見出し画像

Aさん、入院辞めました

初めまして、Aさんと申します。「さん」までが名前なので、敬称をつけるときは「Aさん様」や「Aさんさん」、「Aさんちゃん」などになるかと思うのですが、ややこしいので呼び捨てでお願いします。

なぜにnoteを書き始めたかというと、自分の人生が一般的な人のそれに比べるとちょっとハードなんではないか、とウン十年生きてきて気がついたのです。

この一般的な人生というのは何を指すかというと難しいところですが、おそらく多くの人たちは精神科の閉鎖病棟という場所には縁なく生きてきたかと思うのです。
精神科の閉鎖病棟に入院したことがあるかどうかを「一般的な人生の指標」とするとですが、私は過去に急性期の閉鎖病棟に三回入院したことがあるので、一般的な人生から割と大幅に外れているかと思うのです。
いやー、そんなことないよ!三回くらいは普通だよっ!って方がいれば教えてください。心の支えになります。
(そもそも、「一般的」の区分けを閉鎖病棟に入院した経験があるかどうかで判断するのが間違っている、ハードル高すぎるだろ、という意見が大多数でしょう。私も同意です。)

まず、私がなぜに精神科の閉鎖病棟にお世話になることになったか、ということを最初のこの記事でお話ししたいところですが、初っ端から語るにはハードすぎるのでもう少し記事を書くことに慣れてからにしましょう。
初回の閉鎖病棟への入院の経緯も、下手すりゃ全国ニュースになっていたかもしれないような事件(未遂)なので、これもそのうち書きます。

ということで、このnoteのタイトルと今回の記事にもなっている、「Aさん、入院辞めました」について今回は綴っていきたいと思います。

もうタイトルそのままの通りなのですが、入院を辞めました。
どんな病気で何科に入院する予定だったのだろう?という疑問を持っている方は、よろしければ最初からこの記事を読み直して頂けるとありがたいです。遠回しに読解力無さすぎじゃないの?って言っている訳ですが、怒らないでね。ちょっと煽ってみただけです。

まあ、端的に言うと、メンタルがやばくて精神科の閉鎖病棟に入院する予定だったのですが、それを辞めたのです。

どれだけメンタルがやばかったかというと、
・Amazonのオススメが煉炭やロープなどで埋め尽くされる
・検索履歴が「カフェイン錠剤  致死量」「テオドール  致死量」などで埋め尽くされる
・樹海の自◯スポットへの入り口をSNSなどを使って調べる
・上記の行為を繰り返したあと、「もう死ぬのも面倒」という感じになり、ベッドから起きられなくなる
・1日の大半を虚空を見つめるか、スマホをなんとなく触ってみるだけになる
・時々、堰を切ったように涙が出てきて、「なんで生きてるのか分からない!」と咽び泣く

このような状態を見て、周りも「ああ、またAさんのメンタルがやばくなった」となるわけです。Aさんヤバいぞ、寄り添ってるこっちも辛いぞ、となってきます。
こんな時、私が一番危惧するのは、自分の気分の落ち込みだとか生死に関わる危険な行動を取ってしまうかもしれないなどではなく、「このままだと大事な人たちに見捨てられる!!!」という恐怖心です。こういうマインドになると、すこーしだけ冷静になってきます。
ウン十年病気と闘って培ってきたスキルによって、「周りに迷惑かけないためになをすべきか」「死なないために何をすべきか」と、朦朧とした意識の中でポンと出てきた答えは以下です。

そうだ、閉鎖病棟へ入院しよう!

