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プラットフォームや社会と、クリエイターの架け橋として ── UUUM×リバティタウン 代表対談

こんにちは!UUUM noteです。今回はUUUMの社長 梅景匡之と、YouTubeクリエイター TikTokクリエイターのマネジメントを手掛ける 株式会社リバティタウンの代表取締役社長 本田一世さんの対談コンテンツをお届けします。お互いYouTubeクリエイターマネジメントに携わり、MCN(マルチチャンネルネットワーク)でもあるという両社。MCNとしての課題感や今後の展望などについて、代表同士、じっくりと語り合いました。

左から:本田一世さん(株式会社リバティタウン 代表取締役社長)、梅景匡之(UUUM株式会社 代表取締役 社長執行役員)

「クリエイターの役にたちたい」という根っこは同じですね


(UUUM 梅景)

今日はお越しいただいてありがとうございます。かつて日本国内のMCN(YouTube)はかなり少数でしたが、最近拡大され2021年にリバティタウンさんも加わりました。お互い、MCNとしてこれまでも会話の機会はありましたが、改めてUUUM noteという場で対話することで、共通の課題感や新たな視点を得られるのでは、とそういう試みです。

──ではさっそくですが、リバティタウンさんは昨年、「MCN」となってからの変化などありますか?

<MCNについて>  GoogleさんのYouTube公式ヘルプページからの引用でご説明します。
「マルチチャンネル ネットワーク(MCN)とは、複数の YouTube チャンネルと提携し、視聴者の開拓、コンテンツのプログラミング、クリエイターのコラボレーション、デジタル著作権管理、収益化、営業などを含むサービスを提供するサードパーティ サービス プロバイダです。MCN に加入するすべてのチャンネルは、チャンネルの審査を受け、YouTube の収益化ポリシーを遵守する必要があります。」

YouTubeヘルプ  マルチチャンネルネットワーク(MCN)の概要

(リバティタウン 本田)
2017年の創業前に遡ってお話ししますと、当時僕は22-3歳でしたが、身近なところにSNSで伸び始めたり、YouTubeを始めるような同世代の人たちがいました。そんなスタートアップの様子を間近で見られる時期があって、これだ!と育成に特化した事務所として創業したんです。
育成に特化しているからこそ、チャンネル開設から、登録者数100人も1000人も1万人もすべて一緒にお祝いできるというのが特徴です。クリエイターと一緒に駆け上がり、苦楽を共にしてきた感覚なので、常に「クリエイターのためにできること」を考えて動いてきたと思います。そういった背景もあって、MCNとなった後で気づいたんですが、当時からビジネスの意識はあまり強くなかったかもしれないですね。

(梅景)
その感覚は、創業当時のUUUMにも近いと思います。僕たちの場合は、ゼロからスタートする方たちというよりは、すでにYouTubeクリエイターとして活躍していた方たちに関して、周辺部分でいろんな困りごとがあるというのを見つけたのが創業のきっかけですが、苦楽を共にするというところは同じような体験をしていると思います。

(本田)
先日梅景さんと会食でお話しした時も、規模感はすごく違いながらも悩むことはすごく似ていると思ったんです。それまではUUUMさんに対して勝手に闘志のようなものを抱いていたんですが、企業としてのルーツや考え方に大きくは変わりはないように感じました。

(梅景)
アプローチの仕方が違うところはあると思いますが、「クリエイターの役にたちたい」という根っこは同じですね。

「個の時代」の意味がずれて伝わっているように感じていました


(本田)

YouTubeをやりたい!やるぞ!と始めた人たちが、MCN、事務所に所属せずに続けていたら、気づいたらYouTube活動に専念できずに事業者のようになってしまうパターンはすごく多いと思います。サポートをしている側だからこそわかりますが、YouTubeでの活動をひとりでやるのはすごく難しいことなんですよね。

(梅景)
もちろん、所属せずにできる方もいますが、すべてを自分でできるというのは実は相当レアですね。

(本田)
そのレアな方たちの一部が「事務所いらない」と声高に発信することで、大半のそうではない方たちも傾くような現象も一時期ありましたが、「個の時代」の意味がずれて伝わっているように感じていました。本来は、個人がクリエイターとしての活動に専念できるように、僕たちが機能していると思うんですが。

(梅景)
クリエイター本人では手が回らないような部分をUUUMが担うことは重要ですね。さらに言うと、クライアント企業との取り組みもどんどん増えていくので、折衝、交渉が必要になります。そこはYouTubeクリエイターやインフルエンサー活動することとは別のスキルだと思うんですよね。

(本田)
誰にでも可能性があって、個人で誰でも始められるのがYouTubeであって、そこで活きる才能は、身の回りの管理や営業には向かないことが多くて、クリエイターにとって自分でそこを担うのはデメリットが多いと思います。

