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自作動画キメラ解説

この動画を見てもらっていたときいくらか何かを感じたり、創作キャラクター(12番目の黒髪の天使 ルイ=ルクス=光、以下彼)にもどんな意味があるのかと関心を持ってもらったりしたので使用した楽曲やモーションや小物などについて語っていきます。

この動画ははじめに自分がこの創作キャラクターのモデルをつくったときから作りたいと思っていた楽曲でした。アンノウン・マザーグースはその項で話していますがそれの思いの部分が強い動画で自分が捉えていた彼のキャラクター性をイメージしたのはこちらからでした。なので個人的にはこちらが先でアンノウン・マザーグースが次作のようなイメージでいます。描いているものとしても彼がこの世界へ来る前がキメラ、来た後への人生を見つめる作品がアンノウン・マザーグースという形です。

この動画のコンセプトの一つには出来るだけものは借りてこの動画を作るという意図がありました。それは作品作りのレベルを上げられる余力を入れるだけではなくてニコニコ動画における”借り物の文化”も知ろうと思い。そのためアンノウン・マザーグースでは出来るだけ自分でものを作るというコンセプトで作り、建物とその内観、テクスチャ、ステージ、そこに仕込んであるモーフなどがちまちまと自分で作ったものです(と言ってもキメラも細々小道具たくさんつくっています)。この対比も出来上がった後からいうとアンノウン・マザーグースは作られた世界、キメラは借り物の世界という構図に出来上がりました。ニコニコ動画で作られている動画はどちらかに入るのでしょうが、そのような気分になりました。また、お借りしたスカイドーム(空の背景)も対となっていてあちらは青と白で爽やかで明るいもの、こちらは赤と黒の重苦しいものです。これも反転した色の要素として活用することとなりました。

この自創作における各要素の意味(大雑把に)

あちらは彼のこの世で生きる姿であり、彼の精神世界の表れなので青と白で統一された世界、海と空の世界になるのですが、こちらははじめに翁面があることからも始まりますし、どことも言えぬ場所で黒い鳥居があるので日本人的にはそこがこの世ではないことはわかってもらえるかなと。異様なことは伝わると思います。この楽曲では逆再生的な要素(音楽には詳しくないので変な表現だったらすみません)や飛ぶようなところがあるのでそこもその場の不条理さを表す箇所として表現されました。この世においては時というものは過去から未来に進み戻ることはありません。ですがこの世界はこの世ではないので巻き戻ったり戻ったと思ったら違う現在に進んだりする非常に気持ち悪い世界構造にしました。この世じゃないので。彼はそういう世界から来たという世界観の表現ですね。

今更なのですが何故この動画での使用した楽曲では音声がないのかということですが、まあ簡単に言えば超かっこいいのでこの曲だけでもこの曲聞いてもらいたかったというのはあるのですが、ちゃんとしたことも書くとこの殺伐とした何もない世界を表すのにお借りしたかった(この曲から連想したのか、このイメージにこの楽曲が合っていてそこから借りたものなのかというイメージの順番はもうわかりませんけれどもそうでした)のでお借りしました。この楽曲のoff vocal動画を見に行くとそこのコメントの一つに「殺意の塊で殴り合ってるみたいな曲」みたいなコメントが有ったと思っているのですが、そのこともこの動画の一つのイメージ元になりました。ありがとうございました。

この世界は不条理の塊で、彼曰く「完璧で死の世界」だそうです。

この動画でははじめから「面(おもて)」が出てきますが、ペルソナという言葉を知っている人にとっては馴染み深い意味になると思っています。ペルソナとはパーソンやパーソナリティの語源となる語でその意味は「仮面」、転じて「人格」ということなのですがこれが彼の中の多面性です。能という芸能自体、面に神格が宿っておりそれを役者に下ろして演じるという舞台でもあります。ただお面ではないのです。翁は彼の力であり、出てきたときには地面に近い位置で髭を擦りながらそこに居ます、このことについては後述しながら。次に出てくる般若は翁とは別物ですが神域の中をカメラが通った先で映されるので神域の存在です。しかしそれは非常に憤怒していてまた智慧の象徴でもあるというこの面自体でも二面性を抱えています。その次に映る小面は鳥居の外を通って姿を写すのでこの世の存在です(ただし彼らと比べるとという意味なのでこの世界にいるという点においてはすべてはやや超常的存在です)。カメラがかわって髭を生やした狐面に変わっていますがこの面は空狐と呼ばれる面です。こちらも翁と同じく古い存在。その空狐を外すと異様な龍の面に切り替わります。これはこの空狐が变化した姿です。それもまた一つの神格(人格)となっています。カメラが戻ると翁が空狐をとらえている図になり赤い布が頭に被さります。これらの関係は翁を主体として空狐がその”力の形質”、その力が变化して取った”姿”が龍という(煩雑な)図式になっています。ゲームソフト『大神』を知っている方には具体的なイメージがなんとなく伝わりそうです(主人公であるアマテラス大神の力は生命を持ち、十二支の動物達の姿をしてアマテラスの能力を支えているという構造をしています。そういう感じだと思ってもらえるとわかりやすいかと)。

