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【自主ゼミ】産学官共創デリジェントゼミ第五回 2024/05/15

5/15に産学官共創デリジェントゼミ第五回が開催されました。今回の記事では、特別講師として株式会社Waqua代表取締役社長の柳瀬善史さんをお呼びしたゼミの内容をお届けします!
産学官共創デリジェントゼミは学生団体東京大学Diligentが主催する、東京大学学生自治会から認定を受けた自主ゼミです。産学官の幅広い分野から、その業界の第一線で活躍していらっしゃる方々を特別講師としてお呼びして講義をしていただくことで、受講者のキャリアに対する価値観を広げることを目的としています。

ゼミに興味を持ってくださった方は初回のガイダンスの様子をまとめたnote記事がありますので併せてご覧ください!

さて、今回の特別講師の柳瀬社長は、好きだったアパレル業界に携わりたいということで伊藤忠商事でブランドビジネスに従事したのち、アクセンチュアで経営コンサルティングをされて、その後モナコ大学でMBAを取得され、現在代表取締役社長を務めていらっしゃる株式会社Waquaを創業されたという異色の経歴をお持ちの方です。

大企業に勤めていらっしゃった経験を活かして起業されたご経験をお話しいただき、受講者一同聞き入ってしまうような非常に興味深い内容でした。以下、講義の流れになります!


株式会社Waquaについて

柳瀬さんが代表取締役社長を務めていらっしゃる株式会社Waquaは、海水を淡水化する装置を提供する会社です。週刊東洋経済が発表しているすごいベンチャー100にも選出されている、現在大注目の急成長企業になります。
淡水化装置と言ってもピンとこない人が多いと思いますが、Waquaの提供するこの装置がどれほどすごいものなのかを存分にプレゼンしていただきました。

装置の特徴を説明する柳瀬社長

従来の海水淡水化装置とは違い、Waquaの提供する装置はミカン箱程度のサイズまで小型化されており、また、消費する電力もかなり小さくて済むということが大きな特徴になります。また、この装置は海水だけではなく、河川水をはじめとする様々な水を淡水化することができるようになっており、使用用途も実に多様なものとなっていました。

例えば、国内では、
・建設現場(長期にわたって水道管が整備されない、高層マンションだと水が足りない)
・船舶
・オフグリッドハウス(山中で、電力も自給自足するコテージなど)
・災害現場(水道の損壊)
・限界集落(水道管のメンテナンスもままならない)
といった場所で活用されているそう。

国外でも、100以上の離島を持つ国は50カ国以上存在するそうなのですが、それらの国で深刻となっているのが、海面の上昇による井戸水の塩水化なんだそうで、生活用水として使っていた井戸水が使い物にならなくなったというケースも最近増加しているらしいです。
そこで、各井戸に淡水化装置を備え付けることによって生活用水として使用可能にできるとのことでした。そういった離島地域では、大量の電力を供給する体制が整っていないことも多い中、省電力で稼動するWaquaの淡水化装置は非常に有用です。

SDGsの観点からしても、節水をすること(浄水場からポンプで送り出す水の量を減らすこと)が実質的に節電をすることにつながるという話もありました。

特に印象的だったのは、地球上の水は98%が海水で、それ以外の2%が淡水として使えるかというとそうではなく、地表の水のうちたったの0.01%しか使用できるほどきれいな状態ではないというお話です。これら0.01%の水を循環させて使用するのはこれからの人口増加も考えるとかなり厳しいので、こうした淡水化装置(海水だけでなく、汚れた淡水も使えるようにする)を使用することで99.99%も使用できるようにするというのは夢のある取り組みだと思いました。

キャリアについて

次に、柳瀬社長がどのようなことを考えてキャリアを選択されたのかということについてもお話ししていただきました。

就職活動の際は、学生時代の情報収集やビジョンの描き方には限界があると感じ、広く見渡すことのできる総合商社、しかも好きなアパレルブランドの事業をしている伊藤忠商社を第一志望にしたとのことでした。

働き出してからは、ブランドビジネスに従事しながらも、他の総合商社とは異なり、既得権益を持っていない伊藤忠商社ならではの取り組みとして、日夜新規事業の開発に意識を向けていたらしいです。

その後、アクセンチュアに入社して、モナコ大MBAを取得したのちに他がやったことのないことをしたいということで株式会社Waqua(当時社名はワイズグローバルビジョンだったが、のちに水と共にを意味する"with aqua"からとったWaquaに社名を変更)を創業しました。

大企業から、海外大MBAを取得して起業という、東大生でも夢見る人の多いキャリアパスで、非常に参考になりました。

1・2年生へのアドバイス

また、ゼミを受講している1・2年生に対してのアドバイスもいただきました。具体的には、「起業するなら大手企業で働いてから」「社内外での仲間を作っておく」という2つのアドバイスをいただきました。

最近は学生のうちから起業をする人も増えてきましたが、大手企業を相手にするときに必要となるプロトコル(規約・手順・儀礼)を学ぶためにもファーストキャリアで大手企業に入社するのは有用だそうです。

また、社内外で仲間を作っておくことによって、起業した後にも仕事につながるようなネットワークを作りやすくなります。

実際に社会に出て経験を積んでいらっしゃる方からのアドバイスということで、とても説得力のあるお話でした。

グループワーク

最後に、「小型分散機器の市場性を考える」と題して、Waquaの製品がどのような場所で利用できるかというアイデアを出すグループワークをしました。

学生の発表をメモする柳瀬社長

各グループでお題に沿って考え、大規模なクリーニング施設や、染め物、製紙パルプ工場、宇宙ステーションに農業施設、研究機関などの様々な案が出ました。

グループごとに出た案を発表したのですが、それぞれのグループに対して柳瀬社長から、実際に導入されている事例の紹介などを通じたきめ細やかなフィードバックをいただきました。

グループで話し合うことを通じて実際の事業に触れることができて非常に興味深い体験でした。

最後に

今回は柳瀬社長に、ソーシャルビジネス的な分野における起業とキャリア選択の方法についてお話しいただきました。ビジネスの分野の第一線で活躍されていらっしゃる方によるお話から得られるものはとても大きかったです。

実際にどのように事業を組み立てているのか、そしてどのように考えてキャリアを選択したのかという話は特に面白かったです。

興味を持っていただいた方は、ぜひ下記のリンクからゼミにご応募ください!(セメスターの途中からの参加も大歓迎です!)

また、弊団体に興味を持ってくださった方は、団体ホームページをぜひチェックしてみてくださいね!

文責:千代丸佳依

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