夜のほしぞら瞬くそのとき | シロクマ文芸部
約1700文字
珈琲ともあれ口に含む爺が部屋の隅より観る
「またか御嬢」
ベッドのうえパニエで膨らませたドレスを着てすわる女の子がシーツを握りしめて泣きつづけてまったくうるさい
「こんどのひとほんとうに素敵だったの死にたい信じてすらっとして指がきれいで優しくて素敵で死にたい髪もふわっとしててすっごく撫でてあげたくてお願いしたら触らせてくれてくすぐったいよって言ってくれて死にたい素敵で」
爺がニコチンガムをガシガシと頬張る
「喫っていいわよこんなドレスなんてもう要ら