何をすべきかで一番最初に思いつく方法が、「そうだ、閉鎖病棟へ入院しよう!」なのだから、推して知るべし病歴の長さと重さですね。

すぐさまかかりつけのメンタルクリニックへ飛び込み、涙と鼻水をダラダラ流しながら、いかに自分に入院が必要なのかを主治医に説明しました。
ここで閉鎖病棟マスターの私が注意するのは、「死ぬつもりだ」「自傷行為をしたい」などと絶対に言わないことです。
え、Aさん、死ぬつもりなかったの?と前述の様子を読んでいたら思いますよね。いや、もう希死念慮に溢れていました。バチバチに死にたかったです。
しかし、「自傷他害がある状態」「死を強く望んでいる」と医師に判断されると、任意入院ではなく医療保護入院というものにされる可能性がグンと高くなるのです。

精神科病院へ入院する過程は主に以下の三つです。
任意入院(患者自らが望み、入院中に大きな制限等もなく、好きなタイミングで退院できる。私はこれをバカンス入院と呼んでいます)
医療保護入院(精神科の先生が「こりゃ入院必須ね」となり、家族の同意の元入院させられる、退院は自分の意志では無理。入院中色々な制限が課せられる)
措置入院(これは中々見たことがないSSSレベルです。本人家族の意志関係なく、こいつヤベーからシャバから離さないとダメね、と都道府県知事の権限で行われるリーサル・ウェポンです)

Aさんはこのような無駄な知識を蓄えていたので、今まで医療保護入院を巧妙に避けて、なんとか任意入院という選択肢を勝ち取ってきたのです。
今回もその要領で「いやあ、ちょっと休息が必要だと思うんですよねえ」てな具合で病状をマイルドに伝えました。
例えば「死にたいです、死ぬつもりです」と言いたかったとしても、「生きている意味が分かりません、死にたいとは思わないけど消えたいなと時々考えます」とポップな表現にします。

こうしてメンタルクリニックの主治医から、大きな精神科専門病院へ紹介状を書いてもらい、入院の手はずを整えてもらっていたのです。
が、病院の場所が「おいおい、大丈夫かよ」となるような下町でした。
ニューヨークで例えるならハーレムみたいな場所です。

入院前に必ず病院や病棟、泊まる病室(今回は個室予定でした)の下見が必要だったので、車で向かったのですが、道中から「ああ、こりゃスラム街だ……」となる風景。
自転車は基本逆走。車道を塞ぐように4、5人で並列で歩く部屋着のおばちゃん。え、その格好で外出ても大丈夫?という人たちが、昼間からパック酒を持って歩く光景。
病院に近づくにつれ、私の心臓がバクバクしていきます。

そんな私の心配をよそに、待合室は静かな雰囲気で、担当医師の先生もおっとりして優しかったです。
おお、これは入院に最適だ!しかもストレスケア病棟という所に入院を薦められ、個室だからパソコンやスマホなども自由に使えるとのこと!
よっしゃ!よっしゃ!と心の中でガッツポーズ。
もうこの頃にはAさん、入院にがっつり前向き。ホカンスならぬ、ホスピタンス。

診察を終え程なくして、入院予定の病棟のナースさんが外来棟へ迎えに来てくださり、入院棟へ連れて行ってくれました。
外来棟と入院棟を繋ぐ外の通路が金網でガッツリ囲われ、至る所に防犯カメラがありました。しかし、Aさんはそんなことでは驚きません。「ほーん、少しの隙もないから安心だねえ」と病院の防犯面に関心するくらいです。
案内人のナースさんが、金網越しに見える庭を指さして「あそこは噴水になるんですよ〜、春には桜が咲くんです〜、この季節も気持ち良いですよ〜」と丁寧に説明してくれます。
入院患者が自由にその庭に行けるのか定かではなかったのですが、すごく気持ちの良さそうな空間でした。
もしかして金網越しに楽しめよ、という意味だったのでしょうか。だとしたら、このナースさん、なかなかに鬼畜です。

