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tacica TOUR 2022「三大博物館 ~動物達の遊戯~」at Veats Shibuya 感想(ツアーファイナル)

はじめに

 東京、名古屋、大阪の三大都市を巡る不定期に行なっているツアーのファイナル公演。今回は初となる別館の青森県弘前市でも開催された。
開催1週間前には配信も決まったほか、チケットの追加販売も行われたがソールドアウト。まさしく満員御礼の千秋楽といったところだった。

感想①

プロジェクターに自然風景のような映像が映し出される。そこから名阪でも使われた動物達の鳴き声が入ったSEが流れる。ちなみにこのSE、タイトルは「遊戯」だそう。薄暗いステージに動物達の声が響く。なんだか森にいるような気分。そこに現れる御三方。森からtacicaという動物が出てきたようだ。

始まりはANIMAL 動物。cd音源とは違いドラムが先行し、猪狩さんの声が会場いっぱいに響き渡る。ドラム、ベースの重低音も名阪の会場よりも響く感じがした。音源にもある発条(?)の動く音が消えると、GOATのギターイントロが流れだした。

理想と違う自分にも さあ精一杯笑ってよ

GOAT

前向きな言葉にも聞こえるけど、諦めのような寂しさが伝わる。

猪狩さんが「雨大丈夫っすか?もういっぱい人だね。人凄いね」と驚きつつ、ファイナルです。最後までよろしくと言葉少なに演奏を続ける。
お次はヌーの休日。猪狩さんの遠吠えのような歌声から自然な繋ぎでアリゲーターに移る。雨が降る中、ヌーの休日、アリゲーターと歌詞に雨が入る曲を演奏するのは不思議と現実とマッチする。

ドラムが先行し、手拍子も起こる中で演奏されるのはコオロギ。七色のライト、ミラーボールが光る演出が気分を高揚させる。こういうのを楽しめるのは現地ならでは。小西さんのコーラスも中々気合い入ってる感じがした。

感想②mc

猪狩さんの「どうですか?」という発言に会場拍手で応える。こういう状況で声出しも解禁されているイベントやバンドもあるようだが、tacicaファンは各々思うところはあるだろうけど色々我慢して、こうやって応えるのは何だかやっぱり嬉しい。

猪狩「soldしたり、もう一回チケット販売したり、soldしたり……してやりました。まだ、やってないことたくさんあるんだなと」
名古屋公演でも話されていたが、今回のツアーmcはゆっくり喋って感謝を伝えようとのこと。

 mc明けで、劈くような音から始まるのはBROWN。以前、試聴会の時にBROWN(茶色)は暗めの色でもあるし、明るめの色でもあるというようなことを話されていたのを思い出すような照明だった。あとやっぱり最後の中畑さんのドラム締めは必見。
またドラムが響き渡り、手拍子も起こる中ジャッカロープが演奏される。アップテンポな曲が続いた中、少し落ち着かせるようだ。だからといって盛り上がらないという意味ではない。ラスサビの振り絞るように歌う姿は感動すら覚える。
そして続くヒカリトカゲ。サビで激しく焚かれるライトはまさに光と影。小西さんのコーラスも相まって盛り上がった。

感想③グッズ紹介

猪狩「今回の三大博物館のデザイン、遊戯感出てるよね?グッズを作ってきたんで小西が喋ります」
いつもなら小西さんがパネルを持ち出して紹介するのだが、今回はスクリーンに映し出される。会場からおぉ、と驚きの声が漏れる。
小西「そうなんです。ファイナルなんで、ちょっと気合い入れてプロジェクター使ってみました」

小西「パーカーは裏起毛か起毛なしか、ディスカッションの末、今回は起毛なしになりました。でも起毛あった方が個人的にはいいんですけど、今回は負けたということで」
「雨降ってるから傘おすすめって言おうとしたんですけど、ここ来るまでに傘さしてきたと思うんで、持ってないことはないなと思って言うのやめます」
グッズ紹介終了。
猪狩「ずっと続いたらいいなと思ったよ」と絶賛(?)

