どうエンゲージしているかの言語化、可視化が共通の課題ですね [ミヤザキコラム vol.7 AnyMind 竹本龍司さん対談]
こんにちは、UUUM noteです! ミヤザキコラムvol.7は ミヤザキワタルとAnyMindの竹本龍司さん の対談です。
(写真左から)竹本龍司さん(Managing Director, Product Development, AnyMind Group)、ミヤザキワタル(UUUM インフルエンサーマーケティングコンサルタント)
<AnyMind Groupについて>
AnyMind Groupは、インフルエンサー・クリエイターなどの個人、メディア・ブランド企業向けに、生産・EC構築・マーケティング・物流をワンストップで支援するプラットフォームを、世界13市場17拠点で提供するテクノロジーカンパニーです。2021年3月に UUUMとの業務提携の基本合意を発表、今後、包括的・戦略的パートナーシップを推進していく方針です。
ひとりめエンジニア と なんでもマン
(ミヤザキ)
こんにちは、今日はわざわざご来社いただきありがとうございます!
(竹本さん)
こちらこそありがとうございます!近いですし、まったく問題ありません!(AnyMindさんのオフィスは六本木ヒルズにあり、UUUMオフィスがあるミッドタウン・タワーまで徒歩10分ほどです)
(ミヤザキ)
まず、プロフィールについてあらためて聞かせてください。
(竹本さん)
はい、現在、AnyMindで開発責任者を務めています。もともと十河(CEO)と知り合いだったので、WEBサイト制作などを手伝っていたんですが、英語を話せるようになりたいと思ったのと、タイで働けるというのが魅力で、創業半年ぐらいの時期に、ひとりめのエンジニアとして入社しました。
テック組織を作ろうと、当初ベトナムで20名ぐらいのチームを作りましたが、より多くのメンバーを採用しようと、各国からメンバーが集まりやすいタイに移り、現在はプロダクト開発チーム全体で、50名近くになりました。日本にも10名程度いる状況です。
現在、8個のプロダクトがあり、開発全般を見ています。
ミヤザキさんはいつ頃入社されましたか?
(ミヤザキ)
5年ほど前で社員60-70名ほどの頃です。その頃は六本木ヒルズの34階でしたね。(ちなみにUUUMは六本木ヒルズで34階→35階→37階と移転しました)
いろいろ経験してきました!まずはYouTubeタイアップのセールスチーム、そして、オーディションを開催して次世代クリエイターを発掘していた時期もありますし、バディを務めた期間もあります。
現在は、プラットフォームとのメニュー開発や、分析とマーケティングの全体設計を行うストラテジックプランニング、キャスティング、タイアップコンテンツ進行チーム、製作チームといろんな分野の統括を務めています。
ターゲットリーチだけでなくエンゲージメントに注目
(ミヤザキ)
では、本題です。UUUMとAnyMindさんの提携による可能性について、竹本さんはどう見られているのか、伺わせてください。
(竹本さん)
弊社の強みのひとつといえば、インフルエンサーマーケティングプラットフォームです。実はこのプロダクトだけでも4年の間に3回大きく作り直しているんです。この磨かれ続けてきたプラットフォームを使っていただくことによって、データを活用したプロモーション施策に還元していきたいと考えています。
(ミヤザキ)
海外でも展開されているAnyMindさんということで、質問させてください。国内に比べて、海外のクライアントにデータを求められる場面は多いですか?
