可不ちゃんの曲を一つ作った話
七月七日に可不ちゃんが出たばかりだが、それに伴って曲を作った。
その時の制作記や考えた事を備忘録として残しつつ、可不ちゃんの感想や合成音声ソフトの事について書いてみようと思う。
曲制作記
七月六日の朝。
「可不ちゃんの曲作らないとなぁ…」
そんな事を考えつつ、DJ MAX RESPECT Vをプレイする自分。
今回のSteamサマーセールで唯一買ったゲームだ。
「どーすっかなぁ…」
低難度の譜面を埋めながら考え事するのは捗る。
一応七月に入ってから曲は作り始めていた。
が、サビだけ出来た時点でどん詰まりに陥ってしまったのである。
なまじっかいい感じに出来すぎて、自分の今の技量では扱いきれなくなってしまったのである。
「やっぱ一から作るかぁ…」
とはいえ、七月六日である。
七日になって可不ちゃんが発売されてから、出来るだけ早く曲を完成させたい。
なんなら歌を入れて微調整するだけの状態に持っていきたい。
となると、六日の間に大体出来ているところまで持っていかなければならない。
やるしかない…。
私の技量では捻ったリズムの曲は出来ないので、とりあえず簡単な感じにした。
昼間ウンウン悩みながら作り、夕方頃に大まかな構成は出来た。
次は歌詞である。
身内で「七月は星の競作をやろう」みたいな話になってたし、ちょうど七夕。
星がテーマの歌にしようという事は決めていた。
だいぶかわいい感じの曲になってきたので、歌詞もかわいい感じでいこうと決めた。
ので、星関連かつかわいい感じのワードチョイスで二時間ほどで書いた。
かわいい感じにするとなると、あまり難しい言葉は使えない。
この制約が意外と難しかった。
次に思い浮かぶのは……。
「せっかくだから絵も描きたいな…」
延期に延期を重ねて待望のリリース。
普段あまり生誕祭みたいなノリには乗っからないのだが、何ヶ月も前から待ってたしここはいっちょ便乗したいという気になる。
というわけで絵を描く事にした。
私の技量が足りないので、世の神絵師のようなイラストは描けない。
ゆるーい感じにかわいく描いた。一時間かかったかな?
この時点でクタクタだったので、一旦寝る。夜十時くらいに起きる。
起きてからまた曲の微調整をしつつ、零時を待つ。
いざ零時。
とりあえず描いてた絵はTwitterに投稿。
意気揚々と公式サイトを見に行くが…DL版の販売リンクが無い。
しばらく待っても来ない。
仕方がないので三時までDJMAXをやる。
三時になり、各DL販売サイトで普通に販売始まってる事が判明。
公式〜〜〜!仕事してくれ〜〜〜!!!
が、三時からいつも聴いてるラジオがあったので、購入してDLしつつもとりあえずそっちを聴く。
五時前にラジオが終わり、いよいよ可不ちゃんの歌入れに着手。
ベタ打ちでめちゃくちゃ歌ってくれる。かわいい。楽しい。
歌のメロディはDAW側で作っておいて、MIDIデータにして読み込んだ。
歌詞入れたり音符の長さの調整したり。
音符が短いとめちゃくちゃブレスが入るので苦しそうになる。
調声自体は少しタイミングいじったくらいか。
といってもボカロほとんど触った事ないからかなり適当だけど。
どんどん朝になっていく。
この時点でかなり徹夜テンションみたいな感じになる。
意味なく部屋で奇声発したり奇行に走ったり。不審者。
物作ってゾーンに入った時、割とこんな感じになりがち。
歌出来てからまたDAWに戻ってバランス調整したり音足したり。
んでようやく完成。
それから欲を出して動画をアップロードしようとする。
が、当然スタイリッシュなMVを作るスキルは無いので、先刻描いたイラストを静止画として貼っつけて歌詞の字幕を流し込む形にする。
払ってて良かったアドビ税。こんにちはPremiere pro。
とはいえ歌の歌詞を字幕表示する方法も調べながらやるくらい無知である。
それでも何とか七日の正午くらいに色々出来上がってアップロード。
これにて可不ちゃんRTA完了。
めちゃくちゃ疲れた。こんくらい切羽詰まった創作はもう二度とやりたくないレベル。
もっと余裕を持ちたい。
曲について
制作記でも書いた事を繰り返すのだが、七月に入ってから実は別の曲を作っていた。
