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友達の結婚式[ゆっくり育児]その4

ウィリアムズ症候群とウェスト症候群。
2つの障害を持つこととなったジロー。

どちらも国の難病に指定されてる。

まだ腹落ちしない。
我が子が障害者であることと、思った以上に自分が障害児の親という自覚が希薄な事に。

パッと見は生後9ヶ月の赤ちゃん。ふらふらしながらも何かに捕まりながら、ようやく立ち上がって歩き始める。
点頭てんかんの症状が出てウェスト症候群である事は分かるが、ウィリアムズ症候群のような症状はまだ目立って出てない。

だからかも知れないが思った以上に自分は冷静だった。ホントにウィリアムズ症候群なのかな?と。

実は診断間違いで、そんな遺伝子障害ではなかった、と。

ご飯や特にゼリーをあげるとニコッと笑うジローを見て私はそう思った。

そんな時に、妻から友達が結婚するので結婚式に参列しよう、と話があった。

その友達は妻の学生時代の友達で、私も何回か会ったことがある。彼女は妻の1番の親友なのだ。

彼女は私たちの結婚式にも参列してくれた。
これは家族総出で参列しなければならない。

で、結婚式の詳細が分かってくると、なんと場所は軽井沢。
東京に住んでる我らとしては、車で長時間の移動ともちろん宿泊しなければならない。

妻の第一親友の結婚式!
何としても写真や映像を撮りまくって、ぜひ思い出として渡したい!
その時カメラやビデオに凝っていた私は変な使命感を燃え上がらせていた。
この使命感が後に大後悔するとは思いもよらなかった、、、。


結婚式当日、朝から車に家族全員を乗せて関越道を走っていた。
心配だったのはジローだ。

普段ジローは車に乗っても大人しく乗ってる。
しかし今回は長距離移動で3時間半はクルマに乗ってる。
大人でも疲れてしまう3時間半の移動、果たして9ヶ月のジローは体力的に持つのか??

チャイルドシートに座るジロー


持った。むしろニコニコと喜んでいる。
結婚式場近くの駐車場でジローを見るととても元気なようだ。
むしろ長時間のドライブを楽しんで満足そうだ。
私は長時間ドライブで疲れてるのですけどね、、、。

式場に着いた私達は礼服に着替えて結婚式場に向かう。
妻の友達は何人か知ってるので、見覚えのある顔が勢揃いしてる。

私は一眼レフカメラにデジカメ、それにハンディビデオを用意してた。
一生に一度の晴れ舞台の妻の友達の一瞬一瞬を全てカメラに収める!
強い使命感とともに、片腕にはジローを抱えていた。

妻は久々に会う友達との会話を楽しむため、私はジローを引き受けたのだ。
いや、奥さん、ツラいっすよー。
そう思いつつ左腕にはジローを抱えて、右手では一眼レフやデジカメ、ビデオを場面によって使い分けて写真や映像をバンバン撮る。

重い、、、(汗)
ジローは生後9ヶ月とはいえ約8kgはある。その子を片手で抱えながら、もう片方の手で写真を撮る。

しかもジローはのけ反った!
のけ反って頭が天地逆になってるのにニコニコしながら目を見開いてる。
どうやらこの天地逆の景色が面白いようだ。
こ、これも障害のせいか!?

のけ反ると重さが増す。さらに頭から落ちそうになるので、どうにか左腕の腕力でジローを支える。

ぐぬぬぬ、、、、。
思った以上に力仕事になりそうだ。

結婚式は厳かに進みながら新郎新婦のシャッターチャンスは目の前にあるのだが、ジローがのけ反るのでカメラの焦点が定まらない。

左腕にのけ反るジロー、右腕ではカメラのファインダーをプルプルしながら覗いてシャッターを押す私。
重心を保つため必然的に腰を落として足を開きカニのように移動する私。

はたから見れば何ともシュールな体制だっただろう。
そんな事は気にせずバシバシ写真やビデオを撮りまっった。

そのお陰で両手が塞がってるので、せっかく振舞われた料理もほとんど食べられず。

でも必死に耐えた。
ジローののけ反りにまけるもんか!
必死でファインダーを覗いて新郎新婦の一挙手一投足をカメラに収めたいのだ!

結婚式

式も程なく終わりに差し掛かった。
ようやく妻が戻ってきてジローのめんどうを見てくれる事になった。

疲れた、、、左腕が上手く動かない。
のけ反るジローを必死に支えていた左腕は想像以上にダメージを受けてたようで、ちょっと動かすだけで激痛が走った。

ジロー、重いよ、、、。

我が子の成長を喜びつつ、今回だけはその成長を恨んだ。
<<やはりのけ反るのは障害のせいなのかな?>>

そう思いつつ空腹になったお腹に、冷めてしまった食事を口に運んだのであった。

妻は友達と楽しい時間を過ごせた。
ジローは(お望みの?)天地逆さの世界を楽しんだ。

これで良かったのだ。

自分はあくまでカメラマンであり影武者。
私の左腕のダメージや冷めた食事など小事である。
ここで私が頑張ったからこそ結婚式や披露宴の楽しい雰囲気を写真や映像に収める事が出来たのだ。

次の日、撮った写真や映像を確認するととても良い表情の新郎新婦が何枚も写っていた。映像もバッチリである。この映像美に満足するとともに、左腕の強烈な筋肉痛を感じながら、今回の結婚式に参加できて良かったと心から思うのであった。

こうしてのけ反るジローを抱えながらの結婚式カメラマン。ひどい筋肉痛に大後悔してしまったが、自分のカメラ力に満足した結婚式となった。

それにしてもジロー、重くなったなぁ〜(涙)

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