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全部フィクションかもよ

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最近の記事

「この窓から星が見えたら最高なのにね」 と君が言った。 あたしは、別に星は見えなくてもいいと思った。曇り空が好きだからだ。もちろん、太陽が降り注いでいる空も好きだし、真っ暗で雨が降っている空も好きだし、無論、星が見える空も好きなのだが。 そもそも、あたしは昔から雲に惹かれる。ちょっとの風で流されてしまう意思の弱さが、あたしに似ている気がする。雲は、太陽や雨と違って、物質としての形を持たないただの水蒸気のくせに、太陽を隠すことも雨を降らすことも出来る。 あたしは、太陽も雨も

    • 排反事象

      たとえば私は、束縛されるのは大っ嫌いだけど、縛られるのは好きです。そこには矛盾があるように思います。でも全く関係の無い事柄のようにも思えます。 私を好きになる人はまるでセンスが無いと思います。一方で、ものすごくセンスがあるような気もします。共感者はいますか? もし結婚したら、(ちゃんと好きな人と結婚した場合)子供なんていらない。子供なんて、私たちの恋を愛へと変えてしまう邪魔なものです。私は好きな人のパートナーになんてなりたくない。いつまでも好きな人の好きな人でいたいのです

      • 希死念慮

        免許合宿で泊まった宿舎のベッドから、大きな窓に、青い空と白い雲が見えた。外は風が吹いていないのだろうか。雲は依然として場所を変えずにいる。音楽を垂れ流しながらそれを眺めた。走馬灯の最後にはこんな空を見たいと思った。人生は長いようで短い。同じように、短いようで長い。 どんな死に方をしたいか考えてみた。安楽死をするためにスイスに行こうか。それとも家族に見取られて老衰したいか。いや、私が最初に思い浮かんだのは、やはり彼の顔だった。最期には、彼の顔を見たいと思った。それも、恋に落ち

        • この人のことをもっと知りたいと思ったら、それは恋だと、よく耳にします。でもそれは、「叶う可能性が見えている恋」に限ると私は思います。 私の場合、好きな人のことを、出来れば何も知りたくない。なぜなら、知ってしまうことが怖いからです。知れば知るほど、彼のことを好きになって、取り返しのつかないことになってしまう。もしくは、好きではない一面を知ってしまって、彼のことを好きではなくなってしまうことが怖い。 でも、2つだけ知りたいことがあります。貴方は一度も、私を好きだったことはなか

          生と死、性と詩

          親戚が死んでしまって、ここのところ原因不明の腹痛をたまに感じていた私も、普通にもうすぐ死ぬんじゃないかと思った。他の症状も合わせて調べてみると、大腸癌とかがヒットして、少しだけ心配になる。 雷が鳴って涼しい風が吹く実家の玄関で、とっておきの音楽を聴きながら、私には似つかないハイライトメンソールを吸っている。 死ぬんだったら、煩わしい就活が始まる前に死んでしまいたい。別れが悲しいと思う人間が、1人でも増える前に死んでしまいたい。今死んだら、友達たちにとっては印象的な死だから

          生と死、性と詩

          ハイヒールの呪い

          これは冬の話。 夜道の街灯が腹立たしい。顔に光が当たって、まともに泣くこともできないじゃない。こんな時でも多少は人の目を気にすることができるということは、まだ私は大丈夫。そこまで落ちぶれてはいない。 良かった。ぐちゃぐちゃに泣きながら帰るなんてみっともなさすぎる。イヤフォンで爆音で音楽を流しているから聞こえないけれど、きっと今、履いているハイヒールがこの静かな冬の空気の中に、コツコツと音を響かせている。 「ハイヒールを履いている時は、自分が世界で1番美しいと思って歩かな

          ハイヒールの呪い

          愛を求めて

          夜の12時。マンガの授業の、期末レポートをやっていた。すると、ケータイに誰かから通知が来た。私はどんなに仲の良い親友でも、どんなにかっこいい男でも通知をオフにしているから、なんだろう?と思った。 見てみると、LINEはしたことがなかったけど仲の良い男友達からで、「誕生日おめでとう!」と来ていた。 あ、今日、誕生日だった。 時は1年以上前に遡る。私は運命の出会いをした。誰がなんと言おうと、それは確実に運命だった。ドタイプの見た目とは反して、彼はいつもヘラヘラしていた。私は

          愛を求めて