学生お笑い3組から見る「笑いの形」
ミルクボーイ、ラランド、真空ジェシカ。
令和は学生お笑い芸人が台頭する時代です。
仮にも大学院まで進んでいる人間として、学生からお笑いをやっていた人独特の知性のある笑いというものに、僕は多少興味があります。真空ジェシカを好きになったのもそれが原因でしょうし、他の方も気になってメディアを確認することがあったり (主にラジオを聴くくらいですが)。
大学に入ってから熱狂的にタイムフリーでラジオ (主にANN) を聴くようになった僕ですが、イレギュラーが多いのもあってこの4月から大幅に番組数を減らしました。その代わりと言ってはなんですが、今はいつでもどこでも楽しめるPodcastの番組をよく聴いています。
ANNを聴いていた僕が、Podcastで楽しむ番組。
もうお分かりですね。そう、オールナイトニッポンPodcast (通称ANNP) です。
芸人が月替わりで週1のラジオをするというものなんですが、学生お笑い出身の方もやったりするんですよね。ここ数日は狂ったようにそれを聴いています。
昨日聞いたのがストレッチーズさん。続いて今日はさすらいラビーさん。
この2組に普段から聴いている「ラジ父」のパーソナリティである真空ジェシカさんを加えて、3つを比べてみると、芸人によってお笑いの形というものが違うことに気がつきました。僕なりの考察みたいな感じになってしまう、ちょっと気取った気持ちの悪い記事になってしまうかもしれませんがご了承ください。
まずはさすらいラビーさん。ボケでネタ作成者の中田さんの独特の感性が楽しいコンビです。有名なものとしては、実家暮らしのことを「お母さんとルームシェアしている」と表現するなど。ラジオを聴いてていいなと思ったのは、「コンビニで1つしか買いたいものがないとき、店員から『こいつ、これがどうしても欲しくて来店したんだな』とカテゴライズされたくないので、それ以外にもう1つ欲しいものを買ってしまう」というもの。ちょっと共感してしまう、でも少し滑稽な話です。
これを聞いてツッコミの宇野さん。
「意味わかんねえよおいそれやって何が楽しいんだよ」
なかなかにつっぱねたな、と思うも束の間、中田さんから「お前話し甲斐ねえな」とお叱り (?) が。
さすらいラビーさんは僕の見立てでは、お互いの世界がしっかり出来上がっていて、お互いに「それはよくわからん」と言い合うお笑いなのかな、と思います。既婚者で快活な宇野さんと、少しシャイで母親にも人見知りする中田さんという、2人の独特のバランスがあるからこそ生まれるものなんでしょう。
続いてストレッチーズさん。ANNPでは毎回、特定の人に刺さる漫才を披露することをテーマとしてネタを披露してくださいました。特に3回目の「大谷翔平に刺さるネタ」がストレッチーズらしさがあってよかったですね。本人たちはキャッチフレーズをつけてもらえないと嘆いてましたが、昨年のABCを見ていた感じでは「噛まずにたくさん喋って努力で笑いをとりに行くタイプ」という印象を持ってしまっています。違ったらすみません。
そんな彼らはフリートークでも終始仲良しの雰囲気。高校時代から一緒にやってきたというのもあるかもしれません。一方で、自分で言って自分で笑うというセルフお笑いの型を2人とも持っているような気がしました。この、仲はいいけどお互いに自分の笑いがある感じが、ストレッチーズらしさなのかもしれないと思います。
仲がいいからこそ根っこのお笑いの部分では馴れ合わず、己の理想を追求する。適度な自他の意識を兼ね備えている、今後も注目のコンビです。
最後に真空ジェシカ。かれこれ3年くらいラジオを聴き続けているのでぶっちゃけ語り尽くせないんですが、フリートークでの特徴として「両者が己の理想を追求しようとする」というものがあります。
それぞれ説明していきますと、まずガクさんの理想は「川北さんのレンタルワードをなるべくやめさせたい」というもの。(レンタルワードというのはいま僕が勝手に作ったんですが、今やかなり有名になってきた「まーごめ」のような他の芸人が使っているワードや芸人本人をもじったボケのことです) 「進行の邪魔になるから極力真面目にやってくれ」という大義のもと、ツッコんで川北さんを鎮めるのがガクさんの立ち回りです。
川北さんの理想は少しわかりにくいんですが「自分とお笑いにおける価値観が合っていてほしい」というもの。少し前に「正解のある質問」と題して、例えば「"うんこ"と"うんち"、どっちが面白い?」という問いを投げかけたりしていました。ガクさんが自分と違う答えを返すと、「お前とはやっていけない」と一蹴。ネタとも捉えられますが、僕には半分ネタで半分本気のようにも聞こえました。
この2人の雰囲気は先のさすらいラビーとも似てはいるんですが、お互いがお互いを抑制しあって理想を目指そうとしているところに違いがあります。さすらいラビーが無関心寄りとすれば真空ジェシカはバトってる寄りというか。
この3組に共通して言えるのは、「コンビのどちらにも自分のお笑いの形が出来上がっている」という点。ネタを作っていようがそうじゃなかろうが、お笑いにかける情熱はみなさん並々ならぬものがあるということです。尊敬ですね。
「笑いの形」を意識してフリートークを聴いてみると、普段は見えなかったものに気がついて面白いかもしれません。みなさんもぜひやってみてください。
※この記事は僕が見聞きしてきた情報のみを元に作成しているため、多少事実と異なる部分があったり、飛躍を含んでいたりするかもしれません。あくまで個人の考えの域を出ませんので、「さすらいラビーはお互いに無関心らしいよ〜」とか友達に言ったりしないでくださいね。お願いします。
あと改めて言っておきますが、僕はあまり芸人に優劣をつけたくないので、どれがいいとか悪いとかは書いてませんし思ってもいません。形が違うというだけだと思うので、みなさんも推しの芸人を決めるなら自分に合うものを選べばいいと思います。僕は真空が合ってたな、というだけの話です。悪しからず。
2024.08.07 深夜の日記
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