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真空のゆらぎ

人とは違う視点を持った友達が、国立新美術館で期間限定展示、「大巻伸嗣  真空のゆらぎ」をみて開催中もう一度行こうと思ったくらい良い。と話してくれたので
私も見たいと思い今日行ってきた。

各地の美術館や、展示会を見るのが好きだから
今回もワクワクした気持ちで会場に向かった。

初めて美術館目当てに東京の地を訪れた。

同時開催で、全国書道展もしておりまずはそっちから見ることにした。保育園の年長の頃から高校3年生まで、書道を習っていたから字に関してはそこそこの知識がある。だからとても面白かった。

そして、とても気持ちが良かった。
迫力満点の字。作品を作り上げた人の表情が浮き上がって来るほどの氣を感じた。

私には出来なかった、魂を込めた作品。

墨のかすり具合や筆の入れ方、全ての作品がとても気持ち良かった。
自分から出る息が冷たくなっているのを感じた。サウナで整ったあとの息の感じに似ていて、書の作品をみて整えるんだと感動した。

場所を移していよいよお待ちかね
「大巻伸嗣   真空のゆらぎ

入口に作者大巻伸嗣の紹介文とこの展示のコンセプトが書いてあり、読み終え中に入った瞬間鳥肌がたった。

すごい、、、。

そこには大きな壺。様々な動植物の文様が施されており
中から光がその壺を照らしていた。

たくさんの人がいるのに、会話がない。

みんな圧巻されて言葉が出ないのか。

私はただただすごいと感じた。
こんなに大きな作品を創り出したからすごいのか。
細かな模様がたくさんあるからすごいのか。
なにがすごいかはっきり分からないがすごいとこは分かった。未知があふれている。


この作品をこの場で一緒に見ている他の人達はいま何を思っているのか。涙する人、目をつぶる人、光の動きを一生懸命追う人、壺の前で写真を撮る人、様々な人がいて興味深かった。
私にこの展示会を勧めてくれた彼は何を感じていたのか。なにが彼に刺さりもう一度行こうと思ったのか。
興味深かった。

芸術家の考えはよく分からない。
分からなくていい。理解しない。できない。
でもすごいことは確かである。
なにがすごいかは分からないけど、すごいんだ。

壺を後にし、順路を進むとビデオが流れていた。
真空のゆらぎのビデオ。気づくと椅子に腰をかけ真剣に見ている自分がいた。

その隣は、ゆらぎの設計が事細かに書かれたノートの展示。一つ一つ1文字1文字読んだ。

さらに順路を進むと、真っ暗で静かな空間。
次はなにが私の目に入ってくるのかの、楽しみと
さらなる未知との出会いが少し怖く感じた。

そこは、風にゆられる柔らかいレースカーテンがあった
まさに真空のゆらぎだった。クラゲのようにもみえた。
毎回違う動きをする布。
毎日違う景色を見せてくれる空模様のようだった。

10分なにも考えずに、ただそのゆれる布を眺めていた

通路には、色の絵が。いろのえ。言葉で表現するといろのえになる。いろのえじゃないと表現できない。

色が薄いところ、濃いところ。
違った色が混ざりあって絵にみえる。
これも人の感性で見え方が変わるんだろうなーって面白かった。


出口付近は絵がたくさん飾ってあったけれど、多くが無題だった。その場にいる人全員で題名を考えたかった。

でも無題だから、その作品の良さがあるのだろう。

帰り際、ショップがあり真空のゆらぎを表している布のポストカードを買った。
部屋に飾っておこうと思う。


友達との待ち合わせ場所に移動しようと思ったのだが、
まだ時間があったため初めからもう一周しようとしている私がいた。

あー。この感覚か。勧めてくれた友達が感じたの

1回では物足りない、不思議な作品をもう一度見たくなる。なにがすごいかは全部見終えたあとでもはっきりとは分からないけれど、他では絶対に感じられない凄さがある。

人間も、ひとつの作品である。
魅力がある人、不思議な人、見たことない人
人と違うことをしている人、いろんなひと。ひと。

もう一度。何度でも逢いたい人。

今日見た真空のゆらぎは私がもう一度逢いたいと思う人に感覚が似ていた。だからもう一度見たくなる。

オススメしてくれた彼はなにを思いもう一度見たくなったのか。私とは全然違う意見だろうな。

こんなに感想を持てる展示会は初めてだ。

面白かった。すごかった。好きだ。

25日までの展示会。自分へのクリスマスプレゼントに。
ぜひ真空のゆらぎを。




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