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11月の音楽室

(写真は幼児さんのutena drawing。何描いても虫っぽくなる虫好きさん)

多感な年頃なので・・

10月のリトルコンサートの時、ちょっとだけ心配をしていた生徒がいました。
キャサリン・ロリンの「スペシャルプレイス」は、左手の跳躍がひろくて、その生徒にはハードルが高く、練習もつかみどころが今ひとつきまらず、なかなか仕上がっている様子にならないかんじでした。

それでも、コンサート前夜のレッスンの時には、いい集中力でぐいっと自分に演奏を引き寄せてくることができて、おっ!いい感じやん。と。
多分自分でも手応えがあったはず。
ただ、もう一週早くそれをつかんでいたらな・・

当日、前半、広々としながら良いテンポで、心地よい集中をしていたのですが、
後半は少し迷いが戻ってきた感じ。でも弾き切ってえらかった。

お母さんとも、とても彼女らしい優しい音で、とってもよかったと話していたのだけれど、本人は残念がっていた、と。

本人はすでに一歩先へ

ナイーブな年頃だから、堪えているのではないか、
次のレッスンの時にどう話しかけようか、と思っていたら、
いつものように少し恥ずかしげに音楽室に入ってきてすぐに
彼女は、本を差し出してきました。

「これ、弾きたいんやけど・・」

なになに?
「ヨルシカの花に亡霊・・」すてき。

よかった!ちゃんとなにかクリアしてやってきてた。
そしてなにより、自分から
「この曲が弾きたい」と言ってきたのも初めてのことで、
私は、踊り出したいほど嬉しいのを抑えつつ楽譜を見てみる。

結構むずい・・・

楽譜通りの左手はいきなりは無理かな、
コードもセブンス多くて、覚えられるかな。
まだコード弾きもなじんではいない。
テンポも速いし、ちょっと納得いくところまで演奏できるようにできるのかな。
省略しながらやってみようか。
でも、思春期の子たちはもうテンションコードが大好き、そんな手抜きは逆につらいかな。

・・・と思いながら、3週目。
一生懸命練習してきた様子、ただ、テンポの取り方がわからずふわわんととりとめない感じだったので、すこしドローイングして、
も一度ピアノに向かう。

あっという間にメロディがテンポよく流れ始めて、
コードもここちよくはまる。

あの、コンサート前に引き寄せた「自分の音楽」
はここで花開いてきたのか。

おお、いいやん!
と言ったら、
やっぱりちょっと恥ずかしそうにしていました。

彼女のできるところから音楽を組み立てていってみることにします。


愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!