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「どんな性能のパソコンを買うか」に悩むゲーム好きのためのパソコンの選び方

皆さまご機嫌よう、はるしおんです。立秋とは名ばかりの殺人的酷暑に引き続いての線状降水帯襲来に伴い、昨今の事情に伴って色々言われなくても外に出たくありません。

さて、表題の件ですが、色々あって友人が「どんな性能のパソコンを買うか」という方向で質問をしてくれたので、コンピューターにちょっとだけ詳しくて、ちょっとだけゲーマーな自分から、ゲームのためのパソコンの選び方をご案内させていただけたらと思います。

1.OSをどうするか

パソコンといえばまずデスクトップかラップトップ(ノート)かを考えてしまいがちですが、ゲーム目的ならば一番初めに選択すべき、そしてほぼ選択の余地がないものがあります。OSです。
これは業務やなんやらで絶対にmacOS搭載PCでなければならないという場合を除いて「Windows 10」一択です。ついでに言うならば、なんらかの理由でmacOSでなければならない場合は別にWindows搭載PCを用意すべきでしょう。仮想デスクトップ環境(平たく言えば「macOSの中でWindowsを動作させる」ようなこと)もありますが、パソコン本来の性能が十分に発揮できるとは言えませんし、あくまでこれは「最低限のスタートライン」です。OSの問題を調整したところで他にも問題は残っています。大人しくWindows搭載PCを購入する方が賢明でしょう。

ちなみに、私たち一般のユーザーが使用するWindows 10には「Home」と「Pro」という2種類のエディションがあります。が、この記事を読んでいる段階であなたが選択すべきエディションは「Home」です。「Pro」は企業や開発者あるいはそれに近いユーザー向けです。あなたや私のようなユーザーが購入しても、機能のほとんどは日の目を見ません。

と言うわけで、「Windows 10 Home」搭載のパソコンを選択しましょう。

余談1:「Windows11」がもうすぐ登場しますが……
発表がありましたね、Microsoftの新OS「Windows11」。もうすぐ新しいOSが出るのにWindows 10でいいのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、結論から言うと現段階でWindows11のことを考慮する必要はありません。
新しいOSが発表され販売されたからといって、ゲームの開発者がそれに合わせて調整や確認をすぐにできるわけではありません。さらに、こういったものは発売直後は得てしてバグや不具合、意図せぬ挙動が多く発生します。そういったものが報告され、調整され、安定して動作するようになったら考慮してもいいでしょう。
パソコンは高価な買い物です。石橋を叩いて渡るくらいがちょうどいいですし、なんなら叩くのは自分自身でなく新しい物好きの他人に叩かせ、他の人がぞろぞろ渡るのを見てもう大丈夫だという頃合いで悠々と渡るくらいでいいでしょう。

大丈夫、頼まなくてもこういうことをやってくれる人柱は世界に沢山います。私もその一員ですし。

あ、今更ですがこの記事は初心者向けです。macOSにおけるゲーム向け仮想デスクトップ環境の構築やProtonの開発に伴うSteam Deckの将来的展望などについては触れません。維持や保守、トラブルシューティングが自分では手も足も出ない環境は、企業ならともかく個人で持つのは強くおすすめしません。

2.デスクトップ? ラップトップ?

一つだけ大事なことをお伝えしておきます。

悪いことは言わない。ゲーム目的ならラップトップはやめておけ。

いや、分かりますよ。ラップトップは便利です。ですが、ゲームを主目的にするのであればいの一番に選択肢からラップトップは外すべきです。
「ゲームをするパソコン」をラップトップにするデメリットは以下のようなものが挙げられます。