が、それのメロディがあまりにもいい感じに出来すぎた結果、扱いきれない。
なんならループ素材重ねまくっていよいよ扱いきれない。
サビだけ作っていい感じにはなってたので、いつかちゃんと作りたいと思ったり。
とか言っておきながら本当に作るかは不明。
そんなわけで、新たに作った今回の曲はリズムも割と簡単。
コードはみんな大好きJust the Two of Us進行をそのまま引っ張ってきたもの。
あとは可不ちゃんの歌をメインに据えたかったので、割とシンプルめの曲にした。
かわいい歌にしたかったので、かわいい音をチョイス。
kawaii future bassでよく使われてる系のやつ。
それから歌詞もかわいい言葉で書くようにした。
難しい言葉が使えないという制約がつくと意外と難しい。
ちなみに初めてまともに作った曲である。
1ヶ月くらい前からちょいちょい曲自体は作っていたが、どれも中途半端だった。
メロディまできちんと作ったのは初めてである。というか歌モノも初めて。
可不ちゃんの歌声は一応DAW側で少しだけいじった。
この前のIzotopeセールのバンドルで買ったNectarが初めて輝いた瞬間である。
なので、今回は細部まで拘らずに「とにかく七日中に完成するぞ!」という意気込みだけでやった。
よく「〆切を設けてやるといいよ」とは聞いていたが「確かにそうだな」となった。
人は強いられると案外何でも出来るものである。
でもすごく疲れるのであまりオススメしない。
有名ボカロP達が高級レストランの料理のような存在だとしたら、急にそんなものになれるわけはない。
自分は無理せずおいしい家庭料理あたりを目指していこうと思う。
続けてたらそのうちレストランにもなれるかもしれない。知らんけど。
可不ちゃんについて
今回歌ってもらった可不ちゃんの使ってみた感想も書いてみよう。
まず可不ちゃんについての説明だが、CevioAIというソフトの一員であり、正確にはボカロではない。
だが、ミクさんなどのボカロ(最近はミクさんもボカロと言っていいのか怪しい。ややこしい世界である)と同じように、音と歌詞を打ち込んだら歌ってくれるソフトウェアである。
Youtubeなどで主に活動しているバーチャル・シンガー花譜ちゃんの音楽的同位体…のような存在である。
花譜ちゃんの歌も少しだけ聴いた事があるが、まず何より特徴的な歌声。かわいい。
それから心に突き刺さるような、儚くも芯のある歌い方が魅力的だ。
可不ちゃんは、花譜ちゃんのこの歌声の部分がかなり再現されている。
そして、これは可不ちゃんに限らずCevioAI全体に言えることだが、歌声の生々しさが凄い。
機械が歌っているとは思えない、まるで人間のような歌声なのである。
ボカロを生々しく歌わせるには、ある程度の調声技術が必要だ。
だがCevioAIはベタ打ちでもそこそこ歌ってくれる。
譜面の間隔があいていたら息継ぎも自動でする。それがまたリアル。
息継ぎが凄すぎて幅いじらないと苦しそうな事もしばしば。
あと可不ちゃんに関して特筆するべきなのは、カスタマイズ性はそこまでない点だろうか。
ボカロや他のCevioAIにもあるフォルマントバー。
いわゆる声質をいじるバーだ。
ここをいじる事によって、シンガーの声が大人っぽくなったり、逆に高い子供っぽい声になったりする。
可不ちゃんにもフォルマントバー自体はあるのだが、いじっても変化がない。
これはおそらく意図的なものである。
本家花譜ちゃんがバーチャル・シンガーなので、あまり似せすぎると色々困るといったところだろうか。
(発売前のアンケートでもそんな話があったらしいので)
とはいえ、やろうと思えばDAW側で調声は出来てしまうのだが。
まあ可不ちゃん単体ではあまり声はいじれないので、カスタマイズ性を求めるなら少し物足りないのかもしれない。
自分は可不ちゃんの他にミクさんがいるのだが、ミクさんはカスタマイズ性高いので、そういう意味ではバランスが良いのかもしれない。
いい感じに使い分け出来そうである。
色々書いたが、一つだけ確実に言える事。
とにかくかわいい。これに尽きる。
合成音声ソフト界隈が再び熱い
可不ちゃんの事について色々書いたが、近頃また合成音声ソフト界隈が熱い気がする。
