秋の灯のテールランプが地に満てり 阿波野青畝

テールランプは、後続の車に赤いランプを灯して自分の存在を知らせる。稲妻のように左右に光が流れたり、ライオンの目のように鋭く光ったりする。行楽地からの帰り道、高速道路の渋滞につかまると、赤いランプの列が地の果てまで延々と連なり、壮観な眺めとなる。雨が降って地面が濡れていたりすると、その反射光も加わり、あたり一面が赤い灯の海と化す。赤い灯に満ち照り輝く別世界に、渋滞のイライラも忘れうっとり眺めている。

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