(梅景)
我々の役割にも、攻めと守りがあると思っているんです。
攻めでいうと例えば、クリエイターさんが何かを将来やりたいとか、実現したいことがあったら、その実現までしっかりと引っ張って行くような役割ですね。「このゲームタイトルに関わるお仕事をやりたい」という目標があるとして、その競合タイトルばかり日常で遊んでいたら、当然お仕事につながらない。そういう感覚を持つのはひとりでやっていると難しいですよね。
守りは例えば、トラブルに巻き込まれることもあるし、誹謗中傷の対策など。そこにかかる時間や労力をクリエイティブに注力してもらえるようにサポートします。専門知識も必要ですし、ひとりでやっている方には難しいことは多いと思います。その面でも我々の役割は重要ですね。

(本田)
「個の時代」の中、個人としてのクリエイターの活動のクオリティを上げ、安全性を担保する意味で、MCNとしてプロフェッショナルでなければならないと思います。そういう意味では、単なるお手伝いという領域を超えて、クリエイターが求めるもの以上に、僕らとして何ができるかということを、常に考え続けているんですが。

(梅景)
端的な答えとしては、簡単に出せないものですよね。

(本田)
そうなんですよね。求められるものもどんどん高まって、変わってきますし。

(梅景)
時代は変化し続けますからね。かつてはUUUMの姿勢を「クリエイターファースト」と表現していた時期もありました。もちろん、いまも広義の概念としては当てはまりますが、表現としては合わないと考えています。
関わる人たちや規模も変化して、クリエイターが喜ぶこと、イコール発展とは限らないんです。ファンや視聴者、関わる企業などあらゆるステークホルダーがwin-win-win-winとならなければ、結局はクリエイター自身の利益にもならない。そこに向かって共に歩いていける関係値でありたいという意図で、現在は「共創」という表現をしているんです。

クリエイターの声や意見を必要なところへ届けられる立ち位置でありたい


──ここでお二人に質問です。インフルエンサーという職業が増えてきている中で、MCNであり事務所としてどんな展開をしていきたいと考えていますか?

(本田)
これは僕も梅景さんからぜひお聞ききしたいです。

(梅景)
本当ですか?(笑) 僕個人の考えですが、今後も、MCNや事務所に所属せずに活動する方々は一定数いることにはなると思います。一方で、個人の活躍が広がれば広がるほど、法令や業界ルールが追いついてないという課題も見えてきているのも事実で、今後ここに変化は起きていくと考えています。

ちょっと話がそれますが、先日、はじめしゃちょーとUUUMからCMO市川が消費者庁の検討会に出席する機会がありました。ステルスマーケティング対策についての検討会で、はじめしゃちょーと河野大臣の対話もあったんですね。

(本田)
あっTwitterで見ました!

(梅景)
僕たちMCNが率先してエシカルなインフルエンサー文化を作っていかないと、インフルエンサー全体が社会からの信用を失う方向に進みかねないと思うんです。
現在のUUUMは専属やネットワークに限らず、多くのインフルエンサーの方たちとご一緒する立ち位置であり規模になっています。
世の中の変化に対応して、しっかりとクリエイターの声や意見を必要なところへ届けられるような立ち位置でありたいし、それができるところに僕たちの存在価値があるのではないかと思っています。

(本田)
やはり僕も目指すべきところはそこなのかなと思っています。
創業から6年目、ようやく「リバティタウン」という社名の意味と環境が紐付いてきたように思います。業界全体でいろんなことが整っていない中、「街づくり」のように新しい世界ができてきました。今そこで、僕たちはどう携わることができるんだろうとよく考えるんです。
クリエイターが作ってきたカルチャーや、エンタメの本質は守りたい。でも色々チャレンジしていかないと広がらないし、持続できないじゃないですか。クリエイターたちが作ってきた土台は絶対忘れず、その上で進化するためのチャレンジも率先してやっていくべきなんだろうなと、最近は思っています。

常に試行錯誤して、変化の矢面に立っていかなければならない


(本田)

そういう意味ではUUUMさんはずっと以前からですが、矢面に立つ覚悟のようなものがすごいなと、僕たちも見ていて思うんです。

(梅景)
心は折れますけどね。ボキボキに(笑)

(本田)
事務所に所属せずに活動する方々も、実は、UUUMさんが切り拓いてきた道を歩いているんですけどね、と思っています。例でいうと、タイアップ投稿に入れる提供表記、これもUUUMさんが試行錯誤してまとめたものですが、他の事務所やフリーの方も倣うようになって今や当たり前となりました。
常に試行錯誤して、変化の矢面に立っていかなければならないのがMCNということなのではと思うんです。僕らもUUUMさんのように道を切り拓いて、その道を「事務所いらない」と声高に謳う方々も含めみんなが歩いて行くというような(笑)まだ見ぬ世界ですが、心折れることも多々あるだろうなと思います。