可不ちゃんの凄さについては前項でたくさん書いたので割愛。
CevioAIで今出ている他のシンガーは、結月ゆかりさんと東北きりたん。
どちらもボイロなどでお馴染みだが、CevioAIのゆかりさんときりたんはかなり凄くなっていた。
機械感ない。人間じゃん。
どちらの声も好きなので、そのうちお迎えしたい欲がある。
可不ちゃんと同じ日に出たNEUTRINOのNo.7。
NEUTRINOの恐ろしいところは、結構クオリティ高いのにフリーソフトという点だ。
No.7の声はロックな声優っぽい楽曲に合いそうな感じ。
他にも東北イタコ、ずんこ、きりたんの三姉妹もいたりする。
直接打ち込む形ではなく、DAWや楽譜ソフトからMusicXMLを出力して読み込ませる形式だ。
使い方に癖はあるが、仮歌などの用途ではかなり使えるのではないだろうか。
つかこれが無料って。凄くないですか。何。
忘れてはならないボカロ。
ミクさんもV4Xになってからだいぶ進化した。
ブレスなどは手動で入れなきゃいけないが、ベタ打ちでもかなりいい感じに歌ってくれる。
初音ミクNTも発売されて間もない。
NTも凄いらしいが、調声が難しそうなのとV4Xの方がソフト的に融通ききそうなのでV4Xを買ったわけだが。
他はflowerがちょっと気になるといったところか。
でもミクさんもっと上手く扱えるようになってからだなーとか。
あと結構前から名前だけ耳に挟んだ事のあるUTAU。
今更よくよく調べてみたら結構面白そうなので、ちょっと導入してみようかなと考えている。
こうして見てみると、合成音声ソフト界隈も結構奥深い。
可不ちゃんの登場で更に盛り上がりを見せそうだ。
長々と書いてきたが、とにかく可不ちゃんはかわいい。
買って良かったし、今後もたくさん歌ってもらいたいと思っている。
「初めてのボカロはやっぱりミクさんがいいな!」と可不ちゃんの前にミクさんを買ったが、結局ミクさん用の曲を作っていないので申し訳ないという気持ちに。
ミクさん用の曲も作りたい。エレクトロなFuture Popっぽい感じがいいだろうか。Perfumeみたいな。
曲作りでは、ミキシングとマスタリングの知識が圧倒的に足りてないなと感じたので、今後はそこらへんの勉強を重点的にしていきたい。
YoutubeのHOWTO動画あたりを漁ろう。
自分の曲を投稿してから、あえてきちんとチェックしていなかった他の可不ちゃん曲などを聴いてみたが、やっぱりクオリティが凄い。
発売前の公式デモ曲が立て続けに公開されていて、それは軒並み有名ボカロP達なので凄いのは当たり前なのだが。
正直、一曲作り上げる前に聴かなくて良かったーと思った。じゃないとハードル上がりまくって一生曲出来ないところだった。
まあ曲のクオリティが凄いのもだが、MVのクオリティが凄い。
ボカロに限らず最近流行りのYOASOBIやヨルシカ、ずとまよの夜三銃士などもそうなのだが、とにかくMVが凄い。
(まあ一応ボカロ経由ではあるからそういう文化なのかな)
で、そんな凄いMVを見ていると、自分もあそこまではいかなくとも何かスタイリッシュなMV作ってみたいな〜という欲求がわいてくるわけである。
次はアニメーションと動画か。米津にでもなるつもりか。完全にキャパオーバーだぞ。
余談だが、ボカロ界隈は2018年くらいからクオリティが跳ね上がっている印象がある。
といってもそこまでボカロに親しんできたわけじゃないから勝手な推測でしかないんだけど。
2015年くらいまでは有名曲の動画でもまだ素人感が残っていたが、最近の曲は完全にプロのお仕事だ。
多分2018年あたりにVtuberの台頭、米津玄師のブームなどが重なった影響で、個人作品のクオリティにも影響が出たのだと勝手に思っている。
動画制作やDAWなどのツールが一昔前より使いやすくなったというのもあるだろう。
それこそYoutubeやネットでたくさんツールの情報は拾えるし。
そんなわけで今後もぼちぼち頑張っていこう。
しかし、文章もイラストも曲も作りたいし手芸関連もやりたい。
そのうえでアニメーションや動画まで手を出したらどうなってしまうのか。いやはや。
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