手賀沼の藤姫伝説
東京大学情報基盤センターの最近のスパコンには、Reedbush、Oakforest、Oakbridgeなど、植物にちなんだ名前が付けられてきました。2021年から運用している最新機は、藤(wisteria)のツタが絡み合う様子を計算ノード間のネットワークに見立てて、Wisteria/BDEC-01と名づけられました。また、このスパコンが設置されている東大柏IIキャンパスからほど近い手賀沼に伝わる「藤姫伝説」にもちなんだとされます。
そこで、ここでは、手賀沼の湖畔に置かれた石碑を巡りながら、藤姫伝説についてご紹介してゆきたいと思います。
手賀沼について
千葉県柏市と我孫子市(と白井市と印西市)にまたがる手賀沼は、常磐線の北柏駅や我孫子駅にも近く、住宅地がすぐ近くまで広がっているのですが、大変風光明媚なところで、湖畔にはぐるりとサイクリングロードや遊歩道、公園などが整備され、地域住民の憩いの場所ともなっています。
手賀沼の柏市側の湖畔、手賀沼緑道の柏ふるさと公園から大津川の河口にかけて、手賀沼に伝わる藤姫伝説の石碑が点在しています。これを順番に見てゆきましょう。なお、所々に挿入しているイラストは、最近話題の画像生成AI、StableDiffusionに描いてもらいました。
藤姫伝説(其の壱)
美しい姫とりりしい若者、そして継母という、物語のお約束の面子が揃って登場しました。そして、いきなり波乱の予感がただよっています…
藤姫伝説(其の弐)
おーっといきなり若者を殺してしまう早い展開です。継母、若狭之助の親兄弟によく返り討ちに合わなかったですねえ。
藤姫伝説(其の参)
継母、情け容赦ないです。話がサクサク進んでゆきます。
藤姫伝説(其の四)
おぉぉぉ、藤姫の恨み、つよいです。
藤姫伝説(其の伍)
旅の山伏さま、どうか漁師さんたちのために藤姫の呪いを鎮めてください。
藤姫伝説(其の六)
藤姫の呪いはおさまり、めでたしめでたし、なのでしょうか??藤姫も、若狭之介も、かわいそうなままだし、漁師さんたちも迷惑かけられただけの、悲しいお話でした。
手賀沼は、江戸時代から昭和の初め頃にかけてはうなぎの名産地だったそうで、周辺には今でもうなぎ屋さんをたくさん見つけることができます。手賀沼の主とも言える大うなぎを大切にする、というのはこういったところからも来ているのでしょう。しかし、住宅地の急発展による水質汚染などで漁獲量は急減してしまいました。さらに原発事故の影響もあり、2022年10月現在、手賀沼産のうなぎは放射能検査の結果は基準値以下ですが、出荷自粛が続いていて食べることができないそうです。藤姫さんも、きっとまた悲しんでいるのかもしれません。
番外編(忙しい人向け)
手賀沼の遊歩道には、ここまでに紹介した6つの石碑のほかに、ダイジェスト版とも言える石碑も設置されています。
千葉県公認の昔話のようです。手賀沼の大うなぎ、まだいらっしゃるのでしょうか。ぜひぜひ大切にしてゆきたいと思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?