(竹本さん)
海外といってもいろいろでして、AnyMindとしてはコンプライアンスにもかなりこだわっていますが、例えば東南アジアに関していえば慣習的に「#PR」のような広告案件の明記を付けないケースもあり、データはあまり求められないこともまだまだ多いです。これが、インドや中東だと細かく数字を求められることもあります。
(ミヤザキ)
ほお。僕がUUUMにジョインした頃、フォロワー数については特に求められることが多くて。ターゲットリーチを特に求められるクライアント様が多かった印象です。でも、それが少しずつ変わってきたと捉えているので、いま、海外だとどうなのかな?と思って伺ってみました。
(竹本さん)
その点、僕たちが事業展開をしている13市場の中でも地域差があります。また、グローバルの代理店さんは数字を特に気にされる傾向はありますね。
(ミヤザキ)
確かに、代理店の方が数字を気にされる傾向というのは国内でもありますね。
クライアント企業様から、POSで取れているデータなどと突合したプロモーションのフィードバックをいただいたりすることもあるんですね。UUUMから各クライアント様のPOSを見ることはできないので、同じようなことができないかと試行錯誤してきたんですが、今後はAnyMindさんのプラットフォーム活用で、そこが一歩前進できると考えていますし、社内からもそういった期待の声があります。
(竹本さん)
いま、Instagramメインですが「このクリエイターさんに近しいクリエイターさんは◎◎◎さんです」というのをデータからレコメンドする機能もあるんです。
クライアント様がプロモーションの施策を考える上で、それまでスポットライトが当たりにくかったクリエイターさんが発見されるようになるのではないかと思っています。
(ミヤザキ)
ターゲットリーチだけでなく、エンゲージメントに注目されることが多くなってきましたからね。たとえば、再生数は目立って多くはないのに、そのクリエイターがPRした商品が棚から消えた、とかいう事例が注目されるようになって、この1-2年でだいぶ変わってきました。
それをデータによって、分析できるといいですよね。
(竹本さん)
D2Cのサポートをやっている文脈もあって、そこは肌感でわかるようになってきました。数十万再生された動画と、数万再生の動画があって、購買につながったのは、数万の方だったというような事例がちらほらありますね。
業界が成熟していくにあたって、こういう方々の存在が明確になってきた。それがデータではなかなか可視化されてこなかったんですね。
どうエンゲージしているのかを捉えるには
(ミヤザキ)
AnyMindさんのデータ活用に関しては、データの蓄積によって「推移」がわかるというところにも可能性を感じているんです。
というのは、クリエイターのコンテンツの傾向も時とともに変わっていくし、イベントやメディア出演などでも動きが起きるんですよね。それがデータからより可視化されるかなと。
(竹本さん)
ちょうど、フォロワー数の増減やコンテンツの推移について、時系列でマッピングしてみようかと話しているところなんです。Twitterトレンドもあわせてグルーピングしてみて、何らかの傾向か、何か突発的なきっかけがあったのか、キーとなるタイミングがあると思うんです。
▽フォロワーのコメントやハッシュタグなどのデータを分析したワードクラウドのイメージ
(竹本さん)
UUUMさんとご一緒することで、可視化したデータについて、このクリエイターさん、このポイントでは何がありましたか?と突合していくことを重ねると、さらに具体的なポイントがつかめるんじゃないかと期待してるんです。
(ミヤザキ)
また、活動の場であるSNSプラットフォームが変わることでも、だいぶクリエイターの特色も変わると考えています。PR施策のプランニング上、SNSプラットフォーム ✕ クリエイター ✕ コンテンツという掛け算になるのですが、この掛け算の変数がわからないと成り立たないので、変数がわかるようになることを期待しています。
(竹本さん)
例えば、YouTubeとInstagramでいえば、フォロワー属性がかなり変わりますよね。YouTubeは男女比のバランスがとれている、あるいは、男性の方が若干多めに出ます。Instagramは女性が明らかに多い。
また、海外だとエンゲージメントが「軽い」んですね。東南アジアの場合、気軽に「Like」するんです。100万フォロワーで10万Likeとか余裕でついたりします。国内だったらエンゲージメントレート10%なんてすごい!って思いますよね?だから国や地域によって、エンゲージメントレートはまったく別ものです。
(ミヤザキ)
活動の場を変えていく中で、クリエイターのやりたいことをかなえることができるかもしれないですよね。そういったデータ提案のしかたに可能性を感じます。データを見るときに意識するポイントなどありますか?
(竹本さん)
最近は、データをとるだけでなく、グッズの購買時やファンミーティングの時にアンケートも実施することがあります。
意外とフォロワーさんについて、ある程度の属性的なことだけはわかっても、どこで何にエンゲージしているかがデータだけではわからないケースもあります。「だったら聞きにいこう!」とシンプルに考えたのがアンケートです。
(ミヤザキ)
どんな形のアンケートですか?
