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東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から~31~

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東京の自治体専門紙、都政新報に掲載されたイラストエッセイを再録しております。
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#6500形

「三田レンジ」で新横浜へ【東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から36】

 好奇心に突き動かされ、未知の光景を確認しに行きたくなるようなことはないだろうか。私にはある。「都営三田線の車両が新横浜まで乗り入れる」……この事実を確認したいという願望を叶えるべく(少し大げさだが)、先日ついに決行した。  簡単に説明すると、これまでも三田線は他社線との相互直通運転を行っており、途中止まりの電車を除き、西高島平から神奈川県の日吉までは乗り換えなしで行くことが可能であった。2023年3月の東急・相鉄新横浜線の開通に伴い、三田線も日吉から先、海老名までの直通運転

神輿のように去っていく。【東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から32】

 「闇夜に繰り広げられる圧倒的に非日常な光景」……『鉄道車両陸送』(イカロス出版)という本の表紙に記されている言葉である。著者の菅野照晃氏は、都営三田線の先代6000形がインドネシアへ譲渡された際、友人と一緒に志村検車場(現在の志村車両検修場)まで撮影に行ったのがきっかけで鉄道車両陸送(陸送)の魅力に取りつかれたという。陸送とは、鉄道車両を(鉄路での輸送が困難な事情がある場合に)特別な通行許可を得て陸路で輸送することである。巨大なトレーラーで鉄道車両を安全に正確に運ぶのだから