宇宙船の窓から昔の私、時間の観念が崩れた

宇宙飛行士、野口さんが三回目の宇宙から帰還されました。
一般の人が宇宙船に乗る事ができるのも、もうすぐみたいです。
肉体ごと宇宙に行くのでなく、体脱して宇宙に行くのは
もう多くの人が体験していますが
私も何度か宇宙船に乗った体験をしました。
そんな宇宙船で不思議な事を経験しました。

ある日離脱して宇宙船に乗りました。
その時の宇宙船は、割と大きな船で母船なのでしょうか。
中は広くて廊下が続き、横にドアが並んでいます。
もっと小型の船や、別の内装の船も乗りましたが
ここには何度も来ているような慣れた感じがします。

廊下で何人かの宇宙人とすれ違うのですが
宇宙人も私を見慣れている様子で気にしていない感じです。
みんな忙しそうで、バタバタと通り過ぎて行ってしまいます。
私に気づいた一人が
「あら、また来たの、今忙しいので自分でテキトーにしててね」
というような想いを伝えてきて、サッサと行ってしまいました。

私も、どこに何があるかを何となく知っています。
暫く廊下を歩いて、あるドアの前で止まり中へ入ります。
部屋の中は誰もいなくて、一人でソファーに座り窓から外を見ていました。

窓から見えるのは漆黒の宇宙で、遠くに地球が見えます。
暫く眺めていると、遠くにあった地球に視界がズームアップしていきます。
日本から東京にどんどんズームして
日本から東京にどんどんズームして
子供の頃に住んでいた家の上まで視界が近づきます。
平屋の家の玄関の横に三歳の頃の私が居ます。
夕飯時、母に叱られて外に出されしゃくりあげて泣いています。
大人になってからも、何故かこの時の理不尽な想いを
忘れる事はありませんでした。

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何か悪戯をしたのでもなく
ほんの些細な事が若かった母には癇に障ったのでしょうか。
叩かれて外に立たされて、どうしていいか不安と悲しみで
夕暮れの中立ちすくんでいた小さな頃。
宇宙船の窓越しの私は、孤独な三歳の私を見て
切なさがこみ上げてきました。

「あなたは何も悪い子じゃないよ
 ただね、お母さんはちょっと虫の居所が悪かっただけなのよ」
そんな事を心の中で呟いて
できる事なら三歳の私を抱きしめてあげたかった。

不思議な体験でした。

自分がどんな悪いことをしたのかもわからず
罰を受ける悲しみは、心の傷になっていたのかもしれません。
あの時、未来の自分が空の上から見守っていてくれたなんて
思ってもみなかった。
地球で三歳だつた私と、宇宙船での大人になった私は
同時に存在するのでしょうか。
何故か時間の観念が壊れた不思議な体験でした。

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