露の世は露の世ながらさりながら 小林一茶

天然痘に罹って亡くなった娘は、露のようにはかなくあとかたもなく消えてしまった。理性ではわかっており、納得している。とはいっても、心の整理がつかない。亡くなったのは娘で、自分の中の娘はまだ生きているのである。娘の面影が目にはりついており、そこかしこに生々しい娘の姿が浮かんできてしまう。そのたびに娘を亡くした現実を思い知らされ、胸の痛みを感じ悲しみに暮れる。露と消えた娘が不憫でならない。

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