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夜灯性タンポポ詩歌集

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【自作の詩歌のみ集めました】公開日順に並べてあります。
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2023年11月の記事一覧

うつす  #シロクマ文芸部 #詩

詩と暮らすようになりました じぶんが なにかを作れるようなことなど ありません ただ 図書館のかたすみに ひと棚だけある 詩歌の たくさんの前にたち 一冊を手にとります たとえば夜 じぶんをゆるせなくなりくびに手をかけたときに その一冊をおもいだし かばんのなかから とりだすのです  写すのです  お気にいりの万年筆でも 昼につかったボールペンでも  なんでもいいから せんせいたちの詩歌をうつすのです せんせいたちは わたしの知らないことばも使って 詩を

夜のほしぞら瞬くそのとき | シロクマ文芸部

約1700文字 珈琲ともあれ口に含む爺が部屋の隅より観る 「またか御嬢」 ベッドのうえパニエで膨らませたドレスを着てすわる女の子がシーツを握りしめて泣きつづけてまったくうるさい 「こんどのひとほんとうに素敵だったの死にたい信じてすらっとして指がきれいで優しくて素敵で死にたい髪もふわっとしててすっごく撫でてあげたくてお願いしたら触らせてくれてくすぐったいよって言ってくれて死にたい素敵で」 爺がニコチンガムをガシガシと頬張る 「喫っていいわよこんなドレスなんてもう要ら