田舎のニート
私は今、親のスネを齧ってニートをやっている。響きのいい言い方をすると、「家事手伝い」、「農家」だ。好きな時間に起きて、用意されているご飯を食べて、温かいお風呂に入って、好きな時間に眠りにつく。だがそんな生活にもそろそろ限界を感じていた。「甘えている」という意識が強く、常に焦燥感に襲われていて、毎日のようにパニックを起こして泣き叫んで暴れている。
それでも機嫌と調子が良い日は、決まって祖父母と一緒に朝食を食べ、洗濯物を干して縁側で雑談をする。そして9時を過ぎる頃になって祖母と畑へ向かい、旬の野菜を収穫したり草取りをしたりする。12時の鐘が鳴ると昼食の時間の合図だ、と帰り支度を始めてのんびりと家へ帰る。母親が用意したご飯を食べ、昼休みになる。14時半頃になると洗濯物を取り込んで畳む。15時を過ぎた辺りでまた祖母と午後の畑仕事へ向かい、少し作業をして16時半頃に家へ帰る。みんなが想像する隠居生活のような日常を送っている。
地元がいかんせん田舎なもんで、平日どこかに出掛けようと思っても図書館くらいしか行く場所がない。そうなると天気のいい日は畑仕事をし、雨になると図書館へ行き、本を読む。晴耕雨読の生活を必然的に送るようになる。そういった生活が私の体に合っているのか、全く苦ではない。むしろ楽しいと思う。ずっとこんな生活が送れたらな、と思う日もたびたび。それでも自立したい気持ちもあるため、もどかしさが残る。
定年が近づいた父親は、祖父母から山や畑での作業のやり方を教わっている。退職後に引き継ぐらしい。私も「祖父母と父親と親子三代で農家をやりたい」と思っている。楽しい、と思う事を日常生活の一部にしたい。
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