この被さっている赤い布もどうして被っているのかというのも色々と意味はあるのですが、このイメージはキメラの元動画で出てくる赤い布と、映画リングで死亡した布を被って指をさしている高山竜司のイメージもあります。

「結んで 解いて 結んで 解いて」という箇所では空狐面が赤いあやとり紐に変わります。そして次の「解いて」にはジッポーに変わり、また「結んで」赤い花、そして「解いて」最後には何も映りません。

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作成中のジッポーとそのデザイン

実はこのジッポーよく見ると文字が書いてあって「YOUR LIFE」とあります。このイメージ元も映画コンスタンティンのジッポーや血管や植物の入り組んだ組織などからイメージを得ています。このYOUR LIFEとは火を灯すものとそれを使用するに至るまでのすべての経緯に対してへの言葉のつもりで、掻い摘むとこれは自らの徳を今消費して生きるという意味を与えています。火を灯す材料であるオイルはどこかでその材料となるものがあって出来上がり、その出来上がるまでの経緯や犠牲を理解して消費するか?(=それを使うに値する事象か?)というような意味というか。また自創作ではちょくちょくしゃれや言葉遊びを挟むのですが、老いるともかかっています。消費していくことを。これも早い話をするならば、消費するということは絶対的な日常的行動ですがとても恐ろしい面があるというか。

次に映るこの花はゼラニウムの花の塊です。以前に彼の創作絵を描いたときにゼラニウムの花群を描いているのですが、そのイメージもあったり。

かつて描いた「黒髪の天使9_b」

この花はどこか奇怪な憂鬱さをはらむと思っていましたが花言葉を調べると(匂いが青臭いために)憂鬱という意味があったりするようですね。上の絵では青い曖昧な空とその下で鬱蒼と茂る赤い花の大群の奇妙な怖さも含ませて描いていたところがありますがこの動画ではその面を一つ入れていたり。これも早い話、彼の過去に関する動画なので、過去描いたものを入れたということでもあります(また、このイラストには対になる絵が存在します。そちらは紫の色味を持つ空とネモフィラの花群の中で小さい合皮と木から出来た椅子に座っているものです。この2枚一作というのも今回のキメラ、アンノウン・マザーグースのイメージに合うところはあります)。

次の「解いて」ではなにも映っていませんが、当初の予定では壊れた羅針盤を手にのせようかと考えていたことがあったようです(メモを見るまで忘れていた)、あるいは種とか。でもこのまま何もない状態もしっくり来るので結局作らないままにしました。解けてるしいいかと。

次の「結んで」からでは赤い輪が後ろに並んでいますがこれ何かわかりますかね。もう今の人知らなそうなイメージですがケンケンパの遊びです。次の「解いて」で赤い道を見せることでわかりやすくしてます。道です。ついでにいうとここは参道でもあります。神道において神域というのは女性器を表すらしいという説があるそうですね。参道とはそのまま産道と。宮の奥で玉と紐を振り、そして帰ってくる。後半でも表していますが彼の創造されたことなわけです、このシーン。そして次「結んで」では前に首の切られた折鶴が置かれています。これの前のあやとりもケンケンパも折鶴も彼にとっては遊びです。遊びで彼はここへ連れてこられ死ぬ運命になります。全ては仮初の世なので。それが苦しいと感じるのが仮初の世に囚われていることです。最後の「解いて」で輪の中にいますね。ケンケンパの最後の輪です。

「求不得苦 五蘊盛苦 煌く山茶花」では山茶花を持ち、それが枯れていくシーンです。元動画では金色に輝く造花(?)ですがこちらでは生花で生死(一生)を表しています。煌くのに?という感じかもしれませんがこの曲も盛者必衰、諸行無常の曲だと思っているので。ここも一瞬逆再生して花弁は戻り花が蘇りますが、この世界(完璧な世界)はそのように上も下も先も後もないでたらめなことかなと。
ちなみにここのシーンで彼は右手指を何かサインのようなものをつくっていますがこれは印に見えてそうではなく、自創作の世界観”3点”を表したものであったりします。つまり、世界や人。その運命ということですね。この花の一生が表すものは。


