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【個人開発】海外向けWebアプリで月間1,000万訪問を達成した話

個人で開発したWebアプリが月間1000万訪問(1000万MV)を達成しました。会社員時代から独学で開発を始めて、気づけばここまで育ちました。

自分は優れたプログラマーでもなければ、並外れたアイデアを持っていた訳でもありません。そんな私がどのように1000万MVに至ったかについてシェアしたいと思います。

アプリの紹介


開発したのはPomofocusという、ブラウザ上で動く「ポモドーロタイマー」アプリです。ポモドーロテクニックという生産性向上に役立つ時間管理術があるのですが、「ポモドーロタイマー」はその実践を助けるアプリです。

基本的には「25分間集中して仕事や勉強に取り組み、5分間休む」というサイクルを繰り返す、言ってしまえばそれだけのアプリです。Pomofocusのページを見てもらえれば分かると思いますが、メイン画面の作りはめちゃくちゃシンプルです。

これまでの道のり

  • 2016年2月 : 初期のバージョンをリリース(->反応なし)

  • 2019年7月 : デザインを作り直して再度リリース

  • 2019年7月 : Product Huntに投稿してデイリーランク8位をとる(->ブログへの掲載が増える)

  • 2019年12月: Google検索でページランク10位以内に入る

  • 2020年3月 : プレミアムプランを導入して$100を稼ぐ

  • 2022年12月: 一日当たりのユーザー数が10万人を超える

  • 2023年 : 月間1000万訪問を集める

この中で一番の転機になったのはProduct Huntへの投稿です。それまではメディアの掲載もゼロでGoogleの検索ランクもかなり下の方でしたが、Product Huntに投稿した直後に一気に10以上のブログに掲載されました。

そこからは雪だるま式にブログ掲載とGoogleの検索ランクが伸びていき、最終的には"pomodoro timer"という検索キーワードで1位を獲得しています。

Pomofocusの被リンク数(青)と検索アクセス数(オレンジ)の推移 on Ahrefs.com

これまでにやったこと

なぜPomofocusが1000万MVを達成することができたのか。いくつかのポイントを考察してみます。もちろん、戦略というのは分野や規模によってケースバイケースですが、以下の話は特に個人開発者にとっては参考になる話かと思います。

戦略1: Google検索を重視する

Pomofocusの全体アクセスの内、大半がGoogle検索からの流入です。アナリティクスを見ると9割以上がGoogle検索からの流入になります。

特にボリュームが大きいのは"pomodoro timer"というキーワードで、現在、このキーワードだけで毎日1万人が流入しています。

Google検索の順位(Ahrefs.com)

Webに関していえば、Google検索は未だに最強の集客チャネルだと思います。TwitterやFacebookといったSNSからの流入もありますが、Google検索に比べるとほんの僅かです。

ちなみにSEO対策でやったことは、キーワードをページ内に記載するとか、メタタグをしっかり記載するとか、かなりベーシックなことです。これはSEOチェッカーのようなもので最低限を押さえればいいかなと思います。

私はそういった小手先のテクニックよりも被リンク数がかなり検索ランクに影響していると思います。私の場合はProduct Huntへの投稿を機にメディア掲載が増え、そこから「Googleランクアップ」-> 「メディア掲載増加」という好循環に入りました。

なので、SEOに関してはテクニカルな対策はほどほどにして、とにかく人に知ってもらって、ブログなり何なりでメンションを貰うことが大事だと思います。Product Huntに限らず、RedditHacker Newsのような掲示板に投稿するのも良いと思います。

戦略2. モバイルではなくWebで開発する

Pomofocusにはモバイルアプリがなく、Webバージョンのみです。これは特に意図したものではなく、単に「自分が学んだ技術がWebだった」という理由ですが、結果的にこの選択は正解でした。

なにせ、モバイルアプリの市場は競争率がものすごく高いです。当時もすでにApp Storeには高機能なポモドーロタイマーがいくつも存在していました。一方、Webアプリの競合はそれほど品質が高くありませんでした。恐らくポモドーロタイマーというとみんなモバイルアプリのイメージが強く、ブラウザで開発しようという開発者が少なかったのだと思います。

では、Webではユーザーが少ないかというとそうではなく、実際には1000万MVを狙えるくらいのマーケット規模がありました。こういう、「Webのちょっとした便利ツール」みたいなサービスは、そのユーザー規模の割には競争率が低く、見過ごされているマーケットだと思います。

戦略3. デザインで差別化する

といっても、Webのポモドーロタイマーにもそれなりに競合は存在しました。その中でなぜPomofocusがユーザー数を伸ばすことができたのか。私は「デザイン」によるところが大きいと思います。

Pomofocusも今でさえ多機能になっていますが、初期の頃は本当にただのタイマーでした。競合であるTomato TimerPomodoro Trackerと比べても機能面での優位性はほとんど無かったと思います。

その分、デザインにはこだわりを持って開発していました。トップ画面の要素をできるだけ排除してシンプルにする、色味を細かく調整するなど。とにかくシンプルで使いやすい、それでいて親しみも持てるUIを目指しました。

これまでユーザーから受けたフィードバックでも、デザインが気に入って使い始めたという人が結構多いです。

Twitter (X) の口コミ

こうしてデザインに親しみを感じてくれたユーザーが、熱心なリピーターになり、さらには口コミを広げてくれた、という点は大きかったと思います。そういったユーザーの口コミが少なからずGoogleのランクにも良い影響を与えたはずなので、デザインの効果は馬鹿にできません。

戦略4. マネタイズはとりあえず考えない

これはそれほど再現性が高くないかもしれませんが「マネタイズ戦略が無かったこと」も結果的に上手くいった要因だと思います。

冒頭にも書きましたが、Pomofocusは会社員時代に趣味で開発し始めたものです。なので、当初から収益性の意識は皆無でした。リリースしてから2年間は広告を一切載せていませんし、ユーザーからの機能リクエストにも採算とかは全く考えず、「ユーザービリティの向上になるなら」の一点でひたすら機能追加に取り組みました。

全く金にならない、採算に合わない状態でひたすら走り続けているので、他の開発者から見たらかなり非合理的な行動だと思います。でもそのおかげで、ユーザー数だけは競合を引き離して大きく伸ばすことができました。

私が色々なアプリを開発してきて思うのは、結局のところ「ユーザーを集めて定着させる」のが最も難しいということです。マネタイズはやり方次第でどうにでもなりますが、まずはユーザーを集めないと話になりません。初期の段階では「いかにユーザーに喜んでもらうか」に注力して、とにかくリピーターを増やすことが大切だと思います。

参照

最後に、上記で紹介したツールや私が学習したリソースなどを紹介します。これから個人開発をやろうとしている人(特に英語で)の参考になれば嬉しいです。

  • Ahrefs.com: 検索キーワードごとのアクセス数や難易度などをかなり詳細に調査できるツールです。費用は結構高いですが、その価値は十分にあります。

  • SimilarWeb: Web上のあらゆるサイトのアクセス数を確認できるツールです。Chromeエクステンションを入れておくとワンクリックで確認できて便利です。

  • Product Hunt:自分が作ったアプリを投稿できるサイトです。海外の起業家やエンジニア界隈ではかなり有名なサイトで、みんな新しいサービスを作ったらこぞってここに投稿します。ブロガーやメディア関係者も多いので、ここで上位に掲載されると大きな集客効果を持ちます。その分、競争率は高めです。

  • Refactoring UI(電子書籍):私がデザインを学んだ書籍です。クリーンで使いやすいUIの作り方が学べます。Pomofocusに限らず、多くのアプリで参考にしています。YouTube動画もあります。 


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