見出し画像

私が着物文化で残したいもの、大切にしたいもの

 昨日はジャージ素材の着物があるのか!という驚きと、その今まで自分が抱いていた着物を着るという文化の崩れ具合に感動した記事を書いたけれど

あれ、それじゃ私が残したい、大切にしたい着物文化ってなんなんだろう、と思った。

 生地の素材が新しくなって、その目新しさに感動して
着物がより着易くなって、それで満足なのか?


 ジャージの着物が私達に与えるのは、着物を着ても動きやすいという驚きと、着物はワンピース感覚でいいんだ!という感動だろう。

 その一方で、もし私が一年のうちジャージ着物ばかり着るとしたら、絹の着物の手触りを感じることも少なくなるだろうし、布を身体に巻き付けた中でどう動くか、という所作を考えることもきっと少なくなるのだろうと思う。

 また、素材が天然であることの何が良いのかといえば、着物産地それぞれの自然に思いをはせること、そして作り手の技術を感じられることなんだと思う。

 もちろん、ジャージという素材も歴史あるものだ。けれど、その背後の歴史と着物のつながりは薄いと考えてる。


 ここまで考えて、第一に大切にしたいこととして、私は着物を着たり、デザインすることで、日本で歴史を経て作られているものの背景を伝えたいのだと思った。それができるのなら、新しい素材でも歓迎すべきことだと思うし、伝統工芸だけではなく、アパレル縫製工場で作られる洋服用の生地にだって目を向けたいと思う。着物業界だって、どんどん新しい素材を取り入れて、今では絹に似た洗える着物を作ったりしている(東レのシルックとか)。

第二に残したいもの。
 素材がどんどん変わっていく中で残るものと言えば、着ている人の気概というか、仕草だと思う。とても捉えがたいものだけれど、着物は着るだけで華やいだ気分になるし、着物を着ている人が集まって街を歩く姿は壮観だ。着物を着ていると「いいわね」と街中で声をかけてもらえることも増えるし、よかったらぜひ試してもらいたい衣類だと思う。そういったフワフワした気分で生まれる表情の人はとてつもなく可愛い。
 また、着物は袖が長く、帯を胴体にがっちり締める。まず、脚が上がらない。階段を上がる時は正面から斜めに身体をずらして一つずつ登っていく。袖が汚れないように自分のひじ下、脇下を考慮しないといけない。着物を着ながら食事をするときに、テーブル奥のドリンクを取ろうとするなら袖に手を添えて、料理が袖につかないようにする。なんて面倒くさくて手のかかる衣類なんだろう。けれどその着物の形態のために動きが定まってくるんだ。

(私自身、まだまだ着物を着足りてないな。自分の所作について着物を着て気づいたらまた記していきたい。)

 着物を着だして、着物に対して「なんだかいいな」「着てみたいな」という人が意外に多いと思う一方で、なんだか二の足踏んじゃうという人もとっても多いのだと思ってる。実際に、着付けにあたって準備するものって意外と多くて、慣れるまで大変…。その面倒くささも含めて、着物はじめたばかりの私が感じることを記していこう。
 ユニクロだと○○円でトータルコーディネートできるのに!おはしょりづくりや衣紋抜きがなければもっと早く着れるのに!という金銭面や時間面でのモヤモヤもありつつ、だからこそいいんだ。だからいいんだ、という背景を伝えていこう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?