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ジェノスと鴉

ジェノスはゴミの日にはゴミ出しをしているが、ゴミ捨て場にはたくさんの鴉がいる。
一度鬱陶しいので焼却砲を向け、僅かな火を見せたことがある。
慌てて飛び去った鴉たちに、ジェノスは危険な奴として覚えられてしまった。
ただでさえ目立つ金髪、姿さえ見れば襲って来る。複数で囲まれて威嚇を受けたこともある。

ジェノスは鴉を焼き払う気はない。こんな奴らを焼くための焼却砲ではない。

ただ鴉が何処にいても襲ってくる。
鬱陶しいこと甚だしい。

鴉相手に闘う訳にもいかず、困り果てていた。

「ジェノス、食えもしねーし焼くなよ?」
サイタマが釘を刺してきた。
「無駄なことはしません」

「ホムセンで鴉の死骸人形買って装備するか」
「からかわないでください」

とりあえず鴉の生態を調べることにした。

「先生、鴉は両腕を上にあげると攻撃できないそうです」
「来るたびにバンザイするのか」
「当面は仕方ないでしょう」

数日後、街中でいきなりバンザイする鬼サイボーグを見て、市民たちは
「何の嬉しいことがあったのだろう」
と訝しんだとか。

奇行に見られては堪らない。
ジェノスは一計を案じ、おもちゃのパールビーズを買い込んだ。
そして襲ってきそうな鴉に投げた。

思い通り、咥えて飛び去っていく。

おかげでジェノスはパールビーズを常備する羽目になってしまった。

「鴉に求婚かよ」
「俺が求婚したいのは先生です!」

「まずパールビーズを配り終われよ」
笑うサイタマは求婚を本気にしていないようだった。

終わり

お金が欲しいです。