最近聞き間違いが酷いという話題を楽屋でしていたそう。
猪狩「前歯が虫歯になっちゃってさ、って小西に言ったら『えっ、前歯が後ろに』って。その人が持ってきているであろうオチよりそれを超えてきちゃうっていうさ。それ気をつけた方がいいよ」
小西「でも中畑さんはスルーしてくれた」
猪狩「小西は虫歯になったことない人間だから、歯医者さんの中がどうなっているかがドラマでしか見たことない」
小西「中畑さんからドリルの音とか教えてもらった」
猪狩「だから虫歯治すのも薬で治すと思ってたんだよね?」
小西「抗生物質でね。削るんですねって中畑さんに聞いちゃった」
猪狩「もう嫌だよ。大変だよね」
と猪狩さんお手上げ状態で、中畑さんの紹介へ。
中畑「よろしく……お願いしまーす。小西くんめっちゃゆっくり喋ってたね。心掛けたの?」
そういう中畑さんもゆっくりめにためて話されていた。
小西「心掛けました」
猪狩「ずっと続いたらいいなって思ってたんだよ」
「三大博物館、今回は別館もあって、まさかの4本ということで最高ですよ、ありがとうございます。あれ?中畑さんの紹介したよね?」
中畑さん立ち上がり、こちらに手を振ってくれる。

ちなみに、FCサイト鹿の仔の喋る鹿において小西さんが歯医者に行ったことないというお話を聞けます。興味を持った方は是非。

感想④

中畑さんが立ち上がったままスティックでカウントをとり、始まったのはHUMMINGBIRD 蜂鳥

出鱈目な歌も キミらしい命
素晴らしい歌よ キミらしい命

HUMMINGBIRD 蜂鳥

tacicaの歌詞にはたびたび相反する表現が使用される。不死身のうた、デッドエンド等々。はっきりしない曖昧さがあってこそ人間らしいと彼らは歌ってくれる。
まだまだ続く激しい曲、人間1/2バク。1st albumに入っている曲が連続する。あまりの自然な繋ぎにアルバムの曲順もこうだったかと確認するほど。

猪狩「前のツアーの渋谷クアトロで動物達の遊戯やりますって言ってから何が動物で動物じゃないか考えてきた。楽しい苦労でした。まだまだ出来てない曲があって……。何か終わりみたいになっちゃったね笑。なのでまたやりたいと思っています。中畑さんには言えてなかったんですけど」
中畑さんがイヤモニを外して聞き返す。
中畑「またやるってこと?」
猪狩「入ってない曲が結構あるなと思って。神様とか」
中畑さんがここで神様の椅子の冒頭をほんの一瞬だけ叩いてくれる。
猪狩「考えすぎて神様も動物になっちゃった。幽霊も」 
小西「候補にあったね」
次回は是非漏れてしまった幽霊のいない街や神様の椅子やライブであまり観ない鼈甲の手、オニヤンマ、bearfoot辺りもやって欲しい。

まるで終わりかのような雰囲気を出したmc明けから、蜜蜂の毛布、サカナヒコウ、私服の罪人というアルバム終盤に入るしっとりした曲が続けられる。私服の罪人の際の猪狩さんのソロパートは照明も相まって深海の雰囲気を思わせる。
 
猪狩「ありがとう。もう……それだけです」と言葉数少なかったけれど伝わってくるものがあった。
本編最後を飾ったのはdear,deer
思い返せばこの曲のmvがフル解禁されたのはほぼ1年前の同じ会場で行われたFCイベントだった。
もう1年。たった1年。されど1年。色々あったなと。

遊び疲れた頃 また会おう
dear,deer

dear,deer

この歌詞で締められ、本編は終了。

感想⑤アンコール

御三方がステージから捌けてすぐアンコールの手拍子が始まる。
猪狩「配信も見てくれてる人どうもありがとうございます。ほんの3年くらい前は生配信なんてWOWOWのドームライブ配信くらいしかなかったよね」
小西「もうね今はね」
本当にこの状況になってから配信ライブというのは割と定番になってきているなと思う。tacicaの場合はアーカイブもあるので大変ありがたい。

猪狩さんがツアーをやりますとサラッと発表。中畑さんも「喜ばしい!」と素手でドラムを叩き、身体全体を使って賛辞を贈る。
スクリーンにツアーの日程が映し出される。
2023年の4月から5月にかけてのツアー。7本!
東名阪プラス神奈川、宮城、岡山、福岡。
ツアーファイナルはこの発表があるからより楽しめる。
猪狩「新しいところでいうと岡山 YEBISU YA PROは初めてです。なのでみんな来てください」
小西「福岡も久しぶりだよね」
中畑「福岡といえば小西くんが家系ラーメン食べたところでしょ?」
猪狩「福岡に行ってわざわざ」
小西「Googleで調べてね」
やります!と次のツアーへの気合い入れを行った。