(竹本さん)
結構多めに質問をして、NPS(ネットプロモータースコア:企業やブランドに対してどれくらいのロイヤルティがあるかを数値化した指標)のちょっと発展したような形です。
エンゲージメントレートを可視化したい
(竹本さん)
ところで、UUUMさんにクリエイターさんが所属するときは、スカウトもあるんですか?
(ミヤザキ)
はい、スカウトもしています。
(竹本さん)
その時に特に注力して見られているポイントはどこですか?
(ミヤザキ)
その方がYouTubeで公開しているコンテンツを見て、UUUMとしてサポートやアドバイスしてあげられるような方向かどうか、ですね。たとえば健全性とか。また、UUUMネットワークに加入している方に、一定の基準を満たすと専属になりますか?とお声がけして面談からというのもあります。
(竹本さん)
新たに入っていく方々に関しては、フォロワー数やコメント数だけを指標にすると厳しくなっているんじゃないかと思っていて。
(ミヤザキ)
そうですね、以前のような方程式だけではあてはまらなくなっています。幅広い方が参入し、参入障壁も低くなっている中で、UUUMの強みは圧倒的多数のチャンネルをサポートしていますから、しっかりと平均を捉えられることですね。
登録者数でいうと100万人をこえていないチャンネル、例でいうと「UUUM GOLF」のようなファンとのエンゲージメントの高いチャンネルでの施策のグッドケースも多く出てきていますね。
(竹本さん)
僕たちも、コメント数やフォロワー数だけでないところ「エンゲージメントレート」を可視化できないかという取り組みはすでに初めています。個々のコメントを読みこんだりすると、どうやらエンゲージメントレートが高そうだな、という方々がいます。
そういう方々についてはフォロワー数100万人には届かなくても、マネタイズがうまくいくようなサポートもできると思うんです。
(ミヤザキ)
課題として、アトリビューション分析が難しいというのはあります。YouTubeは「刈り取りの場」ではないというのがあって。落ち着いてからアプリダウンロードする、とか、商品比較をいろいろしてから購入するとか、購買意欲への効果はなかなか可視化できないんですよね。
データからの説明が難しいと感じていたので、そこをご一緒できたら、統合プランニングとしてSNSプラットフォームを横断してご提案しているので次はこのSNSでこうやりましょうとか、継続したご提案がしやすくなります。
(竹本さん)
はい、インフルエンサーマーケティングは単発施策もよくありますが、もったいないですよね。あるクリエイターさんが動画を出して、3ヶ月後にまた別のクリエイターさんが動画を出すなら、その谷間の時期にできることがありますよね。
「買う理由」 と 東南アジア独特のネット購買行動
(ミヤザキ)
ここまでのお話しとかぶる部分もあると思いますが、インフルエンサーマーケティングの変化について、どう捉えているかというのを伺いたいです。
視聴者が変わってきた?と感じることがあって。「買う理由」がわかりにくくなってきているというか。「あれ?いま買う?」みたいな、衝動的な買い方だったり。そういう変化が起きているのかな、と。
(竹本さん)
何がトリガーになって購買が発生したのか捉えづらいということですよね。
(ミヤザキ)
D2Cを見てこられているから、わかると思うんですが、比較検討もあまりせずに買っちゃうみたいな消費のしかた。たとえると、コップに水がたまっていくように、それがたまっていく途中だったり、すでに上まできていて、ちょうどそこでプロモーションを見て、もう買う!というのもあるでしょうし。そのコップの水がいっぱいになるタイミングがわかりにくい。
(竹本さん)
D2Cブランドを見てきた中で、ファンに「こういうモノがくるよ」とか伝えて「熱量」を高めておくと、初速がぱっと高まるというのはあります。ただ、初回の販売開始時のプロモーションにフォーカスするだけだと、2回目3回目とブランドを継続的なものとしてやっていこうとするときに難しくなりますよね。
熱量を冷まさずにどう継続していくか、ブランドさんも購買データを提供してくださったりするので、そこを読み取っていくようにしています。
(ミヤザキ)
熱量を冷まさない方法、ですよね!
