくれた。
小さなことかもしれないけれど、すごく温かく感じた。
会場を奥に進むにつれて、ELLEGARDENが大好きな人たちで溢れた状態がとても幸せで。
ライブまでの時間、ツイッターで知り合ったフォロワーさんとも会うことができて、ここで会えてよかったなあと思ったり。

開場の時間になって、アリーナに入るとすでにぎゅうぎゅう。
改めて会場の広さを思い知ることになる。
もうステージとの距離なんてどうでもいい。

GENちゃんとTOSHI-LOWの前説映像が流れる。
ここ数年思ってたことを代弁してくれたなあというか、なんだかこんなことをこういう開かれたところで言うのはちょっとな…と思うんだけれど敢えて今回は言いますね。
わたしがライブハウスに通い始めた15〜18年前、ライブハウスって怖いところでした。
当時中学生、高校生だったという年齢のせいも多少はあるのかもしれませんが、ライブに行くとめちゃめちゃに気合の入ったお兄さんたちが何人もいて、フロアの空気はバチバチ。
だけど、助け合いというか誰かが倒れたらちゃんと起こす、「大丈夫か?」と声をかけてくれる。「大丈夫です!」と返事をすると「よし!行ってこい!!」と言ってモッシュピットに送り出してくれる。
ライブが終わったあとはお互いを讃えあうように笑顔で帰っていく。
怖くもあり、とても楽しい場所でした。
そのバンドが、音楽が、ライブハウスが大好きな人たちが集まる場所。
不器用な優しさで溢れる場所。
たくさんのことを教えてもらったし、わたしもこうなりたいと勉強させてもらえた。
だけどここ数年は、本当に一部だとは思うけど、思いやりが無いなあと思うことも何度かあって、ちょっと悲しくなることも多かった。
それをあの前説で、優しい言葉で言ってくれたのは嬉しかった。
その日1日を全部幸せな思い出にすることは難しいかもしれないけれど、その1日って好きなバンドのライブに行った日になるわけで、そこにちょっと嫌な気持ちが混じったら、その思い出がくすんでしまう人だっている。
もう少し周りを見ようよ、いろんな人が集まってるんだよ。
その前に身体的に、経験的にどこまで出来るのか考えてみようよ。
なんでモッシュやダイブが危ないことだとされているのか、考えたら分かるじゃない。
それを完全に禁止するイベントもある中で、「お前らに任せるよ。」と言ってくれている細美さん。
任せるよ=ちゃんと考えて行動できるよな?だと思っている。
ちょっと長くなってしまったけど。

しばらくすると、細美さんがマイクを持って登場。
会場にお母様が来ているという前提で下ネタ。
前述したライブマナーというたくさんの意見がある問題を敢えて下ネタを混じえて面白く分かりやすく(わたしは女性なので何とも…ですが。)伝えてくれるのは優しさだと思う。

台風の影響でまだ交通機関が危うい状態で大丈夫かなあ?と思ってた卓人さんが登場。
ELLEGARDENとの細美さんとの思い出を話してくれて、最高のスタートにしてくれました。
大阪に住んでいた頃よくテレビで観ていた卓人さんにまた会えて嬉しかった。


Silver PandaのSoul Connectionが流れ、歓声がうわっと鳴る。
ELLEGARDENがいる。目の前にいる。
人がわーっと前に押し寄せた瞬間Breathingのイントロ。
始まった!と思う暇も無く気づいたら手を挙げていた。
ELLEGARDENのライブは初めてのはずなのに、身体が勝手に動く。
こんなに人がたくさんいるのに全然嫌じゃない。

はじめのほうのMCで生形さんが話してくれた「ELLEGARDENは最強。」という言葉。
昔から最強だったけど、さらにパワーアップして帰ってきてくれた。
それを言葉にしてくれたことがとても嬉しかった。

それからはもう、聴きたかった曲の連続。
開演前は潮風で少し涼しさを感じたフロアも一気に暑くなり、空気も薄くなり。
誰かに迷惑をかける前に、と思って後ろに下がったら隣にいたお姉さんが「大丈夫?」と聞いてくれた。
ちょっとヤバいなと思って通路に出て腰をおろした瞬間、緊張の糸が切れたのか涙が止まらなくなった。
声を出して泣いてしまった。
周りにいたお兄さんたち、うるさかったでしょう。ごめんなさい。

最後にまた幕張でやろうと言ってくれたこと。
正直、このツアーが終わったらみんな自分のバンドに帰ってしまうんだろうと思っていた。
活動休止中、それぞれのバンドが大きくなっていたし精力的に活動していた。
それをELLEGARDENと並行していくのは、わたしの考えが及ばないほど大変なことだと思うし、メンバーの発言からも今回のサマーパーティーが最後なのかな?と感じてしまうこともあったから。
わたしたちが活動を強制することはできないし、そもそもそういうものではない。
だからこそメンバーの口から未来の話が出たことが奇跡のようで。
でも何よりも強い約束だった。

普段なら薄っぺらく聞こえる「愛してるよ。」に思わず「わたしのほうが愛してるからな!!!」と言いたくなった。


ライブ後、みんなで見た花火がとってもきれいで久しぶりに見た花火が今日の花火でよかったなあと思った。
キラキラきた光が落ちてくるのを見て、夏が終わっちゃうなあとしみじみした。


今日もとても暑かった。
気候的にまだ夏は終わってないみたい。
日傘を差して外を歩いたけど、肌がジリジリした。
だけど、今年は完璧な夏だった。
ELLEGARDENのおかげで今まで生きてきた中でいちばんの夏だった。
ありがとうELLEGARDEN、今までもこれからもずっと最高でいてくれて。


とてつもなく長くなってしまいましたが、ELLEGARDENのみなさん、関わっていたスタッフの皆さん、会場にいた皆さん。
ありがとうございました。

自分のことのようにチケットを取れたことを喜んでくれて、話を聞いてくれたお母様、じゃば子ちゃん、パートナーありがとう。
会場でお会い出来た皆さん、ありがとう。

夏が好きになったよ。

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