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としまえんブルース

なくなってはじめて気付く、大切なものに…

今月末(2020年8月)でとしまえんが閉園することとなった。
西東京の子供の思い出を沢山こさえた遊園地としまえん…。埼玉県在住だった私も幼い頃からとしまえんにはお世話になった。
記録として思い出をのこしておこうと思う。

としまえんと幼少期の私

家族+祖母と遊びにきて、花火を見た。
一日さんざ遊んで遊園地の空気が楽しさでいっぱいになり灯りが夕闇に浮かび上がってくる頃、園の中の人たちは花火をベストポジションで見れる場所を探しはじめる。みんな花火が見える方向に向かって行くなか、私はジェットコースターに乗りたいとダダをこねた。
「早くいかないと、花火見れなくなっちゃうよ」
母は今から待機列に並ぶめんどくささと、場所取りと幼い弟を祖母に任せた不安で私をたしなめたが、ムキになった私はどうしても乗りたかった。
花火がはじまると、一部のアトラクションは止まってしまう。その前に乗らなければ。
何故か乗ったコトそのものでも花火を見たコトでもなく、その直前の「ワガママを言ってとしまえんのジェットコースターにお母さんと乗った。」というシーンが今でも夏の記憶としてずっと残っている。
人の流れに逆らってアトラクションに乗ったこと、花火を見ようと浮き足立っている人たち、薄暗くなった中「ゴーッ」と音を立てて頭の上を通り過ぎるジェットコースター、木立の影に滲むイルミネーション。今でも鮮明に再生できる。
ちなみに花火の記憶も一応ある。祖母は上手くいいポジションをゲットしていて花火はほとんど目の前、頭上に打ち上がった。だがあまりの迫力に弟が泣き出してしまったのだ。母の膝の上で弟は泣きじゃくり、祖母は横でぽそっと「何だか空襲みたいねぇ」と呟いていた。

※としまえんといえば「流れるプール」が一番有名だが、幼少期が最も陰キャだった私は流れるプールの記憶が「渋滞していた」ということしかない。だがこれはとしまえんは悪くない。プールちょっとめんどくさいな…って心のどこかで思ってしまっていた私が悪いのだ。渋滞してても、としまえんのプールは楽しかったはず。

としまえんと少女期の私

順調にオタクの道を歩んでいた私だが、としまえんには何度か行った。
そう、その頃としまえんは定期的に園内を貸し切り、コスプレイベントを開催していたのだ。
多分普通の集客は私が小さかった頃より落ちていたと思われる。だが何度か行ったそのイベントはありとあらゆるキャラクターで賑わっていた。(ちなみに私は何もしないで入場していた。もっと滾れよ)
イベント当日の西武線池袋駅は巨大なキャリーをひいた人たちでごった返していて、豊島線(ぴろっと枝分かれしたとしまえんにアクセスする為だけの線路)も皆同じ志を持った人たちしか乗っていない。
入園すると、架空のキャラクターがまるで紙面から出て来たかのようなクオリティ(当時の私にはそう見えていた)で遊園地の中を歩いている…。楽しそうにチュリトスをほおばっていたり、アトラクションに乗っていたりするのを見るだけでワクワクした。遊園地が漫画の中に出てこないような作品(犬夜叉とか…)(時代…)のキャラクターも皆楽しそうに遊園地で遊んでいる非日常感!
100円で動く色あせたパンダの乗り物に、幼少期の記憶をくすぐられながらテーマパークではしゃぐ無数のキャラクターを眺めていた。

