AIで出版業界はどう変わるのか
みなさん、こんにちは!UTSUWA出版代表の山本です。
『みんなの知らない出版の世界シリーズの第17弾』をお届けします。テーマは「AIで出版業界はどう変わるのか」です。
「AIで出版社っていらなくなるんじゃない?」
「出版ってAIを使えば誰でもできるんじゃない?」
「だって原稿はAIで書けるでしょ!」
「編集だってAIがやっちゃうんじゃない?」
こんな思った人も多いのではないでしょうか。
AIで有名なChatGPTが出てきたのが、2022年12月頃。
弊社UTSUWA出版は、この頃不安に襲われました。
「もしかしたら、出版社という存在が必要なくなるのでは……?」
そう思い、倒産する出版社が増えることを危惧しました。
そんな当事者でもある出版社が「AIが出版業界に与える影響」について本音を語ることで、世の中にリアルな声が届くのではないか。
このnoteでは、そんな想いと考え方について伝えたいと思います。
AIで出版業界に革命が起きた!
ChatGPTが登場して以降、一般人でもAIが活用できるようになりました。
さまざまなところでAIが活用できますが、特に活用できる業界が出版業界ではないかと思っています。
なぜなら、AIが得意なことで、出版をほぼ実現できるためです。
AIは、以下のような得意だと考えます。
ごく一部ですが、このようなことが得意です。
それはつまり、編集者やライターがやってきたことなんです。
これらを、「短時間で、正確に、サボらずに、確実に遂行できるAI」は、すごすぎますね。
出版社の人間として、正直に言います。
『人間よりも、ある分野ではAIの方が優秀』
これは逃れられないことです。
これらの事実を踏まえると、言えることはひとつです。
この一言に尽きます。
AIで出版のあらゆる作業が楽になる
先ほど事例で挙げたように、AIは出版作業のあらゆるところで活用できます。
本の構成の考案から原稿執筆、編集作業までほとんどの出版の作業で使えます。
繰り返しになりますが、AIが得意な作業は人間が相当な労力を使って遂行する作業。それを確実にサボらずにエネルギーを使わずにできるわけですから、人間の仕事は楽になるでしょう。
弊社UTSUWA出版でも、ChatGPTを業務で活用していますし、ChatGPTをメインに使った本を数冊出版しました。
特に楽になるのが、編集者の仕事です。
編集者の仕事については、以下の記事で詳しく説明しています。
シンプルに編集者の仕事を伝えると、「本の内容を考え、読みやすくする」という役割があります。
本の内容はAIが考えるられますし、読みやすく編集することもできます。
そのため、編集者の仕事は楽になると思います。
っと思っていました。
2022年の12月の時点では……。
弊社UTSUWA出版でもいろいろ試行錯誤をしましたが、そんな簡単なモノではありませんでした。
「編集者の仕事は、50%削れるんじゃないか?」
そんな希望は打ち砕かれたんです。
AIで出版の仕事がなくなるわけではない
少し前までは、AIで出版のあらゆる仕事がなくなると思っていました。
しかし実際にAIを使って出版の仕事をしましたが、仕事がなくなったり大幅に楽になることはありませんでした。
本には人の想いが宿っていて、人の感情や考え方、独自の価値観などが書かれています。
それをAIは再現できないんです。
それっぽいことが書けたとしても、どこかAIっぽさが残っていて、想いの粒度が100%再現できないんです。
だからChatGPTを使って原稿を書いても、どこか機械っぽい。どこか表面的に感じる。
このようなことが起きました。
原稿のアイディアをもらったり、単純作業についてはAIを活用しきっていると自負できますが、想いを大切にする原稿の執筆作業・編集作業などはAIだけで遂行することはできませんでした。
つまりまだ現時点で、出版業界でAIだけを使ってクオリティを担保した本を出版することはムリだったということです。
今後のAIと出版の関係性「共存していく」
残念ながら、出版工程のコアで大切な領域をAI(ChatGPT)だけで作ることはできませんでした。
とはいえ、確実に人がやっていた作業をAIが担っていくはずです。
結論とすれば、AIと出版業界は共存していくと思います。
言い換えれば、ここ数年は「サブ的な仕事がAIに取って代わる」と考えます。
サブ的な仕事とは、「構成のアイディア出し」「言い換えのアイディア出し」などです。
アイディア出しをAIに任せることは、AIでも問題なくできますし、人間よりも優秀だと思います。
また、「要約すること」もAIで任せられることだと思います。
正直に言うと、弊社でもかなり活用しています。
このあたりの仕事は、人間よりもAIが優秀で、かつAIでも問題ない作業です。
まとめ
AIは出版業界に革命を起こし、いろいろな作業を劇的に軽減すると思います。
長文の要約や文章を読みやすくしたり、文章の言い換えなど、AIはこれまで人間が担ってきたさまざまな編集作業を効率的にやれるようになりました。
しかし、その一方で、人間特有の深い感情や独自の価値観をAIが完全に再現することは現在の技術ではまだ簡単ではありません。
それは人間の感性や経験、深みのある考え方が生み出すもので、AIがまだ再現できないことです。
このことから、人間とAIの共存が必要となっています。出版業界においては、AIの持つ効率とスピードが価値になりますが、一方で人間の持つ感性と視点が、より深みのある作品を生み出し、読者に感動を与える重要なことです。
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