血痕

心の古傷が開く瞬間。
じわじわと血が溢れ出す。
ぽたぽた、ぽたぽた。
血溜まりを作り出す。

激痛に耐えながら。
それでも立ち上がろうとする戦士。
立ち上がる事は出来ない。
這いずりながら前へ進む。
戦士は決して後ろを振り返ろうとしなかった。

「そんなに苦しみながらどこへ行くんだい?」
見えないおばあさんは聞いた。
「無理しないでこっちで休んでおいき。」
女は甘い声で囁いた。


戦士はすべて無視して這いずり続けた。

戦士の這ったあとには赤黒い痕跡がのこっていた。

サポートして頂けたらとても嬉しいです。頂いたサポート金はイラスト本やツールなどの自己研鑽用、noteにおける創作の環境強化に使っていきたいです。