としまえんと成人期の私

就職すると格段にとしまえんへ行く機会は減った。
ディズニーランドやUSJほどの満足感はなく、時間に追われる社会人は古ぼけた遊園地に貴重な休日を割く暇はない…はずだったが、ときどき思い出したように豊島線に乗っていた。
なんか疲れたな…と思ったとき、1000円の入園券を買って人がいない園内を散歩した。動きの止まったアトラクションやカバーがかけられたゲームコーナーが寂しく、でも何だか心地よかった。少し近づくと警報機が反応する建物もあり時間の流れを感じた。
ただ、大好きなカルーセルエルドラドはいつも動いていた。
カルーセルエルドラドには300円で乗れる。300円で実質貸し切り状態のメリーゴーランドを楽しめるのだ。売れてないアイドルとそれを応援する数人のおじさんとキラキラ輝くカルーセルを見ながらお酒を飲んだりした。
ちなみに入らなくても園の入り口でぼーっとする為に豊島園駅に降りたこともある。私は遊園地にいく為だけの線路が気に入っていた。左には遊園地が、右には映画館がある広場が好きだった。物語上にしかない素敵なものが集まった、特別な場所に来てる気分になれたのだ。
やがて恋人ができたとき、楽しくないであろうことは承知でとしまえんに誘った。半分廃墟の遊園地に誘ったのは悪いと思ったが、私のお気に入りのくつろぎスポットに一緒に行きたかった。
幸い楽しんでもらえたようだったし、また息抜きに閑散期のとしまえんに来ようと思っていた。

としまえんと

という訳で、各年代ごとにとしまえんに遊びに行っていた私はとしまえんが閉園するのが結構さみしい。人がいなくてもほそぼそ続いていくもんだと思っていた。そんなワケないのにね。あぁ、なくなると分かってはじめて知る、この有り難さ。
歌の歌詞のようなことをしみじみと噛み締めている。
皆さんも今あるモノは大切にしましょう。






最後に私のオススメアトラクション

最後に、元埼玉県民の私と板橋区の女で久しぶりに遊びに行ったので身贔屓な視点でみなさんにとしまえんの魅力を紹介しようと思う。あと半月あるので興味があったら行ってみるといいと思う。感染には気をつけてね。
チケットは予約制なのでコチラから。

カルーセルエルドラド
とりあえず、これさえ抑えとけば後悔しない機械遺産カルーセルエルドラド。100年以上前にドイツで作られ、アメリカで使われた後としまえんにやってきた。今のとこ移設先が決まっていません。
1つ1つ作りが違う馬や馬車、豪華な椅子。異国情緒のある細部の造作。アルフォンスミュシャのポスターから抜け出したような装飾たち。

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回り始めるとメロディに合わせて木が軋む音が聴こえてくる。1年ぶりくらいに乗ったらなんか回転速度が早くなったような気がする。3段構造になっていて、一番内側が一番早い。
外側にのって風を感じながら貴族の気分になって乗ると楽しいです。

ミステリーゾーン
このアトラクション名からどんなものを想像する?宇宙人発見?ミステリーサークル?UFO激写?
違います。中にあるのは昔の日本の穢れを煮詰めて塗り付けたような世界。坑道で重労働を強いられる貧しそうな民たち。磔にされ腸をさかれた女。不治の病に侵されたのか、畳に布団ごと沈んだ死体。座敷牢に閉じ込められた子供達etcetc…を、かたどった、古〜〜〜い人形が埃を被って出迎えてくれる。多分人形自体が古いので、それだけで何か嫌な感じがしてくる。
ゾーンを抜けた後、現代日本に戻ってこれたことにさぞほっとするでしょう。


チャレンジトレイン
これずっと気になっててやっと乗ったんですが、予想以上に楽しかった。
電車の操作がただ体験できるだけでなく、秒単位でブレーキの位置や駅に入るタイミングが決まっており、その通りに運転し1秒の誤差で減点されていく。警笛ポイントも決まっていて本当に車掌になった気分。声かけ点検(?)のラベルも貼ってあった。
そういえば西武線のホームで大声で車掌の真似するおじさんいたなぁと西武線に想いを馳せながら楽しむことが出来た。ちなみに乗れる車種は選べませんでした。急行池袋行き(30000系)に乗りたかった…。

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フライングパイレーツ
吊るされた海賊船が振り子のように前後に揺れるという至極単純なしくみのアトラクションだが、案外楽しい。舳先に乗れば最も振り幅大きく、頂点で一瞬練馬区を一望することができる。

他にも色々あるが、こないだ行って楽しい記憶が新鮮なアトラクションを選んだ。
興味を持ったら参考にしてみてね。


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