それすらもすき。

おいしいみーとそーすがたべたい

彼はひらがなをよく使う。特に最近のやり取りはほぼひらがなだ。理由はわからないけど可愛いし、彼の緩い雰囲気にあっていて良いと思う。

「みーとそーすつくれる?」「作れるよー」「いっしょにつくろ」家政科を卒業しておいてよかった。「食材もかいにゆこ」と彼の仕事帰りに近所のスーパーで買い出し。冷凍保存したいから、と4人前の食材を買った。途中で職場の後輩から電話がかかってきて対応する彼はかっこよかった。

帰ってアニメを見ながらお酒を飲むと眠くなったのか彼はベッドに潜った。足を出してこっちを見ている。マッサージをしてほしい時の顔だ。可愛い。足裏を指圧するとふにゃふにゃとした笑顔で気持ち良さそう。この顔を見たくていつもマッサージをしている。”ちょっとねる…。”とすーすー寝息をたてる彼を横目にベッドに寄りかかってスマホをいじる時間もお決まりになってきた。

2時間後に目を覚ました彼とキッチンに向かう。「まず食材をみじん切りにしていきます。」「はーい。」玉ねぎの皮を剥いてこっちを見る彼。「半分にして先っぽのところ切ってね。」「逆側は?」「私は茎のところ切るかな。」「まっすぐ?」「もったいないからV字に。」「……?」「…やろうか?」「うん。」意外と出来ないらしい。私がトントンと切っている横でうろうろしている。「手持ち無沙汰?セロリみじん切りできる?」「やる。」やる気はある。私の言った通りに動く彼なんて今までになかったから何だか面白い。コトコト煮込んで出来上がったミートソースはなかなか美味しかった。「うま?」「うま!粉チーズほしい。」「買えばよかったね。」2人で作ったのに食べ終わって私に”ご馳走様でした”って言うのが律儀だ。

お腹いっぱいになって満足気な彼はベッドにうつ伏せになった。”あ、マッサージですね”といつも通りの全身マッサージをする。おねだり顔には勝てたことがない。

「なんか見よ。」とAmazonプライムで『ポゼッション』を選んだ。何故ホラー映画なのか。ちゃんと最後まで見たけれど、これで怖がったり出来る可愛い女の子だったら彼の気を惹けたりしたのだろうか。深夜3時、2人で眠った。

数時間後にふと目が覚めた。そろそろ彼のアラームが鳴る時間だ。寝ぼけつつも寝返りをうつと、彼の腕にぐっと引き寄せられた。起こしちゃった。さわさわと胸を触られて、私も彼のを触ると舐めるように促された。途中で鳴ったアラームを止めて彼が私の中に入ってきた。大きくて圧迫感がある。でもそれが気持ちいい。またアラームが鳴る。在宅勤務の出勤報告の時間。「出勤押しながらヤってるっていうね。」ニヤッと笑いながら突いてくる彼にゾクゾクしたし、背徳感で興奮した。

お昼はいつか行ったお蕎麦屋さんで食べて解散した。初めて見た彼の悪いところにまた惹かれた。

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