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第37回北海道新聞短歌賞【佳作】をいただきました(お知らせ付)



こんにちは。はじめまして。桐崎鶉と申します。
普段は(現時点では)学生をしながら、所属する文芸同人を中心に小説や短歌をつくっている、しがない趣味創作人(そうさくんちゅ)です。

タイトルがすべてなのですが、このたび「第37回北海道新聞短歌賞」にて、桐崎鶉の作品集「感性の問題」佳作を受賞しました。


・やった~~~~~!!!!


や、やった~~~~!!! ほんとですか!!?!?!?!?!?? うれし~~~~~~~~!!!!!!!!!

冗談はさておき、ほんとうに光栄ですし、身の引き締まる思いです。
北海道で生まれ、高校卒業までの18年間を過ごしてきた私にとって、北海道新聞さんは格好の短歌投稿の場でしたし(日曜文芸、よく投稿していました)、道新文学賞はいちばん身近な目標なようでいて、雲の上、夢また夢のような存在感を放つ賞でした。
既発表可、歌集・作品集問わずということで、プロ・アマのボーダーが限りなく薄い状態でさまざまな作品が寄せられる場であると思っておりますので、ご連絡をいただいてからの約一ヶ月、「なんで私が受賞者に!!?」というどっかで見たことあるような浮ついた気持ちがまったく抜けませんでした。
選考委員の皆様、ほんとうにありがとうございました。いただいた賞に見合う技術を身に付け、培ったものを作品で示していけるよう、よりいっそう努力していきたいと思います。

(これはめちゃくちゃ余談なんですが、受賞が決まったとご連絡いただいた日に大好きな小説家さんの訃報を知り、わくわくしていた発表前夜に二次元の推しの声を務めておられる方の非常によろしくないスクープがTwitterトレンドを席巻しました。感情が……感情が多い……勘弁してくれよ……)


・選評を読んで


選評を拝見すると、田中綾先生、時田則雄先生はもちろんですが、特に山田航先生がかなり「感性~」を推してくださったことがわかります。ほんとうに、なんとお礼を申し上げたらよいのか……(Twitter上でご挨拶するのも違うような気がしますので、ぜひ改めて、授賞式の際に直接お礼を申し上げられたらと思います)。
重ねてになりますが、山田先生はじめ選考委員の皆様、誠にありがとうございました。
(選評についての記事も電子版で読むことができます。ぼさぼさ髪で赤ら顔の私が大写しになっていて恥ずかしいことこのうえないのですが、貴重な選評が読めるので是非!)

山田先生だけが「感性~」を最終選考に推して下さった、という記事を見て、高校文芸部時代をちょっと思い出しました。

短歌でも小説でも、私は頻繁に「めちゃくちゃ評価が割れた結果、一部(場合によってはたったひとり)の方にすごく褒めていただく」という経験をします。これはほんっっっとうに、めちゃくちゃありがたいことです。と、同時に、一抹の寂しさを感じるのも、正直なところです。私自身、「自分のつくるものは”メジャー”じゃないんだろうなあ」となかば割り切って創作を続けてきました。
高校のときもそんなことがたびたびあり、当時は自作がたくさんのひとに好いてもらえないことに悩んで大号泣したことがあったのですが、そのとき顧問のS先生から言われた、

「おまえの書くものは間違いなく万人受けしない。でも『好きだ』と言ってくれるひとは一定人数、必ずいる。好きだと言ってくれるひとを大事にしていきなさい」

という言葉が未だに忘れられません。この言葉があったからこそ、ここまで文章書きを続けてこられたのだと思っています。
今回の受賞も、私のつくったものを好きだと言ってくださったひとりの方のおかげで、なんとか土俵まで上げていただいたのだと思います。結果として選考委員の皆様に期待をかけていただいたのだ、という自信と感謝を忘れずにいなければ、とも強く思います。

……S先生、新聞読んでくれましたか!! 私載ってますよ!!!!!


・「感性の問題」について


「既発表作・歌集可」の賞であることから、応募作「感性の問題」は、過去にさまざまな媒体へ発表・応募した連作たちを、切ったり貼ったりして寄せ集めた作品集になります。
作品の背景等については後日掲載予定のインタビューでいろいろお話したので、ここでは軽く、どこからどう作品を寄せ集めたかについてお示しできればと思います。

「感性の問題」は9つの連作、全100首で構成されています。内訳は以下の通りです。

・「感性の問題」
…表題作。第65回短歌研究新人賞に応募した同名の連作を、「サイクル」という連作の歌と入れ換えながら大幅に改稿しました。「短歌研究」誌上への掲載はうち2首のみだったため、ほぼほぼ未発表といえるかもしれません。

・「フォークロア、フォークロア」
…所属する同人「北十」で発行した同人誌『砂時計』第2号に寄せた連作をそのまま使っています。やっている学問の説明、みたいな連作です。3、4年前くらいの作なので少し古めです。

・「サイクル」
…第64回短歌研究新人賞で佳作をいただいた30首から6首ひっぱってきて、+1首「うたの日」でつくったものを入れました。もとの連作はnoteで公開しています(あまりに拙いので恥ずかしいですが……)。