(竹本さん)
CRM(顧客関係管理)的な話になると思いますが、定期的なコミュニケーションをとって、クライアントと設計できるとうまくいくと思っています。
(ミヤザキ)
視聴者が慣れてきたということも関係しているんでしょうね。
ちなみに、海外だとどうですか?
(竹本さん)
例えば、東南アジアでは日本と少し違った購買行動があって、ECサイトで購入するというよりLINEやInstagramのメッセージでやりとりをして購買の意思決定をする人が多い国もあります。
そういった場合だとチャットコマース的に、僕らがはさまってやりとりして、クレジットカードをお持ちでない方が多い地域では銀行振込で買ってもらいます。
(ミヤザキ)
チャットコマースというところでむしろひとつ先にいっている?みたいな気もしますね!
(竹本さん)
チャットでもそのままの熱量で会話するので「信用できるから買う」というような感じです。
チャットボットに向けて、フォロワーさんから「おーい」とか「かわいい」とか声がけもきたりします(笑)なので、この時間にはクリエイターさんが返信します!など、より熱量を高めるような取り組みをやっています。
(ミヤザキ)
地域によって、それぞれの文化が形成されているんですね!
UUUM と AnyMind、どんなことやっていきましょうか
(ミヤザキ)
最後に。UUUMとAnyMindさんでこんなこと一緒にやったらおもしろそうか、というお話しをしたく。
これまでのお話ししてきた中で、思ったんですが、クライアントのエンゲージメントを出すというのをやってみたいと思いました。
継続施策によって、このクリエイターといえば◎◎◎◎だよね、みたいな印象がつくことも起きていると考えていて、そういったエンゲージメントを可視化できると面白いのではないかと思うんです。
(竹本さん)
クライアントさんのSNSアカウント分析サービスも提供させていただいているんですが、エンゲージメントがどのタイミングであがったのか、トラックできる仕組みです。SNS以外のデータもクライアントから提供いただいて合算できたら、と考えていて、そこはまさにやっているところです。
(ミヤザキ)
インフルエンサーマーケティングの付加価値が見えてきますね。
(竹本さん)
クライアントさんのSNSアカウントのファンが増えると、一緒に何かをつくることもやりやすくなります。単発でなく、徐々にあがっていく感じのグラフが描けるように。
それからクリエイターのアカウントに紐づくマッピングについては、UUUMさんが圧倒的データをお持ちなので、大変な作業にはなると思いますが、50ぐらい分析してみたら、何らかの傾向のとっかかりは見えてくるのではないかと思っています。
(ミヤザキ)
クリエイターひとりひとりに深いストーリーがあって。そのひとつひとつと照らし合わせてマッピングしていくことによって、データだけではわからないことが見えてくると思うんです。
(竹本さん)
UUUMさんにツールを活用していただくことで、クリエイターさんのレベニューソースを増やすお手伝いをしていきたいと思っています。
また、東南アジアでは今、日本のコンテンツを好意的に受け入れる方が多いのでクリエイターさんにとっておもしろい取り組みもできるのではないかと思っています。
(ミヤザキ)
クリエイターがチャレンジできる環境を整えるのがUUUMの使命なので、そこをご一緒できるのはうれしいです。日本の文化を広げていくというのも楽しみですね!
コロナが落ち着いたら、イベントもやりたいと思っていて。デジタルで得たデータの答え合わせができるので、エンゲージがどう変わるかのデータ化したいです。
(竹本さん)
イベントでは多くのデータを蓄積できますし、ぜひ。「効く」のはわかるけど、それを言語化しづらい、というところに取り組んでいきたいですね。
(ミヤザキ)
そこが実感してもらえるような取り組みをご一緒していくのが、目標ですね!今日はありがとうございました。これからのお取り組み、楽しみです!
竹本さん、お越しいただきありがとうございました!
両社の強みをいかしたアイデアが出てきて、楽しみになる対談でした!「クリエイター・インフルエンサードリブンな未来」に向け、これからもよろしくお願いいたします!(編集モモヤマ)
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