シェア
カラオケは苦手だ。何も言わなくても一回は回ってくるから歌いなよ、と言われていたけど、結…
世界に不要な情熱を持った人々が集まるのが、このキャンパスの隅にある部室棟だ。私はこのむ…
月曜日の休み時間には、サッカーラジオが聞こえてくる。電波を受信するものではなく、隣の席…
スティックが刻むリズムに合わせて私は足を踏む。曲が始まる。ベースとドラムは信頼関係が大…
「石浦君てサッカー部だったよね?」 隣の席の南さんに初めて話しかけられて声が詰まった。 …
大学生とは飲み会をする生き物である。蒸し暑い夏空の下、牢獄のごとき狭さのサークル棟は今…
カタヌキという縁日の遊びをご存じだろうか。板状の砂糖菓子のようなものに、いろいろな形の型が付いていて、それを針を使ってくり抜く遊びだ。俺は子供の頃、これに夢中になり、18歳になった今でも縁日がやってくると、一人でふらっと、いつもの出店を探しに行く。最初、店主はオヤジさんだったが、いつからか孫娘のようなお姉さんがやるようになった。 「おっ、いらっしゃい、今年も来たね。難しいの作ったよ」 ここのお店はレベルの高い型を手作りしていて、俺はいつもその挑戦を受けていた。 「いや
就職を機にこの地に引っ越してきた。1LDKの賃貸に一人暮らしをしていると、時折、寂寞に襲わ…
「すみません、ちょっといいですか?」 僕は駅前の交差点で声をかけられ、信号も赤だったので…
眠い。睡眠時間が7時間を切る日が3日以上続くと、1日が睡魔との戦いで、まるで仕事にならな…
切り取られた空しか見たことがない。朝目覚めると湧き出た気持ちは、僕に自分の世界の輪郭を…
宵闇の中、某大学の部室棟前の空き地ではバーベキューコンロの炭がパチパチと鳴っている。大…