はじめてのライブが、King Gnuでよかった【THE GREATEST UNKNOWN】

セットリストなどライブのネタバレを含みます。ご注意ください。

きっかけ

私がKing Gnuを知ったのは、BANANA FISHがきっかけだった。

渋谷のサイゼリヤで友達が「おすすめだよ」と言って見せてくれたBANANA FISH。そのエンディングを担当していたのがKing Gnuだった。

友達に説明を受けながらBANANA FISHを見進め、物語の展開にわくわくしながら迎えたエンディング、そこで私はKing Gnuに出会った。

一音目から強く惹き込まれた。美しい歌声と曲のぞっとするような仄暗さに得体のしれないぞわぞわとした感覚が湧き上がってきた。

これをきっかけに私はKing Gnuにのめり込んでいく。アルバムを繰り返し繰り返し聴いた。YouTubeも一番古い動画から全部視聴した。どの曲も私の心を掴んで離さなかった。今までに聴いたことのない、個性際立つ心を刺す音楽の虜だった。

そうしてしばらくKing Gnu漬けの生活を送っていた時、大ヒットナンバーが生まれる。「白日」だ。

瞬く間に再生数が増え、YouTubeは数多のコメントで埋め尽くされた。大好きなKing Gnuがスターへの階段を駆け上がり、彼らの素晴らしい音楽が民衆に受け入れられていくのをこの目で見ることができて物凄く嬉しかった。

そして私は一つの夢を持つ。この至上の音楽を、生で体感してみたいと。

チケットが当たった！

しかし、それから私はチケットに恵まれず相変わらずお家でKing Gnuの音楽を楽しんでいた。そうしているうちにコロナがやってきた。コロナによってライブに行くことは叶わなくなり数年はあっという間に過ぎた。そのうち私が聴く音楽も変わっていた。King Gnuの新曲が発売されるたびに必ず聴いてはいたけれど、少し足が遠のいていたのも事実だ。

そんな時、新しいアルバムが発売されることを知る。「THE GREATEST UNKNOWN」だ。コロナ禍を越して発売された「THE GREATEST UNKNOWN」。収録される曲のラインナップはもちろん、私はまず常田さんが語ったアルバムのタイトルに込められた意味にぐっと心を鷲掴みにされた。「King Gnuの作品に触れたい！」そんな思いで気が付いたら初回生産限定盤を予約していた。

そしてお家にアルバムがやってきた。逸る心を落ち着かせながら震える手で段ボール箱を開けた。そこからはもう、King Gnuの音楽に夢中だった。アルバムの音楽をじっくりと味わい、感動しきりだった。サブスクリプションでシャッフルで曲を聴くことが多くなっているけれど、King Gnuのアルバムは必ず順番通りに聴きたくなる。それほどまでにアルバムが「ひとつの作品」として完成されているのだ。

アルバムを繰り返し味わってから、私は付属していた「King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY」の映像を視聴した。視聴する前までは正直、アルバムのおまけくらいにしか考えていなかった。

度肝を抜かれた。数年を経て、King Gnuは驚くべき進化を遂げていた。2nd アルバムの「CEREMONY」に収録されていたライブ映像とは全くの別物だった（もちろんこちらも好き）。

あっという間に時間が過ぎた。濃密で刺激的な最高の時間だった。そして誇張抜きで毎日視聴した。楽しそうに音を生み出すKing Gnuの皆さん、それを受け取って全力で音を楽しむ観衆。凄まじいエネルギーだった。そして私は心底思った。ライブに行きたい！と。

最速先行は外れた。でも諦めたくなかった。何としてでもKing Gnuのライブに行く、そこには強い意志があった。

そして大変幸運なことに、チケットが当たったのだ！その時の感動は一入で家族に興奮気味に話したのを覚えている。1/27が待ちきれなかった。

ライブ当日

いよいよやってきたライブ当日。これまでライブというものに足を運んだことのない私は少しの不安と大きな期待を抱きながら東京ドームへと向かった。

井口さんのアナウンスをしっかりと聞き、開演に備える。開演五分前ほどから携帯を弄るのをやめて五感を研ぎ澄ませた。会場に流れる神秘的で、どこかぞくっとする音楽に注意深く耳を澄ませていると真っ暗になる。始まった！

一曲目はSPECIALZ。しんとした会場に響き渡った「U R MY SPECIAL」にテンションは一気に最高潮まで駆け上がった。流れるように一途、千両役者、STARDOMが演奏され、会場のボルテージはさらに上がっていく。この時、ライブが初めての私はどう盛り上がったらいいかわからずに少し戸惑いを覚えていたのだが、開幕からアップテンポの曲で一気に飛ばして「楽しみ方」を教えてくれる、そんな曲のラインナップでとてもありがたかった。