(梅景)
切り拓いた道を当たり前のように感じてもらえるのも光栄ですが、とはいえ、すでにできた道だけで進んでいこうとしたら、発展はないですよね。

(本田)
はい、チャレンジして広げていかないと持続しないと思っています。これからも新たな領域、たとえばショート動画の収益化やショッピング機能など、プラットフォームにおけるマネタイズポイントも常に変化していきますし、オフラインイベントも復活してきたり、メタバースも豊かになりつつある、どの状況においても、僕たちは、クリエイターをプロフェッショナルの領域に連れて行ってあげられる存在でなければならないと思います。

(梅景)
次に進んでいくには自ら動くしかないんです。そして、そこには一定数、反対する人もでます。UUUMの中期戦略「インフルエンサーギャラクシー」も発表当時、波紋を呼びましたが、社員でもいまだ「そんな急に変われないよ」と言う人もいるぐらいですし。

(本田)
業界全体、クリエイター全体の未来を考えないならば、挑戦しないという選択もあると思うんです。でも、UUUMさんのように率先して変化する行動をとっていかないと物事が変わらないし、僕らはチャレンジをしていく方の選択をするべきだと考えています。
リバティタウン社員たちも、日々クリエイターと一緒に何かを作り上げるのは大変なことで、僕個人としてもいつも感謝しています。でも今後さらに、チャレンジしていく中で、矢面に立っていろいろ言われたり、心折れそうになることもあるかもしれないですよね。そんな中で消耗してしまわないように、小さなことでもクリエイターと分かち合える達成感を連続して起こしていって、その先に変革や大きな達成感を一緒につかもうよと。これ、今リバティタウン社員にすごく伝えたいことなんですよね。

(本田)
ひとつ質問したいことがありまして、梅景さんから見たリバティタウンってどんな存在ですか?

(梅景)
一言で表すのはすごく難しいですけど、先ほども言ったように、プロセスやアプローチの仕方は違いながらも、根っこが近いというのは以前からお話しする中で思っていました。当然、同じ業界なので事業的に被る部分もあるとは思いますが、変な意味でぶつからない気がしますし、業界やMCNを発展させていこうという中で、タッグを組める会社さんなんじゃないかなと思っています。

(本田)
ありがとうございます。今日これだけは聞きたいと思っていたんです(笑)

MCN側で対処できるのは信頼面でも利便性でも、企業、クリエイターにメリット


(本田)
UUUMさんが切り拓いた道を当たり前のように感じると話しましたが、その分、多くの方にとって、MCNとMCN以外やフリーの方々の違いがわかりにくくくなるのかもしれないですね。とはいえ、僕らがめげずに伝え続けていくことで、MCN、事務所に所属する意義がより明確になっていくようになるとは思っています。

(梅景)
例えば音楽の許諾ついて版元企業の方々とお話しする機会がありますが、許諾をもらえる理由はUUUMがMCNだからというのは大きいんです。音楽レーベルも音楽MCNである場合が多いので、MCNの機能について理解が早くて。コンテンツを管理できて、何か問題があったらMCN側で対処できるので、そこのコントロールができるのは重要なんですよね。これは、タイアップ動画においても、企業さんとクリエイターがお互い安心して取り組むために重要な機能だと思いますし、どの事務所でも当たり前ではない点なんですよね。

(本田)
その点、リバティタウンは昨年5期目でMCNになったので、その前と後でやれることが全然変わったことが今すごくわかる状況です。企業からいただける信頼もついてきたと思っています。その事実を、より多くのクリエイターさんや、一般の方々に知ってもらいたいなというのが直近の課題なんですが。

(梅景)
かつては、YouTube主催でYouTube Spaceにクリエイターを集めてMCNの説明をするような機会もあったんですが。コロナもあって無くなっていて、僕らがMCNの役割やメリットを伝えるような場がなかなかなくて。

(本田)
オフラインは難しくても、オンラインでも何か伝えられるといいですよね。
WEBのまとめなど間違った記事の影響で、事務所イコールMCNという誤解もあったり、そもそもMCNが何なのかというのは伝わっていないのが現実ですし。

(梅景)
ただ、直近はMCNが増えて、昨年リバティタウンさんも選ばれましたが、僕らとしてはその動きはプラスにとらえています。

(本田)
ありがたいです!