書いててこの作品こんなに殺意高かったっけ…( ˘ω˘?)てなりました。
通りでホラーです…。


「内叫ぶ」回る砂時計、「流れる血は」彼が現れる。「誰のため」彼が消える。「飛ばせ 飛ばせ」止まったメビウスと回るメビウス、「消し飛ばせ」二つの割れ方の卵、「君の身は」将棋盤とその駒、「籠の鳥」翁面と赤いあやとり紐、そして鳥かごにとらわれて「この子へ止まれ」。
何となく通じる気がします。自創作世界観の補足として画面右が過去、画面左が未来を表しますが、彼からすると意味は変わり彼から見て左に映っているものが彼自身、右が他者(ここにおいては彼の元いた世界)という意味があります。なのでそれで見ると意味はわかると思います。翁面は神の化身でありそれが髭を擦るような低い位置にまで落とされているというのにはここに意味があります。とらわれた存在という。

間奏に入ってようやく彼の本性が現れます。彼は(かろうじて) 神域内に足を留めていましたがこのシーンからはこちらに来ており、次からは鳥居も現れなくなります。ここから先は現世となっていくわけです。とらわれた翁は6つの光る翼を持つ黒髪の少年の姿で現れます。ここも逆再生していますがよく見るとここも同じ動きをたどりません。これは後に載せるイラストの背景のウロボロスとも関係しますが同じものは辿らないということを意味しています。
またここで映る彼の瞳は白(銀)っぽい色ですがそれもアンノウン・マザーグースで語った彼の色の意味もあったりします(ここにも載せてるけど)。

ここから先は彼が面や布を外すので字幕がはっきりします。そしてここにおいて彼がどうして無声音のまま歌っているかというと、彼の構造は生身の頭部と少しの臓器と骨と後は機械の体という構成をしています。この機械の体には声帯も含まれており、つまり彼自身には声がなかったという背景もあります(自分の作る黒髪の天使たち自体どうもこの声にはその様な関係があり、彼らはあまり話さない、あるいは言葉を喋らなかった存在でした)。またこの人工声帯には彼の人格が変動するとそれに伴って声質も変わるという役割も与えられています(MMDにおける歌唱動画にも合う部分ですね)。

ここからの「結んで 解いて 結んで 解いて 」でもあやとりは出てきます。ここ、蝶のあやとりをつくっているんですが、ゲームペルソナシリーズをやってるひとだとこれもまたピンとくるかもしれませんが「青い蝶」は魂を表すものだったりします。ここにおいては赤いあやとり紐ですが、彼曰く自身には魂がないそうなのでその面も入っていたり。そして結局は作らず終えてしまいましたがこの一瞬でもくもの巣のあやとりも作ろうかと考えた場面で、そこの箇所に、まるでくもの巣に蝶が絡め取られたみたいだと感想をいただけたときにはすごい感性だなとありがたみを感じたりしました。
ここからの「結んで 解いて」には様々なポーズも一瞬にいれつつ出来上がっている箇所です。まず両手を縛られ、一瞬でそれは首にまわっており彼はそれをとらえている、次には胴体へ。その次は手をそれぞれ縛られます。そして抜けたと思ったら彼の右側にある縄に首を吊られるというモーションですが、これはそれぞれ縛られ、生み出され、操り人形、そして人生という意味合いです。将棋のシーンも有りましたし、最後の鳥かごのシーンもそうですが、彼は幾度か自らを玩具、自らの人生のゲームを生きるための己のための駒と称すことがありました。

「愛別離苦 怨憎会苦 生身は 幻 求不得苦 五蘊盛苦 意識を繋いだ」では彼の背景に翁面をかけた輝く天使がおり、彼はその前で向こう(こちら側)へ歌を歌います。その間にカメラは逆転したり逆再生したりしますがここも転落や不条理さを入れたつもりであったり。赤い布に切り替わると体はなくなり翼だけがそこにあります。これも彼の状態を表していたり、彼曰く醜い影と。

 目がけ 目がけ 振り下ろせ
 流れる血は 誰の為
 飛ばせ 飛ばせ 消し飛ばせ
 今日の日よ 安らかに
 宿れ 宿れ 内叫ぶ
 流れる血は 誰の為
 飛ばせ 飛ばせ 消し飛ばせ
 君の身は 籠の鳥

