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『怪人と少年探偵』(江戸川乱歩)

*2021年11月朗読教室テキスト②アドバンス
*著者 江戸川乱歩

作者のことば
怪人二十面相はまほうつかいのようなふしぎなどろぼうです。二十のちがった顔を持つといわれる変そうの名人です。名探偵明智小五郎の助手小林少年と少年探偵団の団員たちは、この怪人をむこうにまわして、ちえの戦いをいどむのです。
「こども家の光」昭和三十五年八月号

朗読を始めた十数年前に、「江戸川乱歩を読んだら面白いだろうなぁ」と思ったことがあります。その時は著作権の問題で読めずに終わりましたが、うっかり、いつの間にか著作権保護期間が終了していました。TPPの著作権保護期間延長70年にもかからずに、念願の明智小五郎です。
 
深夜のデパート、真っ暗で誰もいないはずのフロアでは、一体のマネキンの目がキョロキョロと動き出します。かと思ったら、フラフラと手足が動き、階段を上がり、宝石売り場で陳列棚を覗き込み・・・・
難しい漢字もなく、平仮名で書かれた江戸川乱歩の探偵小説は、そのせいもあってか童心に返ったような気持ちで読み進むことができます。
小学4年生の娘は「名探偵コナン」をきっかけにミステリーにはまり、シャーロックホームズ、アガサクリスティー、そして江戸川乱歩も大好きになりました。今では私以上に本を読みますが、これらのミステリーが「本の虫」への道を開いてくれたといっても過言ではありません。難事件のわくわく、どきどきが次の一文字、次の一行へ進ませ、いつの間にかページをどんどんめくっています。「本を読む」という作業に難しいことは何もありません。アドバンスコースといえど、細やかな心情や表現の難解さを常に追うわけではないのです。ビギナーも、アドバンスも、その先にあるのは本を読むことが楽しい、朗読することが楽しいというシンプルな気持ちなんだなと思います。そしてその小さなことが、自分の想像を超えた広い世界を見せてくれることがあるのです。
知らない世界へ導く第一歩、その魅力を今一度思い出してみようと思います。

今月のアドバンスコースは江戸川乱歩の『怪人と少年探偵』です。私もいつも以上にワクワクしながらレッスンを進めたいと思います。

11月のオンラインスケジュール
ご予約はメールにてお申し込みください。


*底本 『江戸川乱歩全集 第23巻 ー怪人と少年探偵ー』光文社文庫
 2005年7月20日初版第1刷発行
*文中の太字は本文より抜粋






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