tomico(トミマツシホ)

ウトニューレトロ手帖 編集長|九州の真ん中、熊本県宇土(うと)市。このまちに眠っている…

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ウトニューレトロ手帖 編集長|九州の真ん中、熊本県宇土(うと)市。このまちに眠っているレトロ建築を掬い上げて魅力を再発見するnoteです。「懐かしさと新しさの交差点」という視点からまちおこしを考えていきます。

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    九州の真ん中、熊本県宇土(うと)市。このまちに眠っているレトロ建築を掬い上げて魅力を再発見するnoteです。「懐かしさと新しさの交差点」という視点からまちおこしを考えていきます。

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なくてもいいけどあったらたのしい

思えば、設計の仕事を辞めて地域おこし協力隊になろうと決意したのは、「建築」というものをもう少し俯瞰して捉えたいと考えたからでした。「まち」の中で一つの「建築」がどうふるまうか。小さな建築はどこまでの力を持ちうるのか。そして、それがどのように良い影響を及ぼすのか。そのことを追い求めてまちづくりに取り組もうと考えました。改修した空き家は「はらっぱ/Harappa」と名付けました。青木淳さんの名著「原っぱと遊園地」を思い浮かべてつけたこの名前。これから、「はらっぱ/Harappa」

    • 空き家改修ことはじめ

      2021年。地域おこし協力隊に着任して2年目の夏から秋にかけて1軒の空き家を改修した。 思えば、2019年3月。地域おこし協力隊へ応募したときから空き家を改修したいと強く願ってきた。改修を終えてようやく一つの足がかりが見えてきたと感じている。ここには空き家を見つけてから改修を終えるまでの奔走と苦悩、そして喜びの記録を残していくとする。 1.改修できる空き家が見つかった それは青天の霹靂だった。とてもとてもお世話になっている市職員の方から一本の電話。 「大家さんが貸しても

      • 色ー”3つの黒”編

        カラスのような黒。カブトムシのような黒。 同じ黒という名前だけれど、印象はまるで違う。 色の印象には名前だけでなく、その風合いがとても重要になってくる。 建築に使われる色も風合い、特に材質感がその印象を大きく左右する。 コールタール塗料の黒。渋墨塗料の黒。カラーガルバリウム鋼板の黒。 この小屋には3種類の異なる黒色が、外壁という同じ役割で存在する。 カラーガルバリウム鋼板というのは近年住宅の屋根や外壁で見られるようになった建材である。金属の板で貼られている部分は現代的で

        • 愛着と出会う小屋

          気づけばずっとそこにあった小屋。いつごろ建ったのかも定かではなく、おおよそ80歳くらいらしい。農作業小屋として建てられたこの建築には、はじめは馬がいたという。馬がトラクターに変わり、自動車が置かれ、そして今は家具を作る機械が所狭しと並んでいる。 受け継がれてきたこの小屋で、家具職人夫妻による冒険のような改修が今まさに行われているところ。 宇土市緑川地区。農業盛んな田園地帯のとある集落にその小屋はある。農家にはよく見られる何の変哲もない小屋。1階は出荷作業場所や米の乾燥部屋

        なくてもいいけどあったらたのしい

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          独断と偏見に満ちた愛を語るとき

          このnoteの大前提。”心くすぐる愛すべきレトロ”を紹介すること。 ここでの”心くすぐる”とか”愛すべき”とかはもちろん、独断と偏見であって、「少なくともわたしにとっては」という修飾語のついた、愛すべきレトロを紹介している。 レトロ建築を紹介するときに、持ち主の許可を取りに行くのだが、皆さんの第一声はだいたい同じ。 「なんでこんなものがいいの!」 中には「あんた相当変わってるね~」と面と向かって言ってくる人もいた。(結構好意的なニュアンスだったのでそれはそれで嬉しい。)

          独断と偏見に満ちた愛を語るとき

          かたちーまる編

          四角い窓や三角屋根。 建築物の絵を落書きするとき、無意識にも直線の組み合わせで描く癖がいつの間にかついている。 だからか、建築に現れる“まるい形”に何か特別なものを感じてしまう。 特に、この建築の“まる”へのこだわりはすごい。 例えば、窓。 角を丸めた窓。ここでは、さらに外側にコンクリート製の丸い装飾が施されている。 そして丸い照明。 壁パネルの装飾。 ショーウインドウの角にも“まる”。 他にもいろんなところに大小様々な“まる”がある。 ディズニーランドの隠れミッキ

          かたちーまる編

          タイルーきらきら編

          壁にタイル。床にタイル。犬も歩けばタイルにあたる。 私たちが気付いていないだけで、街はタイルにあふれている。 住宅街の路地裏に入ると現れた黒く光るタイル。クリーム色の外壁とのコントラストも相まってこのタイルが際立つ。 元美容室のポーチにあつらえられたタイルは、その佇まいから、まるでこの店の看板のような存在感がある。 木造であるが、鉄筋コンクリートで作ったかのような建物のかたち。モダンさを追求した設計者のこだわりが感じられる。 なによりもこの小さなタイルたちに注目して

          タイルーきらきら編

          わたしのこと

          はじめまして。 熊本県宇土(うと)市の地域おこし協力隊、冨松志保(とみまつ・しほ)です。 はじめに私のことを少し。 宇土生まれ、宇土育ち。 小さいころからずーーっと建築が好きで、建築学科を卒業後に設計事務所に勤務していました。今は空き家支援の活動をしています。 平成の初めに生まれた私は、思えば幼少期から古風な少女でした。小学生でビートルズにハマって以来、思春期には70’sのハードロックを、大学生になってからはクラシック音楽、クラシックジャズを傾聴してきました。 結