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Famous FU-180P 「ウクレレことはじめ」/Lefty弾き語りの苦悩


甘くて切なくてたまらないすてきな音がします

こんにちは。「半径1mから6,371kmの愛と平和」を歌う、左利きのシンガーソングライター・歌っテルです。

1980年代の後半に通っていた八王子の山の上にある美大には音楽をやるブカツがふたつありまして、僕は「ウエスタン部」に所属していました(もうひとつは「軽音楽部」)。なんでウエスタン部なのかはさておき(置いとくんかい!)、ふたつの部活は対立抗争などなく平和に共存していました。おまけに美大芸大っつーのは浪人文化がありまして、なので年齢層も幅広く、音楽ジャンルも多種多彩・・・まあ、いまでいう「生物多様性」の先取りですかね〜(うんうんそうかも)。そんなごった煮な闇鍋な毎日の中で、僕らは絵を描くことを忘れるくらいひたすら音楽に没頭してました。その頃にできた仲間たちってのは、いまでも大切なつながりがあるし、唯一無二の宝です。

第4回■Famous FU-180P

社会人になって6年目の秋に関西への転勤が決まり、学生時代の同志が集まって、壮行会をしてくれました。
その時「コの子はあっし(後輩の彼は自分のことを「あっし」と呼ぶ江戸っ子でした)が持ってるよりもテルさんが持ってたほうがいいと思うんすよ」って言って、ウクレレをくれました。
ひとりでさびしい夜はポロンと鳴らしてやってくださいよこのパイナポー!まぁテルさんのことだからそんな夜はないと思いますけどね!うしっしっし!!って笑いながら。

自分の楽器をひとにあげる。
そういう感覚がなかったので、なんだか、分身を預かるみたいな、こりゃ大変なことなんじゃないかとか、嬉しいような大変だぞみたいな気持ちで受け取りました。

その後、なかなか本気に向き合うタイミングを逃し続けズルズルと日々は過ぎ、そばに置いてはあるものの、ちょっと触ってはええ音を出せないことに気持ちが萎えてまた離れ・・・の繰り返しでした。
いまみたいにyoutubeでレッスン動画検索なんてできなかったので、えいやっと教則本を選び、あてずっぽで音源を買って聴いてみて、という手探りの繰り返しだったんだけど、いつもなんともしっくり来ず、、、本腰入れるまでにはなかなか至らなかったのです。

長女が生まれてその隣でポロンポロン弾いて気分を出して・・・なーんてやってた時には、突然思いっきりブン投げられちゃってネックが折れたこともありました。父さん唖然。。。そうそう、ブリッジが割れて剥がれてしまったこともありました。
それでもそのたびに何度も何度も修理しては復活を遂げました。

そんなこんなしてるうちの、ある年。
彼は、くも膜下出血で急逝してしまったんです。
41歳。ほんと、突然のことでした。

思いがけない形で、僕のところにやってきたこのちょっと変わったウクレレが、思いもよらない形で、彼の遺品となってしまったんです。

で、気持ちがいよいよ動き出して、ウクレレを習おう、もうちょっとちゃんと音を出せるようになろう!って思ったんですね。ようやく。
レッスンに通うことにしました、この、パイナポーを抱えて。

そこでまず教わったのは、ウクレレの持ち方、構え方、弾き方。
「フォルム」です。
それと、「ドレミファソラシド〜ドシラソファミレド」。
カッコからかい!ドレミ単音からかい!と思うかもしれませんが、なんのなんの、それがとてもだいじで。どれをとっても、ギターとまるで違っていて、自己流のクセがボロボロと剥がされていくのが楽しくて仕方ありませんでした。心の片隅で、ウクレレを「弦が4本しかないちっちゃいギターみたいなもんだろ」と舐めてかかっていたことを、彼とウクレレに強く詫びるところからのリスタートって感じ。

彼の遺品となった、彼がくれたウクレレをちゃーんと鳴らしたい。という想いで始めた半年の教室通いでしたが、あっという間にウクレレの世界にハマり、その後、ウクレレのオーケストラも3年経験。
弾き語りの自分の表現を大きく広げるきっかけになってくれたのです。

最近は、白豆柴の柑太くん(8歳)と海に行くときに一緒に持っていくんです。
「海レレ」。

夏でも冬でも、ウクレレ 。いいでしょう〜、海レレ。
なんていうのか、もう、いつも一緒♪♪ って思える楽器があるのって、とても幸せ。
ウクレレは、そういう気持ちにさせてくれるんですね。

ウクレレを始めたいんだけど・・・って人には僕は必ずこう言うんです。
「心を開いて愛したら、ウクレレがある日寄り添ってくれるんだよ。その瞬間が素晴しいんだ〜」って。抱っこして寝てあげてねって。でも寝返りには注意してねって。痛いから・・・😂

ま、それもこれも、ぜーんぶ、ぐんちゃんが教えてくれたんですよ。
ありがとう。
大切なパイナポーを僕に託してくれて、本当にありがとう。

いつも心に、愛と平和を。

・・・・・


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