デメリット1.同スペックのデスクトップより高価である
一般的に小型・薄型のマシンは、同じ性能のマシンよりも高価になります。緻密な設計が必要ですからね。

デメリット2.デスクトップよりも性能を十分に発揮しづらい
コンピューターに組み込まれているパーツ、特にゲームに用いるグラフィックを司るパーツは高熱を帯びます。高熱はパーツの故障の原因になるため、最近のほとんどのPCではパーツが高熱になった際は、一時的に性能を制限して発熱を抑えます。
でも、いつもそんな調子で性能を発揮できないのでは困ります。この問題に対応するため、パソコンにはヒートシンクやファンと呼ばれる冷却・排熱用のパーツが搭載されています。しかし、ラップトップはその小型さ故に、このようなパーツを搭載する余地……つまり物理的なスペースがデスクトップに比べればほとんどありません。ラップトップに搭載されている小型の冷却パーツよりデスクトップの大型の冷却パーツの方がパソコンをよく冷やせるのは、想像に難くないでしょう。

余談2:パソコンの熱
こんな検索結果があるくらいには熱くなります。そりゃパーツも壊れますよね。

デメリット3.ラップトップであるメリットとゲーム向けのスペックは相反する
デメリット2を解決するため、ゲーム向けのラップトップは大型の冷却パーツを搭載しています。あと美麗で大きいディスプレイなんかも多くのゲーム向けラップトップが搭載しています。そうなると大体のゲーム向けラップトップは、パーツが大きい上に大画面な重量級のマシンになります。そこにラップトップ、いわゆる「ノートパソコン」の可搬性はありません。むしろ快適なゲームプレイのために拡張機器を用意すればするほど、動かすのが死ぬほど面倒になります。

デメリット4.ラップトップはメンテナンス性が劣る
ラップトップはデスクトップと異なり、全てのパーツを取り外したり交換することができません。最近のカスタマイズ製の高いものでも、交換可能なのはせいぜいメモリとストレージくらいでしょう。これは将来的により高スペックを要するゲームをしたくなった場合に、交換可能なパーツで対応できなくなった場合、パーツ単体の換装ではなく「パソコンそのものを買い換える」選択肢しかなくなります。当然、パーツの交換不可能な部分が破損した場合も同様です。

と言うわけで、前節の内容と組み合わせて、選択すべきは「Windows 10搭載のデスクトップ」であると主張します。

3.性能をどうするか

ここまできてようやく性能の話になります。

まず「最低限ゲームができるくらいの性能でいい」という考えを捨ててください。

何も無茶苦茶な金額を積んで破茶滅茶な高性能パソコンを買えと言っている訳ではありません。
おそらく多くの人は、ご友人と一緒にゲームを楽しまれるでしょう。そうした時にDiscordなどのボイスチャットツールや、攻略情報や最新情報を調べるためのブラウザを同時に起動しますよね?
そうです。「ゲームができる最低スペック」は、これらを考慮に入れていません。

さて、まずはプレイしたいゲームの情報を集めることから始めます。今回はSteamのトップページでパッと目に留まった「モンスターハンター:ワールド」をプレイできるパソコンを購入したいという仮定でやっていきましょう。皆さんは適宜これを他のゲームに置き換えて読んでください。

見るべきは下にスクロールしたところにある「システム要件」です。

さて。なんとなく最低システム要件を見てしまいそうになりますが、「最低限ゲームができるくらいの性能でいい」という考えは捨てましたね?
あなたが見るべきは推奨システム要件です。ただし、ここで一つ重要な点は、「推奨システム要件を満たしていてもあなたのユースケースでは性能が不十分な可能性がある」という点です。最低システム要件は言うなれば「削りに削ってかろうじて動きます」程度。下手をするとあなたの想像している「最低限のゲーム」すらできないでしょう。一方、推奨システム要件は「まぁこのくらいあればいいと思う」というレベル。つまり、ゲームができても同時に起動するチャットソフトやブラウザのことは考慮に入れていません。つまり、目指すべきは推奨システム要件より少し上です。

