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打たれすぎた杭は出る 『闘魂と王道』 堀江ガンツ著

新日本プロレスと全日本プロレスの2大メジャー団体。

新日がアントニオ猪木率いる過激派で、
全日が中学生にも優しい1000円席が用意された、明るく楽しく激しい、ジャイアント馬場の団体。

平成になんとなく見るようになって認識したプロレスの図式。


元々日本プロレス界の父 力道山の弟子であった二人がそれぞれ別れ…

と、どんな文献を読んでも出てくる歴史を、1972年に立ち上がった両団体の50年を一年ずつフィーチャーした明るく楽しく過激な歴史書!

日テレとテレ朝をそれぞれバックに付けた二人の政治戦争は思った以上に凄まじく、ファミリー層を味方にした穏健な馬場の粘着質な嫌がらせに思わず息を呑む。

巨大なバックとコネクションを駆使し、猪木への外国人ルートを完全に経つ馬場。
(実話ナックルズ系コミックで読む芸能界の干し方!)
猪木は契約上、できるわけがない対戦をことあるごとに馬場に吹っ掛け、それを断る馬場の方が弱いというイメージを植え付ける。

馬場は何食わぬ顔で、猪木が勝った対戦相手を巨額な資金で引き抜き、猪木より早いタイムで倒していく。

馬場が独占したNWAという一般的にはよく分からない“プロレス界の権威”を超えるため、猪木はオリンピック金メダリスト、ボクシング世界ヘビー級チャンピオンと夢の対決を実現させていく。

打たれすぎた杭は出る

この本を読んで思った感想はこの一言に尽きる。

自分が直撃することのなかった“猪木のカリスマ”に、本書冒頭の亡くなる少し前に収録されたインタビューから撃ち抜かれ続ける。

そして、中学時代何度も見に行くことのできた全日の“ジャイアントサービス”に改めて感謝するのであった。

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