見出し画像

コロナ自粛の街ぶらを楽しむ。

僕なりには、自粛しているのだ。

でも僕にはモラルが、ない。

死んでいいとは思っていないし、家族を大切に思ってはいるが、「コロナにかからなければ死ぬことはない」という自信が無い。


いつだって死ぬ、から仕事のない日がとてつもなく大切で、かけがえのない一瞬だと思うのだ。

それでもコロナに罹患すれば僕は一連の行動を悔いるだろう、とは思うのだがやはり、家にいることの辛さは耐え難い。

ドトールコーヒーでこんな風に記事を書いている今も、喫煙スペースに2人以上同時に入っていることは気になるし、愚かだと蔑む気持ちもある。


そんな僕は数分前まで、酒を飲んでいた。

昼間から営業している酒屋の奥まったスペースでは、沢山の中から日本酒を選んだり八海山のビールが飲める場所があるのだ。

僕の住む街の繁華街の昼間は、元よりゴーストタウンに近い。そんな中で昼間から営業している天国のような空間にこのコロナ騒動の時期に逃げ込んだ。


中ではスタイルの良い長髪の青年が接客してくれた。八海山のビールは華やかな味を口の中に広げて、荒んだ心に染みてゆく。

勢いづいてきた僕は、「サッポロクラシックの三度注ぎ」というものを頼む。注文してから5分ほどで、目前へと置かれる。

画像1


お洒落すぎる…

しかも味わいは普段のサッポロクラシックとまるで違う。雑味がほとんどなく、キレは弱まるのだが旨味の凝縮されたような味わいへと変化していた。

思わず美青年に「これは普通のサッポロクラシックですか…?」と声をかけてしまったが、「あまり変化に気付かないお客様がほとんどですよ」との返答。

自信のない僕は、(あれ、もしかしたらサッポロクラシックって普段からこんな味だったかも)と思いつつ、気分が良いので味の違いを力説したのだった。

店を出てコンビニに寄り、缶ビールのサッポロクラシックを飲む。途端に「全然ちゃうやん。」という感想と共に、クラシックの缶を放置して散歩を始める。申し訳ないが、モラルがないから。


誰もいない街からさらに人が減って、ヤバいやつばかりが目につく。僕だってもう酔っているのだ、みんな仲間だ。犬を抱きかかえたまま居酒屋の看板を一見ずつ見ている謎の美人おねえさんだって、結構ヤバい人だと思う。

でもいいじゃん。みんな死なずに、それぞれの息抜きをしながら生きて欲しい。


僕だって他人から見たら


自粛しろ死ね自業自得だ馬鹿が


みたいな感じだろうがソーシャルディスタンスとか、地味に気を付けて神経すり減らしているんだ。

それぞれの心は分からないけど、みんなこんなことになった今が少しでも潤うような生活をして欲しいと思う。

書いた言葉がお金になるなんて、夢物語だと思っています。僕に夢を見せてください。もっと勘違いさせて、狂わせてください。