キメラ feat. IA

目がけで現れる髑髏、その後に現れる骨壷、最後の棺桶も彼の人生観ですね。頭しかないのも、小さな骨壷なのも、彼に合うサイズの棺桶なのも、死はどこにでも満ち溢れているという意味で。必ずしもこれらは彼を表しているつもりはありませんが彼ではないとも思いません。そしていつも箱に入っていることだと彼はいっていました。人生は箱に入ること。

次で手に持つ剣、銃、鉈も彼への死の表しです。すぱっと斬られ前振りもなく、それはあっという間で一瞬。最後の鉈は彼に命を与えたこと=元の世界に居た彼を切り裂いて連れてきたこと=故に死ぬという運命を表しています。考えるとこの人アンノウン・マザーグースもそうだったけどはじめから死ぬことを前提に生まれててなんでつくったばっかなのに死ぬ用意してんだよと思いました。無情です。彼にとってははじめから死ぬことらしいです。生きることは。

「内叫ぶ」では彼が右手でこちらを指差して言ってきますが、これは他者(=あなた)に言っていることであります。他人事ではない。「誰のため」では彼の目をこの動画で唯一動かした箇所です。見ています。言っています。

最後の場面、様々なアイテムが現れては消え、最後に翁が現れますがこれもよく見ると段々となかったエッジが現れてきます。実はこの動画では(アンノウン・マザーグースでもですが)エッジのあるものと無いものを分けて表現してたりします。だいぶ見づらいのでわかんなくなっちゃいましたがね。この世の存在ではないもの、超常のものはエッジがありません。対してエッジがあるものはこの世のものです。つまり翁が段々と受肉していっていく表現だったりします。そしてその翁が鳥かごと蛇の玩具に変わります。これで気づいた人がいるかわかりませんが、これアンノウン・マザーグースに続いてる表現です。鳥かごの塔、あるいは化石の中にとらわれた蛇。その蛇もエッジが入っているのですがアンノウン・マザーグースもよく見ると段々エッジ表現が消えていくという経緯でエッジが彼にだけ入ってるんです。塔やかごにはありません。これにおいてはそれが彼のリアルになっていくということです。

ここまで解説した後だとこのイメージイラストも意味なんとなく通じるかなーと。

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キメラ MMDイメージイラスト

ちなみにこちらもアンノウン・マザーグースのイラストとは対比のコンセプトになるようにあっちでは彼だけですっきりした絵に対してこちらではごちゃごちゃとして煩雑な絵にしました。よく見ると彼に何かがまとわりついているのですがこれは元動画キメラで出てくるよくわからない紐の束やぐちゃぐちゃとしてどこかグロテスクな液体状のモノをイメージにお借りしました。個人的には五蘊盛苦(穢レ)と肉体(紐=血管や神経…この世の苦しみや痛覚)というイメージです。彼ははじめそれを持っていなかったわけです。身の内には。ここでそれがまとわりつく。
ちなみにこのイラストでは数字もなんとなくコンセプトに入れていて、対にしたり数を合わせたり順々に増やしていったりなどしてそれぞれ構成しました。ものの配置も意味あります。あと彼の周りに彼の手が浮いていますがこれは指文字です。動画では印のような手のサイン使ったのでこちらでも印に見えるサインを使いたくて。
 2 3
 1 4
9   5
 8 6
  7
という順番になっていて、「このみはかごのとり」としるされています。また、2番めと7番目にあたる指の形が人差し指で指し示す形になぞらえられるので彼を表すサインでもあります。

長かったですが解説を読んで頂きありがとうございました。個人的にはどっちも3分の1かそこらくらい解説した感じなので、まだまだイメージはあります。それもいずれどこかで触れられたら楽しそうです。動画も楽しんでいただきありがとうございました。


イラストを描くに当たりお借りしたデザイン元

絡み付く糸と穢レ https://www.nicovideo.jp/watch/sm24897309 ATOLS様
ステージ https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im3411762
黒鳥居 https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im4540086 azyazya様
https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im2705073 Cloud9様


自作動画アンノウン・マザーグース解説 https://note.com/utitanijoe/n/nafe4fa78e4a9

マシュマロで質問とかwaveboxで応援もらえたら嬉しいと思います。あまりまめとは言えない者ではありますが……。

読んで頂きありがとうございました。


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