花火 理性の岸から
リアカーなきK村、動力借るとするもくれない、馬力。
こんな不完全な語呂合わせがいつの間にか世間に認知され、今の時代まで残っている事実は不思議で仕方がありません。
理系の人間に花火の話をすると、やれ炎色反応がと言い出して面倒ですが、先日大真面目に琵琶湖の花火大会を見てみて、色の他にも花火の分類の仕方があるに違いないと思いました。それが、「花火の開き方、閉じ方」です。
端的に言えばパワーポイントのアニメーションと同じようなものだと思ってもらえばいいです。花火がどのようにして現れ (表示効果: 緑)、どのように変化し (強調効果: 黄)、どのように消えていくのか (終了効果: 赤)。これを分類することに意味があるのか定かではありませんが、一つの分類学の方法論としてやってみるのも楽しいでしょう。
※次の章より、それぞれの花火のタイプを独特の名称で呼びますが、いずれもうつろが独自に命名したものですのでご了承ください。
表示効果
花火の現れ方には大きく「開く」か「開かない」かの2種類あります。さらにそこからもう1段階、広く分かれていると言っていいでしょう。いわば属と種のような関係になっています。
まずは開く花火。細かくは次のような種類があります。
点状花火と線状花火、それぞれの密度によって形は自由に変わります。また「花」と一概に言っても、朝顔のようなもの、ひまわりのようなものなど多岐に渡ります。いずれにしても本格的に花火を研究して分類方法を検討する余地がありそうです。
続いて開かない花火。
開かない花火なんてあるの?と疑問に思うかもしれませんが、実は最近増えてきています。1つが光るだけの花火。爆竹のような轟音と共に夜空に一閃の輝きを放つもので、今年の琵琶湖花火大会で初めて見て衝撃を受けました。もう一つが水面付近のもの寂しさを埋めるために下から打ち上げられるタイプの花火で、こちらは開くという表現をするのが正しいのかどうか、判断に困ったため入れました。
強調効果
上がって開いたら終わり、ではないのが花火。パッと開いたその後も、たまにギミックを入れてくるのが面白さです。こちらの強調効果はおそらくここ10数年で確立されてきた技術なのだと思います (記憶違いかもしれませんが、小さい頃にはなかったものが多いです) が、最近の花火にはよく取り入れられています。
まずは色の変化。注意深く花火を観察していると、それまで赤だった花火が途中から青に変わる、なんてことを目撃することがあるかもしれません。あくまで現象論としてしか知り得ませんが、どちらの色の火薬も含まれていて、うまく時間をずらして発光させているんでしょう。
これとよく似たものとして、時差変化花火があります。1つの花火全体で起こっていた時差的な発光が、花火の中で局所的に起こっていくイメージです。
今後もさらに種類を増してきそうな強調効果。目が離せません。
終了効果
花火の終わり方と聞くとイメージしやすいのはただ消えるだけでしょうが、実はそれだけではありません。具体的にはこれくらいのバリエーションがあります。
個人的にはザザザ花火が好きですね。終わったかと思わせておいて、最後の輝きを見せてくれるところに花火師の意地を感じて心地がいいです。
おわりに
花火はこんな小難しいことを考えていなくても十分に楽しいものです。色も形も気にせず、ひとときの自由を感じながら、夜空に想いを馳せる。花火って、本来そういうものだったはず。
もうシーズンが過ぎてしまいましたが、来年もこの話を頭の片隅にちょこっとだけ置いて、あとは楽しみましょう。大丈夫、それでいいんですから。
あなたの力で、僕が何かをなすかもしれません