母親が歳を取ってきました。

先週、母が手首の痛みを訴えて、それが翌日になったら触るだけで飛び上がるほどの激痛になりました。
まず間違いなく骨折あるいはヒビが入ったと思い、すぐさま整形外科で診察をしてもらったところ、「蜂窩織炎」(ほうかしきえん)という聞いたことのない名前の感染症だと診断され、お薬の処方と点滴を受けて、今は徐々によくなってきました。
長年苦労の多かった母には呑気な老後を過ごしてもらいたくて、私は20代で終の住処となるマンション購入を決行し、幾度かの転職を重ねて、なんとかローンを完済し、二人だけの生活をキープしています。
85歳になった今も、母が家のことをほとんどしてくれているので、私は外に働きに出られるのですが、母の片手が不自由になったので、初めてと言って良い介護の真似事をしました。
祖母の時もそうでしたが、母にも尊厳があるので、何でもかんでも手出しをすることはやめて、一人でできることはしてもらいました。こちらからすると、つい手を出したくなるのですが、体のことにいちいち人の手を煩わせることが、気持ちの上では、情けないとか、恥ずかしいとかの葛藤があるのは理解できるので、できることは自分でしてもらうようにしました。
むしろ私にできないことの方が多く、洗濯物の干し方や、調理の下拵えなど、母も自己流にしてきたことを、他の人間に任せることの我慢を強いられてきたと思います。
親の老いを感じるのは、切ないことです。
ただ、そうなることは自然なことで、別に厄介をかけているとか、恥ずかしいことだと思われないよう、努めて普通に接するよう心がけています。
それから、母が思いつかなさそうな良いことをたくさんするようにしています。
例えば、お風呂が億劫で体を拭くだけでいいと言う時は、レンチンした蒸しタオルに、ヒバのアロマオイルをふりかけて、気持ちよくしてあげるとか。爪を切る時に、ついでにポリッシャーでピカピカにして、アプリコットの香りのするオイルをつけてあげるととてもうれしそうです。
私は母と同じような料理や生活スタイルをキープ出来ないけれど、母が喜ぶようなちょっとした楽しいことを考えるのは好きなので、そうやってこれからも暮らして行けたらいいなと思います。

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