金網を抜け、いくつもの鍵のかかったドアを通り、やっとストレスケア病棟に着きました。
ざっと病棟の中を案内してもらっているうちに、不安に襲われます。
トイレが男女共用なのです。シャワーも。個室ならまだしも、複数個あるトイレやシャワー。共用部で異性の患者さんと鉢合わせること間違いなし。
不安になってきたAさん、「あのう、過去に入院中に男性患者さんからしつこく付きまとわれて……」と告げます。
ナースさん満面の笑みで、「ああ、ここは落ち着いた患者さんしかいないから心配ないですよ」と。
強化ガラスで囲われたナースステーションの前にゾンビのごとく群がる、直立不動のご年配の方達が私の眼前に広がっています。
なるほど、みんな落ち着いている。落ち着いてナースステーションをじっと見ている。いや、睨んでねえか?なんか皆唸ってるし。
しかし、Aさんは精神科病院のことをある程度理解しています。精神科病院は認知症やちょっと元気がないよーというご高齢の患者さんも受け入れています。
ストレスケア病棟というマイルドな症状の方々を受け入れている所なので、あの方達は他害がないと判断された比較的症状の軽い方々でしょう。
そもそもなんだ、Aさん自体が危険分子予備軍なのに、人様のことを揶揄するなんてもってのほかです。

そんな訳で、入院予定の個室を二つ見せてもらいました。
あらまあ綺麗なお部屋だこと。広々としたクローゼット、冷凍庫付きの冷蔵庫。作業用の机もあります。
案内ナースさん、「こちらが一押しです」とにっこり。不動産の営業に向いてそう。
もう一つの部屋はトイレがあるんですよ〜と案内して下さったナースさん。
「ちょっとあちらの部屋に比べたら狭いから、どうしてもトイレを一人でしたいって場合はこっちですかねえ〜」とこちらの気持ちを慮った口調。
いえいえ、ナースさん、そんなことよりも、所々不自然に壁紙の上からペンキが塗られているじゃあありませんか。
これ、事故物件あるあるでよく見るやつです。壁紙全体を変える暇も予算もないから、落ちない汚れの所をペンキで塗っちゃおうね〜ってやつです。
さて、落ちない汚れってのはなんでしょう、とAさんの脳みそがローリンローリンしてくるわけです。
そんな時に導き出されるのは決まって最悪のケース。ここ、なんかの事故現場だったのでは?

「あはは、さっきの部屋の方が広くていいですね」と、なんとか答えました。この時点ではAさん、入院の意志は揺らいでません。
そもそも精神科関わらず、病院という場所は人の生死が当たり前なのですから、多少なんかあろうが気にしてたらキリがないです。

案内人ナースさん、「こちら、ベランダもあるんですよー!高い建物がないから綺麗ですよ!」とテンション上がり気味にアテンドしてくれます。
当たり前ですが、天井までガッツリ金網。左右四方全て金網。
インスタグラムに「ハッシュタグ金網越しのセカイ」なんて毎日投稿したくなる景色。
まあ、Aさん、別にそんなこと気にしません。ベランダがあるなんてこの時期いいわね〜、ここでちょっとした運動でもできるわね、とウキウキです。

総合的に入院するには十分なくらいの環境で、お医者さんに入院の意思を告げ、帰路に着きました。

色々御託を並べて、総合的に満足!だったのになんで入院辞めたのかって話です。
「やっと安息の場所に行ける、入院できるんだ!」とホッとして、少しだけ判断能力が戻ってきたんです。それまでは脳みそトコロテン状態(『三つ目がとおる』参照)で、何か情報を調べようにも脳みそが処理を拒否していたんです。

「あ、そういえば病院のこと全然知らなかった、調べてみよーっと」とグーグルさんに病院名を打ち込んだら、検索予測に不吉な文字が並んでいました。
「ほにゃらら病院 事件」「ほにゃらら病院 ヤバい」「ほにゃらら病院 最悪」

詳しいこと書くと場所バレするので濁しますが、そこそこ最近なのに、医師の杜撰な治療で人がなくなっていたり、患者が事件起こしていたりしていました。

結果、Aさん、入院辞めましたッッ!


追伸、Aさんのメンタルはちょっとだけ回復し、noteを始めるという新しい挑戦もできています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?