思惟像を見てより秋思形成す 杉阪大和

奈良時代を代表する中宮寺の半跏思惟像は、官能的なしなやかさで圧倒的な美しさを誇る。ロダンの考える人より凛として気高く芸術性が高い。頬にさりげなくあてられている右手の細くたおやかな指先はかぎりなく色っぽく、今にも動きだしそうで生々しい。かすかに微笑む表情は、すべてを包み込むような優しさがにじみでている。モナリザの微笑みよりも魅力的で艶めかしい。物思いにふける姿として目に浮かぶのは、半跏思惟像である。

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