猪狩「今日、Syrup16g(中畑さんの所属バンド)の新譜の発売日なんですよね。そんな日にドラム叩いてくださってありがとうございます」と中畑さんに感謝を述べる。
「こうやって次のライブを発表してるけど、今日雨も降ってる中、足を運んでくれてどうもありがとう。配信を見てくれてる人もどうもありがとう」
猪狩さんの今回のmcのテーマであるゆっくり感謝を伝えるというのが分かりやすくこちらに伝わる。
前回のツアーファイナルの時もそうだったが、彼らは必ず感謝し、そして次もあることを報せてくれる。今日来れなくたってまた今度あるよ、もっと大きく言えば生きていればまた会えるよと。

そんなmcの後、暗くなったステージにどことなく寂しさが漂うギターの音が鳴り、歌声が入ってくる。情景が浮かび上がってくるかのように美しい音色、歌詞が突き刺さる。サビに入る前の盛り上がりは会場を興奮させる。そして、まるでまさしくオオカミの遠吠えのように猪狩さんの歌声が強く響く。

忘れたくないんだって程 忘れちゃうんだいつかは
眠らないでもらった記憶(モノ) 離れないんだ いつでも

擦り切れたまま残る駄目な日も 全て在って僕だって覚える

 "生きたい"と小さく夢を見る

オオカミと月と深い霧

小説のような詞。難解なようにも思えるが、きっと突き刺さるフレーズがあるのではないかと思う。静かに、でも熱を秘めているといった言葉が合うのではないかと思う。そんなオオカミと月と深い霧を終えて余韻に浸るかのように静寂の時間が数秒続き、照明は暗いままだった。名阪では人鳥哀歌のギターイントロが鳴らされ、ラストというのに御三方の暴れっぷりに圧倒された。しかし、今回東京においてはドラムにスポットライトが当たり、始まったのはまさかまさかのLynxだった。青森公演では披露されたというのは聞いていたのだが、まさかここでやるとは、と驚きを隠せなかった。恐らくpanta rheiの再現ツアー以来の披露。

戦って少しづつ勝ち取っていく物語を選んだ

Lynx

まさにこの歌詞のように戦うかのような激しさで演奏していた。 

まだ見ぬ日々よ
踊れ夢中に 自由を望む

Lynx

あとこの歌詞が今回の動物達の遊戯というタイトルにどハマりしてるなと思った。

割れんばかりの拍手喝采が起こるなか、最近割と恒例になっているペンギンの人形をステージ先頭に置いて人鳥哀歌を披露した。
サビでは白いライトが照らされ、aメロ、bメロでは薄暗く照らされる演出はまるでモノクロのペンギンの体色を表しているようだった。
絞り出した声で、ありがとうと何度も感謝を伝えながらステージを後にしていった。

セットリスト

登場SE 遊戯

  1. ANIMAL 動物

  2. GOAT

  3. ヌーの休日

  4. アリゲーター

  5. コオロギ

  6. BROWN

  7. ジャッカロープ

  8. ヒカリトカゲ

  9. HUMMINGBIRD 蜂鳥

  10. 人間1/2

  11. バク

  12. 蜜蜂の毛布

  13. サカナヒコウ

  14. 私服の罪人

  15. dear,deer

  16.  en.オオカミと月と深い霧

  17.  en.Lynx

  18.    en.人鳥哀歌

ファイナルだからダブルアンコールあるのかなと思いきや名阪から1曲追加のアンコール3曲というセットリストであった。
動物でセットリストを組めるのは本当にtacicaくらいしかいないだろう。

おわりに

動物達の遊戯が開催されるというお知らせからずっとずっと心待ちにしていた。大好きな曲のオオカミが聴けるという淡い期待を持っていたが、本当にやっていただけるとはただただ感無量。
また、個人的には初の東名阪制覇も出来て、大変嬉しかった。猪狩さんがまたやりたいと仰っていたので、今回は入らなかった曲達に次回は期待する。

自分に良く似た動物を 思い出して満足げ

動物と呼べる程 動く訳でもない僕等

ANIMAL 動物




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