・「相模三景」
…規定の100首までどうしても3首足りず、悩んだ結果、お気に入りの「ほどほどの枝ふりまわす ムルソーにならないうちに傘へ入って」という歌(とある賞の落選作です)と、過去に相模湾でつくった2首をくっつけた「海っぽ短歌」のキメラです。ちなみに2首はそれぞれ葉山と平塚でつくりました。

・「ないないしない」
…『砂時計』第3号に寄せた連作をそのまま持ってきました。自選歌として記事にも掲載された「ローリエが見つからなくて永遠に乾物コーナーから出られない」はこの連作の冒頭歌で、たくさんのひとに褒めてもらえたお気に入りの1首です。
(私はスーパーマーケットやデパートがほんとうに苦手なのですが、元気がないときに行ってしまった近所のスーパー(激込み)で、なかばパニック状態でローリエを探していたとき思い付いた歌です。ローリエは見つからなかったので、半べそでこの歌を推敲しながら帰りました。以来、激込みのスーパーに行くときのお守りにしています)

・「報酬系」
…角川U25短歌賞に応募し、最終候補まで残していただいた連作を一部改稿したものです。ここまでの連作がすべて実体験ベースなのに対して、これは最初の1首を除いてすべて完全なる「虚構」の歌です。
(最初の1首の光景を学校からの帰路に目撃してしまい、衝撃のあまり歌ができたはいいものの、単品では発表しづらい→あとのストーリーつくって連作にしちゃえ!と思いついてつくりました。1首目がなければ決してできなかった連作でした)
実体験を歌にすることには必ず限界が来る、と思っていたため、別の作歌方法を模索したくて挑戦したお気に入りの連作です。きっと評価が二分するならこの連作だと覚悟して構成に入れました。誌面掲載もなかったため、完全なる未発表作です。

・「かりそめの橋」
…Twitter上の短歌コンテスト「たにゆめ杯2」にて、「眼窩に立ち花賞」をいただいた連作です。こちらも「虚構」の歌群ではありますが、(ほぼ)完全な虚構である「報酬系」とちがって、実際に見た・読んだ・学んだものをベースにつくった歌が多いです。Twitterで検索していただければ全編読めます!

・「ヘッドバット・レント」
…吉田岬さん主宰の下戸短歌アンソロジー「non/alcoholic」に参加させていただいた連作です。過去につくって行き場のなかった2首に、新たに5首をつくって構成しています。初めて自分からお願いして参加させていただいたネットプリント企画だったので、ほんとうに思い出の連作です。連作としてはこれがいちばん新しいと思います。

・「霧笛」
『砂時計』創刊号の、「故郷」についての創作企画に寄せた連作をベースに、うたの日ではじめて次席をいただいた「「したっけ」が「さよなら」の意になる町の真一文字の冷凍さんま」を加え改稿しました。連作自体としてはこれが最も古い、およそ6年前の作品です。

同人誌やTwitter、noteなどで読める作品も多いので、もしご興味あればいろいろ見ていただけると幸いです!

・今後のおしらせ

最後に、今回の受賞に関連して、いくつかお知らせがあります!

①インタビュー記事の掲載

11月8日の北海道新聞(朝刊)に、何事もなければインタビュー記事が掲載されます。経歴や作品のこと、特に表題作をつくった背景についてのお話をした記憶があるので、おそらくはそこらへんのことを書いていただけるのではと思います(この文章に書いたことは、取材の際にお話しなかったことが大半なのでご安心ください!)。道新を買える地域の皆様はもちろん、電子版の皆様もよろしくお願いします!

②「北の文学」への一部作品の掲載

まだ先の話ですが、来年1月に北海道新聞社さんより刊行予定の「北の文学2022」に、「感性の問題」の一部作品が掲載予定です。冊子でも電子でも購入できるそうですし、ほかの受賞者の皆様の作品も読めますので、ぜひご検討ください!

③収録作品のネットプリント企画

これが個人的に最重要事項なのですが、かってに受賞記念ということで、初めてのネットプリントに挑戦したいと思っています!(受賞作の公開に関しては、道新さんより「問題ないよ!」とのご回答をいただいております!)

公開を予定しているのは、実体験部門より表題作「感性の問題」、虚構部門より「報酬系」全2種です。それぞれ(ほぼ)未発表、25首程度の連作になります。公開日は未定、現在鋭意データ制作中ですが、それぞれ100円以内に収まる印刷代になるのでは?と思います。

「北の文学2022」へ掲載される作品が限られており、未発表のままになるかもしれない歌も多いことから考えた企画です。初めての試みであり、またどちらもなかなかの自信作なので、ぜひお好きなほう(本音をいうと両方とも……)をプリントしていただければ幸いです。
プリント開始日や期間については、準備が整い次第Twitter上でお知らせします。今後の桐崎の動向含め、ぜひTLで追っていただければ幸いです。


長くなりましたが、お知らせもろもろは以上になります。

最後になりますが、私自身は今後も短歌・散文ともに、差をつけずに取り組んでいく所存です。
これからも主に小説と短歌のフィールドで、同人活動やインターネット上での作品発表、新人賞への応募を頑張っていければと思っております。
もしご興味をお持ちいただけましたら、noteでの活動を含め、桐崎鶉を今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

ここまでのご高覧、誠にありがとうございました。


ほんとうにありがとうございます。いただいたものは映画を観たり本を買ったりご飯を食べたりに使わせていただきます。