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うつわの移動販売という異例のスタイルからわかったこと。(これから移動販売を始める方へ)


こんにちは。うつわ屋enの佐原です。

2022年1月21日にオープンしたうつわ屋en。

うつわを移動販売するという、異例のスタイルで営業している私。

その奇抜さから『よく思いついたね』と褒めて?頂くことも多いのですが・・・

その言葉に少し違和感を感じていて。

たぶん移動販売と聞いてみなさんが思いつくイメージは、『集客に困らなさそう』『維持費が安く済みそう』とかかなと思います。

ちょこちょここう言った事を言われますし、『うつわを移動販売できるなら他にもいろいろできそうよね〜!』なんてことも言われます。

ですが、これには大きな落とし穴があります。

もし私のスタイルを参考に何かの移動販売をやってみようかな、なんて事を考えられた方がいたら(いないと思うけど)、ちょっと待って欲しい。


衝動買い、ついで買いはされにくい食器というジャンル

食器を買い足す時って、『今日は食器を買いに行くぞ』という意志をもってお出かけする方が多いのではと思います。

例えば、スーパーに買い物に出かけたらたまたま入り口に食器が売ってあったから・・という様なシーンでは、なかなか買わないですよね。

食器棚に入るスペースがあるかや、そもそもどんなお皿が足りていないかは、『食器棚の中を見て考えないとわかりづらい』という事が関係しているのだと予想しています。

飲食と違ってすぐに消費するものではないので、『ついで買い』という行動をする人は極端に少ないのです。

その証拠に、『うつわを販売するよ』という事前告知が不十分だった出店先ではほとんど売れません。

売れてもマグカップやデザート皿のように、その日の気分で使い分けるちょっとしたうつわあたりがパラパラと売れるだけ。

客数も少なければ客単価も低くなります。

また、出店先のお客様との相性にも大きく左右されます。

例えば、細身のパンツスタイルで綺麗めなお洋服を販売しているショップに通っているお客様は、磁器製品のようなツルッとした食器を好まれる方が多く、うつわ屋enが扱っている『ほっこり癒される土モノ』とは相性が悪いのです。

逆に、事前告知が行き渡っていて出店先のお客様との相性がよければ、驚くほどまとめ買いされるお客様が多く、客単価も上がります。

予想はしていましたが、とても面白い結果でした。

うつわの他にも、『長く使うモノ』に分類される商品はみなこういう結果になるのではと予想しています。

そもそも集客のために移動販売しているわけではない

そんな予想をしていたにも関わらず、なぜ移動販売というスタイルを選択したのか。

ここまでお伝えしたように、うつわにおいては、『自分からお客様に会いに行ったからと言って売れるものではない』事はご理解いただけたかと思います。

それでもなお、移動販売を選択したワケはいろいろあるけど、大きく2つ。

1つめは、地元に楽しい場所を作りたいという思いで始めたこのうつわ屋enを、他の地域の人にも楽しんでほしかったから。

私の地元は佐世保ですが、これから人口が減っていく中で、市だ県だと境目をつくる意味ってあんまりないと思うんです。

私を求めてくれるなら、自分の地元と同じように接したい。それには自分が動けばいいと思ったのです。

2つめは、わざわざ1〜2時間かけて買い物に行くという、田舎ならではの不便さをなんとかしたかったからです。

めいいっぱい仕事して、帰ったら家事に育児。
束の間の休息である休日に、子供たちを連れ、重い腰を上げて買い物に行く。

福岡へ行けば往復4時間。
子供達は思い通りに動いてはくれないし、ゆっくりり買い物することもできない。

また、日帰りで行けなくはないけど、疲労困憊で次の日に影響する。

充実感はあるけど、身体がきつい。

そんな思いをせずともお買い物ができるという環境を作りたかったんです。

だから、お客様が『こっちにも来てくれてありがとう』とか、『また来てくださいね!』とお声かけしてくださる事がとても嬉しいです。

少しでもその不便を解消できているのかなって。

ついでにこの記事の始めに触れた、維持費(ランニングコスト)がかからないという説については、『そうかな?』と感じています。

車両代、出店料、燃料費、駐車場代に保険代。車検に車の損傷修復、テントや什器の破損などを含めると、どちらにせよそこそこかかります。

移動販売だからコストが安い!なんてのは、移動販売の車を販売している人の苦し紛れの売り文句って感じがします。笑

ついで買いされないのにどうやって売上出すの?

さて、ここからはビジネス面のお話。

この記事は"今後移動販売を考えられている方向け"の内容なので、あえてビジネスの内容に触れますね。

先程、うつわは"ついで買いされるものではない"とお話しました。

ただ出店しているだけではお客様はうつわを買いません。

地元を楽しくしたいとか、不便を解消したいとか、精神論だけでは何も解決できないことはわかるかと思います。

ついで買いされない物を移動販売するなら、マストなもの。

それは、『SNSを使って事前にお店の商品がなんとなくわかる環境を作ること』だと考えています。

(もはや珍しい事ではありませんが念のため言いました。)

またこれには、出店させてくださるショップ様や企業様が事前PRにご協力くださることで結果は大きく変わります。

どうしても自分だけの情報発信では限界があるのです。特にオープンしてすぐは。

毎日SNSを開く人もいれば、3日に1回の人もいる。
検索機能を使うヘビーユーザーもいれば、友達の情報を見ているだけのライトユーザーもいるので、周囲のサポートが何より重要で、ありたがたいモノです。

事前の情報発信があり、うつわ屋enのInstagramアカウントへたどり着くことができれば、ご来店前になんとなくのラインナップがわかりますし、お家の食器棚のスペースや、どんなうつわを揃えたいかが整理できる。

お客様がご来店されるまでの障壁をできるだけ取り除いてあげることで、求めてくださるお客様と出会うことができ、結果はあとからついてくると感じています。

と言っても、Instagramの更新はさほどできていませんし、ライブ配信もゆるっとやってしまってて、全然満足はできていません・・。

もっと丁寧に紹介できたらと試行錯誤している途中ですので、うつわ屋enのアカウントについては今後にご期待頂けたらと思います。

まとめ

思ったより長くなってしまったので、この記事の内容をまとめると・・

・移動販売はついで買い向きである
・ついで買いされない商品は事前のPRが重要

です。

ただ1番大切なことはどんなビジネスをするにしても、『誰のどんな悩みを解決したいか』です。

もしくは、『誰のどんな欲求を満たしたいか』です。

私が解決したいのは、田舎暮らしのあらゆる不便。
仕事だったり買い物だったり。

だからこそ『地元になくてみんなが困っているもの』を作っていこうとしていて、うつわ屋さんはそのうちの一つ。

移動販売というスタイルこそが、それを解決してくれると思ったから選択しました。

これからまだまだやりたい事がたくさんあるので、私がどんな事をやっていくのか、楽しみに見守って頂けると嬉しいです。

ではまた。

うつわ屋enのInstagramはコチラ。

「地元には働きたい会社がない」という理由で地元を離れてしまう若者たち。そんな田舎で、「働きたい会社がないなら自分で作ってみよう」と思いうつわ屋さんを始めました。いつかは地元の「就職先」問題を解決するメディアを作りたく、サポート資金はそのメディア運営用の資金に貯金します!