次に演奏されたMIRRORからCHAMELEONの流れにうっとりとした。ガラッと変わった雰囲気にKing Gnuは本当に魅せるのが上手いバンドだなと感嘆した。そして演奏されたDARE??。元の良さを活かしながらも幻の曲、vivid redとの心地よい融合に感動した。隣でお話ししていたお姉さんのおかげで存在だけ耳にしていたvivid redとはこれなのか！と知ることができた。ありがとう、お姉さん。

続いて演奏された白日。正直白日を聴けるとは思っていなかったので大変感動した。生で体感する伸びやかで美しい井口さんの歌声が凄まじい。心を揺さぶられた。

ここで挟まれたMC。「カールおじさんと空飛ぶ家」について話す井口さんが面白かった。私も見たことはあったので内容は知っていたが、井口さんならではの視点での切り取り方が面白くてたくさん笑った。体と心がほっとほぐれる良い小休止だった。

そして常田さんのピアノから硝子窓へ。泡、2 Μ Ο Я Οと浮遊感のある神秘的な音の連続にうっとりと酔った。セットリスト、曲の繋がりが素晴らしくて本当によく考えられているなと感動しきりだった。2 Μ Ο Я ΟからVinylの流れにはぞくぞくした。会場もVinylのフレーズが聞こえだすとわっと盛り上がって、同じ熱を分け合っているかのようでとても楽しかった。

ここは語らずにいられないだろう。W●RKAHOLICからのＷ●ＲＫ。次に来る阿修羅に備えていたら、まさかの椎名林檎さんが登場。

大好きな椎名林檎さんと大好きなKing Gnuの共演をこの目で目撃することができた感動は言葉にしつくせない。感動と嬉しさをすべて声に載せて思い切り叫んだ。会場の歓声も途轍もなくて、しばらく演奏と歌声が聞こえなかったほど。椎名林檎さんがジャケットを脱いでタンクトップ姿になった時にはその艶やかさに息を漏らした。一曲歌って幻のように颯爽と駆け抜けていった椎名林檎さん、最高にかっこよかった。

感動はそのままに):阿修羅:(へと突っ込んでいく。会場を椎名林檎さんの色からKing Gnuの色へとぱっと変えてみせて最高に盛り上がった。この頃には完全にライブに没入していた。めちゃくちゃ楽しい！

いったん落ち着いて曲はδから逆夢へ。呪術廻戦のファンとしては、SPECIALZ、一途、逆夢を生で聴くことができてとんでもなく嬉しかった。次のIKAROSからSlumberlandへのシームレスな繋ぎに感動し、大好きなSorrowsを聴くことができてテンションがぶち上ってからのFlash!!!に全身で音楽を感じてノった。素晴らしく楽しかった。

ここで挟み込まれた二回目のMC。椎名林檎さんが出てきたときの歓声に嫉妬するKing Gnuの皆さんにほっこりし、椎名林檎さんとKing Gnuの出会いについて振り返った時間は生涯忘れないだろうなと思うほどエモーショナルで温かい時間だった。あと、井口さんの合羽に笑った。ファンの皆さんの掛け声まで面白くて温かくて楽しい時間だった。

ライブは後半へ。BOYでは、映像で登場したMVの子供たちに曲の雰囲気も相まって微笑みがこぼれ、曲の持つ温かさにとても勇気づけられた。大合唱を頼むと井口さんに言われてからのSUNNY SIDE UP、雨燦々に会場一体となって歌い、手を振る楽しさを知った。そこからの仝、三文小説、ЯOЯЯIMにもう終わってしまうのか……と悲しい気持ちになりつつ、最後まで最高の音楽に夢中になった。

アンコールはTeenager Foreverと飛行艇。アンコールで登場した井口さんが最初に二曲だと教えてくれたので、後悔のないように全力をぶつけて歌った。日頃のストレスも、悲しい気持ちも、ままならない現実もすべて忘れて全身全霊で歌った。物凄く楽しかったし、感動した。

生涯忘れられない最高の時間をありがとう、King Gnu。今はただ、ありったけのお礼を伝えさせてほしい。

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございました！「King Gnu Dome Tour『THE GREATEST UNKNOWN』」に関わった全ての方に心よりお礼申し上げます。これから先の公演も、大成功しますように！またいつか、至上の音楽を体感できる日を楽しみにしています。