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BTS シュガさんのこと

幼いころ、家の庭で蛇を見かけた。都市とかけ離れながらも山や畑のあまりない、なんの変哲もない住宅街で暮らしていた私にとって、蛇は実在するものでありながら、どこか信じられない存在だった。あ、と声を出す間もなく蛇はその後ろ姿(蛇に後ろ姿があるのかということはこの際置いておく)だけを見せて消えてしまった。私はこのことを祖母にだけ話した。別に不思議な話でもないのに、祖母は信じなかった。


どうしてこんな話をしたのかということは私にもよくわからないけれど、シュガさんのことを考えているとこのエピソードが思い浮かんできたのだった。よく猫に例えられるシュガさん。よくわかる。とても愛らしく、とてもクールでとても照れ屋なシュガさん。猫みたいだ。でも、私は初めてシュガさんを認識したとき、その真っ白な肌のせいだろうか、蛇みたいだと思った。神秘的な雰囲気を纏った、美しい蛇みたいだと思った。少し、人を寄せ付けない感じがした。今だから言えることだ。


同時に感じたのは、淡い放電のようなもの。難しいことは何もわからないけれど、シュガさんは鋭く、ときに挑発的なラップが特徴的な人だと思う。でも同時に、その声の向こうでなにかがピリピリと放電しているように思うこともあった。それが何かわからない。でもなんとなく、寂しくなった。有名になっていく過程で、周囲から親しい人が離れていったとシュガさんが言っていたことを思う。

아직도 여전히  니가 난 그립고 또 그립네         「어땠을까」

シュガさんは、誰よりも他者を希求している人なのかもしれないと今は思っている。


蛇は自分で体温を調節できず、外気の影響をもろに受ける。人から恐ろしいという印象を持たれがちだし、実物を見ると怖いけど、私にはなんとなく愛おしい存在だ。蛇は自分の体躯を抱いて眠る。もしかしたら外気から少しでも自分を守ろうとしているのかもしれない。私には、シュガさんも自らを抱きしめているように見える。これ以上何も取りこぼさないように。そしてBTSのメンバーは、シュガさんにとって春の日差しなのだと私は信じている。



あの時見た蛇はどこに行ったのだろう。何度冬をこえて、何度春をむかえただろう。


(シュガさんお誕生日おめでとうございます。)

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