ではまずはCPU、ここでは「プロセッサー」に表記された内容を見ていきましょう。
CPUはパソコンの頭脳そのものです。このパーツの性能が良ければより高速に大量の処理を行えます。性能は「動作周波数」という処理の速さと、「コア数・スレッド数」という処理を何人で分担して行うかという2つ(3つ)の数字で示されますが、ここの詳しい説明は割愛します。基本的には数字がデカい方が性能も良いです。これは基本的に指定された型番と同等の性能のCPUで問題ないでしょう。最悪の場合でも、ラップトップにしない限りは後から換装できます。

次にメモリです。これは同時に複数のプログラムで作業する際に、多ければ多いほど快適な動作が期待できます。これは最低でも16GBを確保することをおすすめします。現代のパソコンではとりあえず16GB積んでおけば間違いありません。ゲームの推奨システム要件がそれ以上要求するのであれば当然それ以上積んであげましょう。
なお、8GBはWindows 10搭載パソコンにおける「健康で文化的な最低限度の生活」のラインです。
4GB? 論外です。むしろそれでゲーム向けのパソコンを運用できる人はこの記事を読んでいる場合ではありません。お願いですからそのカリカリにチューンされたパソコンについて記事を書いてください。

グラフィック。パーツ名としては「グラフィックボード」や「GPU」と呼ばれ、ゲーム目的ならば最も気を配るべきパーツです。しかし同時にわかりづらい部分でもあります。と言うわけで、とりあえず推奨システム要件のパーツ名だけメモってください。この場合であれば、「NVIDIA Geforce GTX 1060」か「AMD Radeon RX 570」ですね。で、このパーツ名を下記のようなサイトで探します。私は「GPU 比較」でGoogle検索して適当なページをセレクトしました。

はい、各GPUの性能が数字で出ましたね。基本的には推奨システム要件で提示されたGPUと同じもの、あるいは性能比較表でそれよりも数字が大きいをセレクトしておきましょう。

ちなみに、前述のCPUも同様の手順で検索することもできますし、より正確な性能の比較ができます。多少の手間をかけても万全を期したい場合はやる価値が十分にあるでしょう。

DirectX。基本的にここでつまづくことはありませんが、セレクトしたCPUかGPUが古すぎるとボトルネックになることがあります。一応CPUとGPUの商品名とゲーム名で検索しておくのが吉です。

ネットワーク。これはいろんな人が別の記事書いてますし割愛。

ストレージ。データの読み書きが高速で快適なゲームプレイが担保されるSSDがおすすめですが、HDDに比べると容量あたりの単価が高価です。また、換装以外にも「増設」と言う選択肢も取れるため、購入段階で妥協するならばこのストレージでしょう。

と、このようにして購入するパソコンのスペックをある程度決定したら、パソコン工房やツクモといったBTOパソコンを取り扱う店舗のWebサイトなどで見積もりを出してみます。

予算が足りない場合は、無理予算に合わせたパソコンを購入せず貯金すべきでしょう。デスクトップはパーツの換装ができますが、それはお金が余分にかかるのは言うまでもないことです。後からもっと高性能なパーツが必要になって買い足すのと、最初から性能が足りていないのでは話が違います。是非、そこは踏みとどまってください。

予算は足りていましたか? おめでとうございます、それでは購入……の前に、是非コンピューターに詳しい友人に相談してみましょう。最初から相談してもいいのですが、話を聞く側としてはゼロからよりもたたき台がある方が話がしやすいですし、何よりここまで話したシステム要件のことやパーツのことを理解しているかどうかで説明の内容も変わってきます。

ここまでやって問題がなさそうであれば購入、と言うような流れになります。手間はかかりますが、パソコンはいわゆる「大きな買い物」です。後悔の無いよう、準備はしっかりすべきでしょう。

このご時世で外出もなかなか叶いません。あなたが選んだあなただけの愛機でインターネットの海を駆け、多くのゲームを楽しまれることを心から願い、筆をおこうと思います。

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