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創作のハードル

音楽でもイラストでも文章でも何でも、創作は第一歩目が肝心だ。
というか第一歩すら踏み出せず挫折するパターンが大半である。

これらに共通して言えるのは「何でも好きな事を思い出して表現すればいいんだよ」

まて。”好きなものって何なんだ?”

私は別に好きなものがないというわけではない。
だが、好きなものが多すぎて一つに絞れないという困った性質である。
あまり拘りがないといった方がわかりやすいか。
つまり、明確に嫌いなもの以外は大体好きなのである。

最近身の回りでプチ作曲ブームが起きているのだが、作曲のやり方を知って「楽しい〜!」とどんどん作り続ける人たちを横目に、とりあえず4小節だけ作った私の手は止まってしまった。

こっからどう作ればいいか全然分からない。
出来たとしても絶対しょぼくなる。

初めて創るものなんて完成させる事が重要なのであって、おかしくてもヘタでも何でもいいのだ。
いいのだ。
頭では分かってる。

だが、どうしても手が止まってしまう。
要因として挙げられる事は…自分の中のハードルが高くなりすぎている。
世の中にはたくさんの素晴らしい音楽が溢れていて、私は結構様々なジャンルの音楽に触れてきたという自負がある。
高校生から色々なロックバンドを見るためにライブハウスに何度も足を運び、夏フェスに行き…。CD屋店員をやっていた時期は、巷で流れているポップ・ロックスに限らず、結構コアなジャンルを耳にする機会もあった。
Spotifyで知らない音楽を掘り下げるのも好きだから尚更。

つまり耳が肥えてしまったのだ。
耳だけ肥えたところで、いざ自分がやるとなると最初からいい曲が作れるわけがない。
頭の中ではかっこいいイメージが浮かんでも、実際にはしょぼい音が出来上がる。脳内イメージとの瑕疵。
先に述べたとおり、初めての創作なんてしょぼくても何でも完成させる事が大事である。
それは分かってはいるんだが…やっぱり手が止まってしまうわけだ。気が進まなくなる。気付いたら全くやらなくなってしまう。

実際、イラストは基本模写ばかりやっているが、過去に何度かオリジナル絵も描いた事がある。
だが出来上がったものは、脳内のイメージとは全く違うもの。
それが分かりきっているので、オリジナル絵を描くのはなんだか気が進まない。
やっぱりイラストも、色々な画集とか上手い人の絵を見て目が肥えすぎてしまったようだ。
もちろん失敗を繰り返して人は上達していく、というのは分かってるんだけど。これを繰り返すのはどうにもしんどすぎる。完璧主義者だから尚更。

本当はもっと頭をスッキリさせて、無垢な気持ちでやればいいんじゃないかと思う。それが出来ない自分は不器用だとも。
しかし、もうそんな無邪気な時期は過ぎてしまったようだ。
子供のような無邪気さも無いし、天才でもない。ただの凡人だ。

歳を重ねるごとに、美しいもの、素晴らしいものをたくさん識る。
同年代もどんどん立派な人間になっていく。目だけ肥えて、知識だけ蓄えられていく。
新しい事への挑戦のハードルが歳とともに上がる。だんだん挑戦というものをしなくなる。衰える。

こんな衰え方は嫌だ。

イラストでも文章でも音楽でも…私はずっとこのフラストレーションを溜めてきた。
じゃあ諦めて完全に享受する側にまわるのか?それも嫌だなぁ。やっぱり何か創りたいという気持ちは捨てきれない。
あぁ〜、我ながらめんどくさい奴〜!

そこで飛びついたのは”模倣”である。
パクりを推奨するとかそういう話じゃない。さすがにそこまで堕ちてない。

他人の…というか自分がいいと思う作品をひたすら分析する。
分析の手段として、模写とか耳コピが存在する。
正直、分析だけでも楽しい。現に、私は最近模写ばっかしまくっている。
真似て描いてみて初めて見えてくるものだって沢山ある。パラパラ画集をめくるだけでは分からない細かいところも分かるようになる。
模写とかするようになって、巷に溢れている絵の素晴らしさがより分かるようになった。それだけでプラスである。

そこから「自分はやっぱりこういう絵が好きなんだな」「この絵のここがいいな」「こういう絵をいつか描けるようになりたいな」という気持ちがどんどん研ぎ澄まされていく。自分のライブラリに蓄積されていく。

そしていざ「描こう!」となった時に、そのライブラリの中から自分の好きな要素を沢山組み合わせて、自分で考えたオリジナル要素も入れて、初めてオリジナル作品が出来るんだと思っている。

道筋は見えた。ハードルはいつか超えられる。
正直このまま「自分でやろう!」という気にならなくてもいいんじゃないかってくらい充実はしてる。分析するだけで楽しい。


そんくらいの気持ちで、あとは焦らずのんびりやるだけだ。
今はハードルを超える準備段階。周りはひょいひょい飛び越えていってるけど、気にするな。
そもそも無理に飛び越そうと思う必要だってないんだから。大丈夫。

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