健康であることの幸せ

しみじみ思う。

美味しいご飯を噛んで飲み込める

味わうことができる幸せ。

痒いところをかける幸せ。

夜体制が辛くなったら

寝返りができる幸せ。

トイレに一人で籠ることができる

幸せ。

咳払いができる幸せ。

思いっきり深呼吸ができる幸せ。


五体満足、健康な状態は

それだけで幸せなことだ。

なんでもできる。

やろうと思えば行動できる。

なぜやらないんだ。

できないと思ってしまうんだ。

(自分に対して。)


私の母は今年で63歳。

2年前にALSという難病になった。

身体の筋肉が徐々に動かせなくなっていく病気で

治療法はない。

母は口から始まり

今はもうしゃべれない。

伝えたいのが

「痛い」なのか

「暑い」なのか

「寒い」なのか判別できず

もどかしい。

ただただ必死さだけが伝わり焦る。

動きづらさはまず、舌に現れた。

喋ることはもちろん

食べることも困難になる。

舌で食べ物を転がし

混ぜながら噛むというのは

美味しく料理を食べるのに

欠かせない動作のようだ。

母の口の中では

食べ物が上顎にくっついてしまい食べられない。

ミキサーでドロドロにするから、

全て味が合わさってしまい

私たちが食べているものとは程遠いものになってしまった。

今は焼き芋と羊羹と

シュークリームのカスタードクリームのみを

口に含み、飲み込んでいる。

唾液が気管に入り

苦しそうに息を吸う姿も何度も見た。

ああ、私は幸せだ。

何の苦しさもなく

食べれる、息が吸える、動作できる。

ただただ悲しい。

どうしてこんな病気があるのか。

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