(梅景)
もちろん、競合だらけになるほど増え過ぎたら嬉しくないですが(笑)
MCNの認知度も上がるでしょうし、クリエイターにとって選択肢が増えるのはいいことですから。入る、入らないの二択ではなく、クリエイターのステージや目指すものによって、フィットするMCNがどこなのか、というのを考える余地ができます。そういった選択肢があるということも、クリエイターに届くといいなと思います。

(本田)
本当にそう思います。

(梅景)
それからかなり基本かなと思う話ですが、YouTube中心で活動するクリエイターであれば、YouTubeのアカウントが全てといえますよね。それを失うようなことがあったら本当に全てが止まるわけで。そのチャンネルを絶対的に守るという側面でも、MCNだからこそ強力な貢献ができているわけです。

(本田)
例えばある動画で原因不明の黄色マーク(警告)が出てしまったケースでも、MCNとしてプラットフォームとやりとりして、対処していただけたり。そういうのはすごく強みですよね。他にも、クリエイターの公開中の動画でサムネイルを差し替えたいというような時、本人が作業しづらいタイミングもありますよね。そんなときに僕たちの方で代わりに差し替え作業ができたり。そういう細かな部分でいうとメリットはたくさんあります。

(梅景)
本当に日常の些細なことでも、それができるできないによって、ストレス度が全然違いますからね。企業タイアップの場合も、タイトルを少しミスって公開してしまったとして、MCN側で修正対応ができるのは、信頼面でも利便性でも、企業、クリエイターにメリットだと思います。
このメリット、MCNではない事務所さん所属の方や、個人でやってる方には、体験していないだけに、伝わりにくいことなのかもしれないとも思っているところですが。

プラットフォームや社会とクリエイターの架け橋に


──最後に少し角度を変えて質問させてください。「未来予想図」というワードから連想することはどんなことでしょうか

(本田)
僕は「難しくなる」派なんです。第何世代、第何世代というように次々と出てくるのは難しいのではないかと考えています。誰でも始められるからこそ、本当にいろんなジャンルのクリエイターさんがたくさん出てきました。その中で勝ち抜いていくのは難しくなっていくと思います。
動画に対する視聴者さんの向き合い方も変わってきているので、どうアプローチしていくのかですね。たとえば番組化の風潮もある一方で、撮ってます感のない動画の方が実は再生されていたりとか、7-8分よりも30分尺の動画をお風呂やメイクしてる間に見たいという需要もあったり。リバティタウンとしてはチャンネル開設から伸ばしていく方法論は見えてきたので、僕らはやりやすさも感じていますが、ひとりでこっそりチャンネルを始める人が、キラキラと活躍するクリエイターさんになるまでの道のりは険しいのではないかなと。

(梅景)
インフルエンサーやクリエイターという言葉の指す範囲が広くなりすぎたと思っています。
例えばゲームの領域では、ストリーマーや実況者、eスポーツ選手、ショートやTikTokのクリエイターと、同じ領域の中にも多岐にわたる活動スタイルとプラットフォームが存在しています。
僕らはどのプラットフォームでどんな活動する人たちを、どうサポートしていくのか、というのは今後もずっと考えるし、課題であり続けると思います。
それに、プラットフォームをまたいで活躍するような人たちも増えてくると思うので、MCNとしてどうあるべきかを考えるべき時はもう目の前に来ていますね。いいことである側面もありつつ、複雑化もしているし、淘汰も起きるだろうというのが来年、再来年に勢いを増すんじゃないかなと思うんですよね。

(本田)
住み分けができることが、クリエイターにとっていいのではと思うことはあります。僕たちとしては、そこに対する嗅覚というか、未来を守るためのひとつひとつの行動をしていくしかないですね。

(梅景)
人によってプラットフォームとの相性はそれぞれありますしね。
僕たちはプラットフォームの考えをクリエイターに伝えたいし、クリエイターの思いもプラットフォームにフィードバックしたい。
プラットフォームや社会とクリエイターの架け橋になることができるのも、MCNだからこそだと思うんです。
今MCNがあるYouTubeと一部のTikTokだけでなく、他のプラットフォームにもMCNの概念ができてもいいのではないかなと思うんです。プラットフォームを利用するあらゆる人たちにとって、悲しんだりつらい思いをするようなことが起きないようにするという側面でも必要な考えかもしれないですよね。将来的には、そういった啓蒙も業界横断でやっていきたいですね。

── 代表対談はここまでです。ありがとうございました!
梅景さんの話にもあるように、思いや課題感で共通点がある両社、それに業界の他の企業さんも連携してクリエイターの未来のために取り組んでいけるといいなと思いました。UUUM×リバティタウン、次回は役員4名による座談会をお送りします。お楽しみに!

読んでいただきありがとうございました。そしていつものお願いです。フォロースキ(ハート)をぜひー!

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