よもやま語らいゼミ開催後記⑬「大人になってからの恋人の作り方」

　よもやま語らいゼミとは東大生を対象に、あるテーマについて自由に話し合いをするイベントです。12月21日開催の今回は「大人になってからの恋人の作り方」をテーマにして話し合い、運営・聞き専の方も含めて20名近い方々にご参加いただきました。結果としては、大きな問題もなく無事に語らいを終えることができ、しかし萎縮しすぎることもなく、slidoというコミュニケーションツールも活用しつつ、様々に話を膨らませることができました。その様子を簡単に紹介したいと思います。
　なお、ピアサポートルームとしては、あらゆる恋愛の形を肯定し、また、“恋愛は必ずしなければならない”とは限らないとの立場を前提として、語らいを開催しました。

　よゼミでは、最初に話題提供として、サポーターがテーマについて考えたことを簡単に話します。今回は、「大人になってからの」「恋人の」「作り方」と、表題を三分割し、そのそれぞれについて考える道筋が提示されました。例えば、どこから「大人」の恋愛なのか？学生恋愛と社会人恋愛は異なるのか？、また、「恋人」とはそもそも何者なのか？、恋人を「作る」とはなにか？、そもそもなんのために恋人を作ろうと思うのか？といった観点が話されました。

　最初に話題となったのが、そもそもどのような人を好ましく思うかについてでした。話してくださった方の中には、関係を築くことを考えたとき、自分とは別分野の人を好ましく思うという意見がありました。特に、学科や仕事関係が同じ領域では失敗したあとのことを考えてしまい、知り合い以上の関係に踏み出しにくくなるという意見には、共感が寄せられていました。また、憧れる人についての話は語らいの後半に再度現れたのですが、そこでも、違う分野のほうが様々な考え方に触れることができる、違う分野ならお互いに知識等の前提なく話せて気楽、といった意見が出ていました。

　それに関連して、「大人」に近づくにつれて「別分野」の人との出会いが少なくなるという意見が複数ありました。これについては、大学から徐々に別分野の人と出会わなくなるという意見が出た一方、大学では別分野の授業で出会ったり、またサークルもあったりするので、まだ機会があると考えている方もいました。社会人ではサークルに相当するものが作りにくいという声もあり、出会いの変化が「大人」とそれ以前を分けていると考えられている様子、それに、大学の環境を「大人」とそれ以前の中間に位置づけている人が一定数いる様子が見られました。

　話は徐々に、「大人」になるにつれ、恋愛、また、そもそも人間関係を深めるという作業には、エネルギーが必要になる気がするという方向へと移りました。これについても、大学生になってから関係を深めるのが難しくなるという意見、社会人からが難しくなるという意見の両方が出ていました。しかし、双方に類似していたのは、集団での飲みやイベントは比較的ハードルが低いものの、個人的に誘うのは様々な事情を考えてしまうので難しくなるという視点でした。また、LINE交換等で関係こそできるが、その後個人的にどこかに誘ったり、関係を深めるのには心理的なハードルを感じているという声もありました。より多くを考えるようになり、また考えなければならなくなるからこそ、人間関係の難しさが生じるのかもしれません。

　ここで話題は変わり、恋愛と結婚に関する話となりました。恋愛から結婚に発展するのでしょうか？それとも、結婚を前提に恋愛関係を築くのでしょうか？話の中では、「大人」になるにつれて前者から後者に移っているのではないかという意見に、共感が集まっていました。しかし、そうは言っても結婚というものの実態はつかみにくく、よくわからないという意見もあり、また、結婚を前提にする必要だって本当はないのではないかという声もありました。一方で、親戚の事例から、子どもの頃のほうが結婚を前提に付き合うものだと考えていたという声もあり、人の考え方は環境で全く異なることを再認識しました。

　最後に、話題は恋愛・結婚と社会についてへと移りました。人を好きになるということを一つの事象として経験してみたいという意見がある一方で、社会からの目を気にして恋愛しなければと考えているという声もありました。また、結婚相手に関して周囲に否定的な言葉をかけられたという事例が話され、恋愛する／しないについても、その相手についても、個人の意思が尊重される世の中であってほしいという意見に共感を集めたところで、時間となりました。

　さて、いかがでしたでしょうか？恋愛や人間関係に関する様々な難しさが語られたり、恋愛や結婚を通じて社会と自分とを意識するきっかけになるような話もあったと思います。もちろん、今回の語りを恋愛に関する一般的な考え方とみなすことはすべきではありません。みなさんも恋愛というものを出発点に、思考を巡らせてみてはいかがでしょうか？

　今回の開催報告はこのあたりで以上にしたいと思います。参加してくださった方々、ありがとうございました。次回は2月に「特技と言って良いかどうかの線引きはどこか？」というテーマで開催します！
　チャットのみ参加・聞き専でも、ご飯を食べながらでも大丈夫です。ぜひお気軽にご参加ください。